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2012.06.23
メンテナンス・交換 レストア

カメラ;
 RICOH CAPLIO GX−100 24−72mm F2.5
 iPhone 4S (「蚕豆(そらまめ)」さんのランチの撮影写真のすべて、フレームの塗装剥離中の撮影写真の一部)
 (画像添付時に約30%程度に圧縮)



 実家の物置に、マルキン自転車製の<スポルディング>ブランドの自転車が置いてある。

 「クロスロード」という名前のアルミ製のクロスバイクだ。マルキン自転車は国内の老舗メーカだが、今ではGIANTのグループ企業となっている。

 私が子供の頃には、「マルキンじてんしゃ、ホイのホイのホイ〜」のテーマソングに乗って、荒川の土手を数台の自転車が快走していたコマーシャルがテレビで盛んに流れていた記憶がある。

 その唄は今でも印象に残っていて、親しみやすいメーカーという感じがあった。当時は、町の自転車屋さんの店頭にも並んでいたと思うが、今ではホームセンターなどを中心にひっそりと流通しているようだ。

ありし日の「クロスロード」

ありし日の「CROSS ROAD(クロスロード)号」 マルキン自転車の<SPOLDINGブランド>
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 改めて観察してみると、車体も重いし、使っている部品も今では流通していないタイプのものだ。

 塗装は大分疲れていて最初のころの光沢は失われている。パーツ構成だけでなく、見た目自体も、その古さ加減を現している。

 でも、当時、この<クロスバイク>というジャンル(車体の基本仕様)はまだ始まったばかり。物珍しいのか、意外に周囲の注目を集めたものだ。

 取り回しも楽だし、その当時は、今の感覚とは違って車重も随分軽いと感じたものだ。マウンテンバイクがまだ熟成途上で、それらは強度を上げるためにどれも大分重いものだったのだ。

 それらから比べると格段に軽い車体だったので、これなら何処までも行けるぞ、と心が踊ったものだ。

 乗り易い車体で、軽快な走行ができる。

 変速は前3段、後ろ7段の21速

 タイヤサイズは700C 幅は35C。
SPALDING <CROSS RODE>

 その誇り(埃)高いバイクに乗りたいので整備して欲しい、と友が言う。

 「見ればまだ乗れそうだし、物置に放置の状態では、もったいないではないか」と・・・。しかも、是非にと言って聞かないのだ。


 この状態のものをきちんと乗れるようにするには、かなりの整備が必要だろう。

 素人目にはなんの問題もなさそうでも、シフター、ワイヤー、ブレーキパットなどの消耗品は交換しなければならないだろうし、ベアリングは一度交換したきりなので、全て入れ替えが必要だろう。

 タイヤも最後に交換してから、もう4年程が経つ。ゴムが劣化を始めているので、見た目は良くてももう限界のようだ。そうしてチェックしていくと、チェーンなどを含めた可動部全体まで考える必要が出てきて、結局のところフルに整備が必要というレベルの物なのだと言う事が次第にはっきりとしてくる。

 だけど、友人は強行であって、なかなか納得がいかない様だ。「折角なので」の彼の言葉にほだされて、「それでは」と決意して再生作業を開始したのだった。
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「蚕豆(そらまめ)」さんのランチ

前橋駅の横手にある懐石居酒屋

贔屓にしている「そら豆」さんのランチセット


iPhoneにて撮影
「そら豆」さんのランチセット

 実のところは、再生作業のご褒美も魅力的で、正直に言うとそれに心が動いたという事もある。

 前橋駅の横手にある和風懐石、割烹居酒屋の「そら豆」さんの焼き魚定食。ランチとはいえ、気合が入った和食膳で、気持ちを込めて作りこんだ小皿料理がワンプレートに並ぶ。

 盛り付けてくれる器なんかも気を配っていて、料理の持つ雰囲気を壊さずに巧みに季節を盛り込んだ風流な品物だ。

「そら豆」さんのランチ 「そら豆」さんのランチセット




iPhoneにて撮影
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「そら豆」さんのランチ   いつ行っても、旬の味や季節感が溢れる内容で
  満足一杯の幸せな気分に浸れる

  店内の雰囲気も落ち着いている

  (iPhoneにて撮影)

