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2006.05.04
吾野ハイキング(あの峰を越えて)

アクセス;
 西武秩父線 ― 吾野駅〜東吾野駅
登山口;
 吾野(あがの)より前坂への上り口(駅南の林よりはいる)

行程;
 吾野〜前坂〜大高山〜無名ピーク〜天覚山(てんかく)〜東吾野
時間;
 〜前坂40分、〜大高山50分〜無名ピーク50分、〜天覚山40分〜東吾野45分

カメラ;
 NIKON COOLPIX S3

 (画像添付時に約25%に圧縮)


 当日は、ゴールデンウィークの最中という事もあり、西武線はJR武蔵野線からの乗り換えになる「新秋津(しんあきつ)」駅の改札からひどい混雑だった。

 「所沢」からは朝の通勤列車なみに、「飯能(はんのう)」を過ぎると混雑はさらに悪化し、毎朝苦しめられている埼京線となんら変わらない状態になってしまった。

 「芦ヶ久保(あしがくぼ)」駅から丸山、その反対側にある二子山をピストン、と思っていたが、芦ヶ久保駅までこの混雑に耐え切れそうにない。私は「吾野(あがの)」駅で西武秩父線を降りることにした。

 吾野(あがの)からは、<顔振峠(かあぶりとうげ)>へ回って「関八州見晴台」から「ユガテ」方面へ抜けるコースや、その反対側にある巨大なわらじで有名な<子の権現(ねのごんげん)>へのコースがポピュラーだ。だが今回は、西武線の南側に平行して続く長い稜線が以前から気になっていたこともあり、吾野を起点にして飯能までのミニ縦走をしてみる事にした。

林道にて、丸太橋出現

吾野より林道、林道終端からの取り付き
実はミスコースであった。
突然の丸太橋。しかしこの先は行き止まり。

 分岐の案内板。すこし小さい。

 「前坂の分岐」への案内板

 「吾野」より「前坂の分岐」は正規ルート
 (標識はすこぶる小さいので注意が必要

樹林より吾野を望む

「前坂の分岐」へは、高度を一気にあげ、
眼下に吾野を望む

吾野方面を望む
 「前坂の分岐」

 ここから尾根筋伝いに、飯能までの登山路が続く
  前坂の分岐。尾根道への入り口だ。
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 吾野駅から「石灰石採掘所」と地図に示された場所を過ぎ「キワダ坂」の難路から一般登山道となり、あとは尾根伝いに「大高山」・「天覚(てんかく)山」・「多峯主(とうのす)山」・「天覧(てんらん)山」とすすみ、飯能駅まで抜けるコースが、山と高原地図<奥武蔵・秩父>に記載されている。
 コースタイムを合計すると、50、30、70、20、70、45、45、30、10、20分で全体は降り基準の6時間30分となっている。

 吾野駅からは未舗装の林道でのアプローチで道が始まり、しばらく行くとゲートがあった。しかし、林道はそこで終っていて、このゲートのところから本来の登山道が始まるらしかった。

 低木の広葉樹の間の目立たない踏み跡を行き、ミスコースの不安がきざす頃に地図に載っていた採石場が現れた。採石場は今は利用していないようで鉄骨が残るバラックだけだが、在りし日は活気に包まれていたのであろう。尾根上の平坦地に広がり、規模としては大きなもののようだ。

 採石場を後にしてさらに進むと、何度か出現したつづら折りで辿ってきた踏み跡は、大きな岩の出現で消えてしまった。稜線への道を見失ってしまった。あたりを探すが、地図に示された稜線へと続く道をどうしても見つけ出せず、私は来た道を戻って駅へ引き返すことにした。

 この彷徨が一時間を越えるロスとなったが、よい教訓を得る事が出来た。

 低山の取り付き口は判りづらく、神社の社殿の奥、民家の庭先、お堂の脇など、思いがけない場所から始まることが多い。西武線沿線のハイキングコースはどこも直接に路線の駅を起点に出来るが、一様に開始点が判然としないのが難点だろう。ここもその例に漏れず、やはり判りづらいものだった。

 駅の南側斜面に張り付く墓地まで道を戻ると、その脇から始まる細い登山口を見つける事が出来た。墓地を無意識に避けてしまったが、墓地を回りこんではいけなかったらしい。墓地脇の針葉樹林(杉の植林)へ分け入るような細い道に小さな案内板が有り、その道は「前坂の分岐」へ続き、目指す飯能への尾根道へ抜けるものと確認が出来た。

 この時点で、すでに1時間30分のロスだったため、私は走るように目指す「分岐」へと登っていった。地図によれば「前坂の分岐」までは50分が標準時間となっているが、30分で登るハイペースだった。しかし、そこから「大高山(おおたかやま;493m)」へはガイド上は30分の尾根登りだが、先のペースがあだとなり50分を費やす結果になってしまった。

