吾野駅から「石灰石採掘所」と地図に示された場所を過ぎ「キワダ坂」の難路から一般登山道となり、あとは尾根伝いに「大高山」・「天覚(てんかく)山」・「多峯主(とうのす)山」・「天覧(てんらん)山」とすすみ、飯能駅まで抜けるコースが、山と高原地図<奥武蔵・秩父>に記載されている。
コースタイムを合計すると、50、30、70、20、70、45、45、30、10、20分で全体は降り基準の6時間30分となっている。
吾野駅からは未舗装の林道でのアプローチで道が始まり、しばらく行くとゲートがあった。しかし、林道はそこで終っていて、このゲートのところから本来の登山道が始まるらしかった。
低木の広葉樹の間の目立たない踏み跡を行き、ミスコースの不安がきざす頃に地図に載っていた採石場が現れた。採石場は今は利用していないようで鉄骨が残るバラックだけだが、在りし日は活気に包まれていたのであろう。尾根上の平坦地に広がり、規模としては大きなもののようだ。
採石場を後にしてさらに進むと、何度か出現したつづら折りで辿ってきた踏み跡は、大きな岩の出現で消えてしまった。稜線への道を見失ってしまった。あたりを探すが、地図に示された稜線へと続く道をどうしても見つけ出せず、私は来た道を戻って駅へ引き返すことにした。
この彷徨が一時間を越えるロスとなったが、よい教訓を得る事が出来た。
低山の取り付き口は判りづらく、神社の社殿の奥、民家の庭先、お堂の脇など、思いがけない場所から始まることが多い。西武線沿線のハイキングコースはどこも直接に路線の駅を起点に出来るが、一様に開始点が判然としないのが難点だろう。ここもその例に漏れず、やはり判りづらいものだった。
駅の南側斜面に張り付く墓地まで道を戻ると、その脇から始まる細い登山口を見つける事が出来た。墓地を無意識に避けてしまったが、墓地を回りこんではいけなかったらしい。墓地脇の針葉樹林(杉の植林)へ分け入るような細い道に小さな案内板が有り、その道は「前坂の分岐」へ続き、目指す飯能への尾根道へ抜けるものと確認が出来た。
この時点で、すでに1時間30分のロスだったため、私は走るように目指す「分岐」へと登っていった。地図によれば「前坂の分岐」までは50分が標準時間となっているが、30分で登るハイペースだった。しかし、そこから「大高山(おおたかやま;493m)」へはガイド上は30分の尾根登りだが、先のペースがあだとなり50分を費やす結果になってしまった。
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