 それに、純米吟醸の逸品。「桂川」はどれも秀麗で美味しいが、これがまた絶品。なんとも言いようが無い味わいがゆったりとふくよかに広がる。

うれしいご褒美 純米吟醸 うれしいご褒美 純米吟醸

絶品といっても過言ではない。

純米の吟醸酒。地元の名酒「桂川」
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 手順としては、まず使える部分(部品)を確認するために、順番に車体を解体していく。

 いや「解体」といってもフレーム部分まで切断や分解をするわけではなく、ハンドル、フォーク、をはじめとした全ての部品を外す、という意味。

 外せる部分は全て取り外していって、一旦フレームをむき身の状態にする。そこから、改めて部品をレストアし、さらに必要とあらば交換して、再生を進めていくわけだ。

 タイヤ周り(ホイール)についても一通りの分解をする。ハブから軸を外してベアリングを交換し、グリスを入れ替える。そこからさらにタイヤを外し、リムテープを取り替え、最後にチューブ、タイヤまでを入れ替える。

 このホイールは700C。27インチのサイズで、リムはステンレス製。そして今まで私が付けてタイヤの幅は35C(ブリジストンの「ツーキニスト」)。今回はちょっと細身の28C(Vittora製)に切り替える予定だ。

解体したBB。クランクシャフトとベアリングだ。 やっとの思いで、解体したBB。
(ホルダー回しの工具は友人からの借り物)

クランクシャフトとベアリングだ。

クランクはJISスクエアなのだが、
今の製品と違ってネジ山が切ってある。

今はクランクを押し込んで、
スクエア部分に切ってあるネジ穴に
ボルトで固定する仕組み。

基本は同じなのだが、これは、ボルトではなく、
クランクを薄いナットで締めこむ仕様。
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 フォークもフレームから外して、ハンドルの取り回しに関係するヘッド関連のベアリングも交換しよう。

 こうして回転系にしっかりとした手当てを施せば、レストア作業が完了した状態は「新車」と変わらないフィーリングを取り戻せるはずだ。

 ダイヤモンドだけになったフレームから、さらにブレーキ、ディレイラー、そしてクランクとギヤ、BB(ボトムブランケット)、を取り外す。そしてサドル、シートボストなどを順次とりはずしていって、完全な解体状態に持っていく。

分解した前ハブの内容 交換前の前ハブ(ベアリングとハブ芯をぬく)
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 そのあとは少し地味な作業になるのだが、車体から取り外したアルミやメッキ、ステンレス製の金属部品を一つ一つ、丁寧に「磨き」をかけて仕上げていく。

 ホームセンターに売っている「ピカット」という錆取りクリーナーがあって、これを利用する。

 この商品は実に強力で、錆を取るだけでなく、褪せてしまった輝きを復活させる働きがある。それは、言わばクレンザーのような研磨剤なのだが、ザラッとした感じはまるでなくて微粒子でクリームのように滑らかだ。この溶液をタオルに含ませて、軽くこすると金属の表面に薬剤成分が反応して、素材にダメージを与えずにうっすらと削る事が出来る。その後、空拭きで仕上げると、光沢が出てくる。

 ちなみに、製品のパッケージ説明には空拭きは不要、と書かれている。、私は性分でやってしまうのだが、実際のところ、あえて乾拭き仕上げをしなくても良さそうだ。

 こうして、部品を磨いていって、もう一度新しいオイルで仕上げていくのは地味で単調な作業だ。

 でも、古ぼけていた部品が仕上がって来ると、部品本来の金属やメッキの輝きが戻ってきて、なんだか購入当時のようになってくる。この磨き作業が実に気持ちがいい。「ピカット」の効果などはまるで魔法を掛けたようで、その再生能力ははかり知れないものがある。

 やった人でないと判らないかもしれないが、こうした作業はだいの大人が思わず熱中してしまう熱源を秘めているように思われる。

フォークの部分の塗装を落とす フォーク部の塗装を
落とす。

ヘッドチューブの部分は形状が複雑でちょっと磨くのが大変だ。
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 磨き終わって、改めてフレームに部品をあててみた。すると、どうだろう。古い状態の部品であれば気にならなかったフレームの色あせ具合が、どうにも気にかかってきた。