まるで木の根を這う
本当に低山?
木の根沿いに進むのが、正規の登山道。
  この岩を巻いて進むのが、正規の登山道。

 この岩を超えねば
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 「大高山」から「天覚山(てんかくざん;445m)」までは70分の尾根道で、途中「無名のピーク(410m)」がある。

 さきの「大高山」への尾根筋は野鳥のさえずりが素晴しくゆるやかに続くコースだったが、4回ほどの登り返し(一旦低所まで降ってまた登る)があり、細い尾根を進む中で木の根を伝い巨岩を越えての少々きついコースだった。

 多少の救いとなったのは、つまらない杉の荒れた植林だったが林間から時折望める北面・南面の景色が素晴らしい事と、人と出会うことのない静かなルートだった事だ。コース上ですれ違ったのはいずれも熟年のペアで、それもわずかに3組だけだった。

 すれ違いが出来ないような尾根筋の細い登山道を歩いていると、ざわめきに似た喧騒が時折、驚くほど近くに聞こえてくる。

 高く伸びた植林から覗くと、眼下は深く切れ込んだ谷になっている。尾根から一旦外れたら、もう二度と登れそうにないほど懐深いというのに、人里は思いのほか近いようだった。 あるいは、ざわめきが風に乗って尾根まで伝わって来た理由は、このコースの静かさのせいなのかも知れない。

尾根を外れると深い谷

眼下には人里など、見えないのだが・・・。

下界というほどの高みはないが、ざわめきが湧き上がる。
 飯能の名峰?天覚山 到達

一応は頂上なんだから、
 もうすこしなんとかならんのか。
天覚山は、飯能の最高峰。山頂は少しさびしい。

 さて、「天覚山(てんかくざん)」だ。この山は飯能で造られている地酒の名前にもなっている。

 ちなみに、この山は「飯能の最高峰」と謳われている。 だが、訪れた頂上は、普通は標柱となっているはずの山名板(山名と標高を表示)がぽつんと地面に直接置かれており、非常にそっけない。この扱いには、正直すこし唖然とした。

 この頂上から「東峠」へと向かったが、最初のロスタイムもあり、すでにこの時点で4時近い時刻になってしまっていた。日は伸びたし、峠を過ぎた先はもう下りだけなのであまり無理をせずに済むはずなのだが、あと3時間ほどの尾根を思うと急に疲れてきて、このあたりにて大休止を摂ることにした。(まあ、今から思えば、休むと決めた時点で中断する心の動きがあったのだろう。)

 山頂を少し降りたところに巨大な岩盤が壁面を覆う、広場のような場所があった。霊気漂うこの場所は案内板によると神社の跡地であり、広場は境内のあとだった。この広さから考えると信仰厚い山岳神社であったに違いない。

 往時には巨岩を背後に抱える荘厳な社殿もあったことだろうが、なぜ無くなってしまったのだろうか。ちょっと不思議なことだ。
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下山道は尾根コースと沢コース

写真に見える植林のがけ際が、
下山コース。

そこには、道なんて見えやしない。
植林は大きな杉だが、その脇が下山道だ。道幅は約60センチ。

 ここ(社殿あとの広場)からの下山道は、沢コースと峰コースが標識されている。どちらも「東吾野駅」までは50分程の行程だが、沢くだりは思わぬ難所が予想されるため、迷いつつも尾根コースをとる事にした。

 林間を抜けて視界が開けてみると、その景色に愕然としてしまった。そこに出現したのは、荒れ放題のザレの急斜面であった。これでは滑ってコースを外れたら、一気に谷底に直行だ。

 事故の多い夕方の下山道、しかも今日はソロだ。もし滑ってしまった場合、救援は望めるのだろうか。悪いイメージが次々に浮かび、足はいつにも増して緊張している。谷に体を投げるようにして斜面に対して垂直になろうとするが、意識に反してどんどん後傾姿勢になっていく。

 冷や汗をかきながら、やっとの思いで斜面を降りきった。

 背後を振り返ると、降りてきた尾根が視界に広がった。いや、恐るべし、低山ハイク。

 でも、流した汗(そのうちの半分は冷や汗)が多い分、駅前で飲んだ缶ビールの味は最高であった。
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荒れたザレ道

そこに待っていたのは、こんな荒れたコースであった。
だって、下は奈落ですよ。
急角度で切れ込む谷。
植林際の道をはずしたら・・・ 
斜面を滑落か? 
(スケールが判りづらい写真だが
杉の木は電柱ほどの高さ)