 全ての部品が外れているのをいいことに、いっそのことこの際、フレームを削って再塗装を施してみることにした。

 どうせだからと自分を納得させたのだが、実を言えば、この一連のレストア作業に、私は熱中し始めていたのだった。

塗装を落とす シートチューブや、
シートステー、
トップチューブも容赦なく塗装をはがしていく。

 古い、塗装にやすりをかける。80番手の紙やすりで粗く削り、120番手から240番手位の耐水ペーパで、フレームのパイプをしごく。でも、ペーパー掛け程度では、焼き付けられた塗装を金属面まで落とすことがなかなかできない。しかも、どれほど時間をかけても作業は遅々としてはかどらないのだった。

 実家には鉄骨屋をやっていた父が残した各種の道具類があったはずだが、どうした事か、収納してあった物置からいつの間にか何もなくなってしまっていた。本来なら溶接から切断、研磨や穴開けなど、鉄に関する各種の工作ができたはずなのだが・・・。
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 しかし、埼玉の家になら、スピーカ工作用に私が揃えたいくつかの電動工具がある。そのひとつ、電気ドリルに、ブラケットで研磨用の円盤を付ければ、父が使っていたサンダ―程ではないが、同等の役目を果たせるのではなかろうか。

 毎週、帰省するたびに数時間、土曜日の午後から夕方と日曜の早朝、レストアの作業をする事にした。そうして何週間かの後には、一連の作業が終了し、梅雨明け辺りには乗り出す事が出来るのではと考えたのだった。

 ところが2週目にして早くも工期遅延が発生。あまりのはかどらなさにあえなく今週の作業はここで中断にし、金属切断及び削り用の円盤とワイヤーブラシ付きの磨き盤を購入する事にした。そうして準備したドリルなどを引き下げて、翌週に塗装剥離の作業を再開した。これらの機材で削れば、あっという間に作業完了となるだろう、という期待がこもる。

 工具を準備して、嬉々として作業を再開したが、円盤は研磨力が強力すぎて(購入の際に選択に迷ったのだが、「番手」を落としすぎたようだ)金属面まで削ってしまう。これではフレームのパイプにデコボコができてしまうし、削り傷も目立ってしまう。削る能力が高いから手作業自体は楽なのだが、後処理として磨きこみなどのフォローが必要であって、折角の機械力を利用する意味がなくなってしまっている。

 期待を持ったドリルでの作業だけれど、やってみるとなかなかうまい具合にはいかない。ちょっと思惑が外れてしまったようだ。

 今回は仕方がないので、塗装剥離はほどほどにして保留にしておき、パーツ類を磨く事にしよう、と気持ちを切り替えた。しばらく磨きを続けたが、ここで、時間切れ。夜も更けて、再生作業は次週に持ち越しとなった。

開放前のBB部 エンド部分は一体型

 そうした訳でドリルでの塗装面の削り作業を断念し、もうひとつの武器を使うことにした。

 埼玉から機器を運ぶ必要があって、ここで、また作業が中断。続きはまた次の週ということに。

 スピーカ用のエンクロージャーの工作のために購入した機械がある。結局、スピーカの箱は手で仕上げてしまい、利用しないままとなっていたものだ。今回の塗装面の剥離作業を考えると、これこそ最終兵器という気がしてくる。そうした優秀な武器のブラックアンドデッカー製のサンダー。木工用の工作機材だが、これを利用すれば金属にダメージを与えずに表面だけを綺麗に削れ落とせそうだ。

 やってみたら、大正解。これが実にうまい具合に塗装面だけを剥ぎとれる。僅か、1時間少しの作業で塗装の剥離が完了してしまった。削るためのペーパーは数枚を費やしたが、充分に満足のいく作業ができた。

 ここまでの作業を振り返ると、部品の取り外しに関してはクランクの取り外しにはコッタレス抜きの専用工具が必要だし、BBのカバー部分の開放もリング回しの専用工具がいる。それやこれやで、結局部品の取り外しで一日を費やし、さらに、塗装面の剥離作業はすでに書いたように当初の想定通りにはいかずに通算で2日間(2週間)を食いつぶす結果になった。

 どうなる事か、と一時は心配した作業もやっと進捗して、いよいよ鈍い銀色のフレーム本体が現れた。
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 あれっ、と思った。

 どうも、むき出しになったフレームの、その金属の感じが<アルミ>とは違っているのだ。

 アルミフレームと思っていたのは、実は大きな思い違いであった様だ。翌週に、塗装面が完全に削られたフレームを改めて見たら、BB部分の底のところにきわめて薄い錆が浮いてきているのだった。どうやらこのフレーム素材、アルミ製ではないかも知れない。その素性はハイテンション鋼など、鋼材の可能性も出てきた。

 薄く赤く変化したその部分は、先週の剥離作業の仕上げに、耐水ペーパーで水研ぎをした場所なのだった。その際の水分のためか、保護皮膜が無くなったところに降った雨の湿度が影響したためか、どちらかは判らないが、うすく錆が出現している。

 だって、アルミ素材というものは錆びないのではなかったか?

 いや、あるいは、この自転車フレームはアルミ合金製であって、鉄分の含有比率によっては合金の場合にはやはり錆びる、という事なのだろうか?

 いわゆる素材の基礎知識までは持ち合わせていないので、いよいよ私には、このフレームの素性が判らなくなってきた。

フォークを外して、ステンレス部品にマスキング ヘッドパーツをマスキングして守る。
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 紙やすりで磨きこんで、金属面を再度露出させて、保護用にホームセンターで購入したプライマーを吹き付けた。

 これで、塗料の定着も良くなるだろうし、表面に密着した強力な被膜層が出来たので、錆などの素材劣化に対しても充分に防止できるだろう。

 プライマーをフレーム全体にまんべんなく吹き付けて、何回かその塗装を繰り返す。ひと缶分を使って下地を仕上げて、いよいよ色塗装の上塗りを始める事にした。

 色はどうしよう、と考えた。

 白、クリーム、ベージュ、あるいはいっそ青系で行ってみようか。濃い青や薄めの淡い青、グリーンなどもいいかもしれない。それとも元と同じシルバーにしようか?。


 色々と悩んだが、結局、シックな路線でいこうと思い、メタリック・レッドで仕上げてみる事にした。

シートチューブ ダウンチューブとボトルフォルダー用のゲージ穴
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ヘッド部分(ステム) ヘッド部分(ヘッドパーツ)

 取り外していった部品に関してに触れておこうか。


 ハンドルとブレーキレバーは磨きをかけて既存部品を再利用することにした。

 フォークをフレームに固定するヘッドパーツはステンレス製なので、ハンドルなどと同様にやはり磨いてそのまま使おう。でもそこに組み込まれているベアリングは上下ともに交換する必要があるだろう。BBのベアイリング程ではないにしてもヘッド部分も磨耗が予想される。

クランクを磨く ヘッドアダプター
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 グリップ型のシフターは交換対象だ。

 プラスチック素材のパーツだから加水分解している可能性もあるし、内部に組み込まれた変速切替の制御用ラッチなどの金属部分は随分と摩耗しているはずだ。そしてシフター本体と一緒にギヤケーブルも新しいものに交換する。

 以前から付いているグリップシフターでも実際の走行にはなんの問題もなかろうが、それは変速時のクリックの調子がだいぶ怪しい。だから、この部分の「交換」は安全を考えての選択である。

BB(ボトムブランケット)部分 ブランケットを外す
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取り外して基本塗装をしたフォーク フォークを外して塗装する

ハンドルポストは25.2mmのもの。
これは未だに主流のポスト口径。

 さて、ステムはどうしよう。

 この際だから、ヘッドアダプターを使ってAHEADシステムに切り替えようか? この判断は、パーツの重量を気にしたわけではなく、調整の幅が広がることを考えての部品変更という意味からのもの。

 もし、車体に対してリーチが足りなければ、短いステムに取り替えてポジションを出せばよい。ステムが交換できるようになれば、そこを70mmなど短いタイプに交換すればよく、またハンドルバーへの角度(つまりは上体の前傾度合い)などもステムの仕様で選択幅ができる。取りつける際のステムの上下(天地)を反転させれば調整が出来るのだ。そのヘッドのシステムへ変えることで、いくらでもポジションの対応ができるようになる。しかし、そうした微妙な調整は、以前の一体型では調整の余地もない。

 根本的にシステムが違うので、フォークやコラム自体を変更する必要があるわけだが、そこまでせずにヘッドの仕様を変えるための利器がある。

 そこで登場するのが、今回選択したイケてる「ヘッドアダプター」という部品だ。(見た目はただの筒状の金属棒なのだが・・)
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 さて、部品の取り外しがひととおり終わったので、いよいよ次の工程の<塗装作業>に進もう。

 フレームの塗装には、やはりスプレー缶のアクリル系塗料の製品を使う。塗装が楽だし、仕上がりも良いためだ。何度か塗り重ねていって、塗装面を焼き付け程度に厚くする必要がある。

 重ねて塗るのは、乗車時の摩擦程度で色が落ちてきたり、傷が付いてしまってはお話にならないからだ。2回程の塗装をセットとして、一度塗って乾燥させ、3・40分後にまた塗る。そうして徐々に塗装面を重ねていって、ひと缶分を塗りあげるのだ。

フォークのエンド部 チェーンステーを塗装する

 その後は、仕上げのクリアーコートの塗装だ。何層も重ねて乾燥を繰り返したとはいえ、保護面が無いとやはり塗装が弱いものになる。

 だから、一度仕上がった色面へアクリル塗料のクリアーを何回も吹き重ね、更に一週間ほどを乾燥させて、その上からまたクリアーを吹く。


 クリアー塗装が終わった段階で、大分いい状態になってきた。
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マスキングテープを巻く シートステーのマスキング

 塗りあがったフレームを眺めていたら、ちょっと閃いて、チェーンステーとシートステーの部分に塗装の塗り分けでアクセントを入れる、というアイデアが浮かんだ。その部分のパイプだけを銀色で塗ってみたらどうだろう、と。そこで、一旦塗ったメタリックレッドの上から銀を吹く事にした。銀を塗っていたら、また思いついてしまった。さらに、エンド部分を黒で塗ろうではないか。

 そうして塗り分けができて、さらにクリア塗装の仕上げも終わって一応の完成を見た。

 だけど、よく観察すると、銀色のマスキングが甘い。それに少し色がフレームの他の部分に飛んでいる。気付かなければなんでも無いが、一度そうして気付いてしまうと、視線がその部分へ行ってしまう。そこがどうにも気になってきた。

 そこで銀色部分をテープでマスキングして、もう一度レッドを重ねて塗装する事にした。メタリックレッドはひと缶使い切ってしまったので、再購入が必要。同時にクリアーも改めて必要になってきた。
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塗り分けの完了 チェーンステーの塗り分け

 結局のところ、このフレームには都合、何度色を塗った事だろう?。

 基礎面にプライマー。塗装面にメタルレッドが3層?いやもっとだろうか。その上にクリアー層、シルバーとブラックが3層、そしてクリアー層。さらにその上にメタルレッドが2層。そして最終仕上げのクリアー層。

 まるで、フェラーリの8層塗りではないか・・・。削って、下の塗装面を出せば、8回分、新車として蘇るのだ、というアレ。

 いや、一回毎に焼付塗装仕上げで多層化した訳ではないので、それとはまるで違う訳だが、私が塗装したフレームだって立派な(まあ贔屓目に見ればの話になるが)多層コートといった状態だろう。

 だから、きっとそんな事はやらないだろうが、私の仕上げたフレームも少なくとも2回分は削って新車気分を蘇らせる事ができそうだ。
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フォークエンド部の塗り分け シートチューブ

 もう、この塗りでフレームはもう良い状態だろう。


 いよいよ、この段階までこぎつける事が出来た。

 フレームの色に負けない、
 赤いワインで祝杯を挙げようではないか。

 仕上がってみると、ちょっと変わった雰囲気になってきた。完全なオリジナル・フレームの出来上がり、だ。

 まあ、細部にはいくつかの難があるが、完全に満足するというレベルまでは行かないまでも、まずまずの出来栄えということで、友人は許してくれるだろう。何といっても毎週作業を見ていたのだから、苦労も喜びも知っているのだし、しかも最初のペーパー掛けの磨き作業なんぞは、彼の労力が占めた割合は思いのほか高いのだから。


 フレームまで仕上がれば、後の作業は取り外した部品を丁寧に組み付けていくばかりだ。そして、ワイヤー類(前後輪のブレーキケーブルと前後のシフトケーブル)を張って、最終的に調整すれば作業は完了となる。
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エンド部分 これで塗り終わり

 一度は仕上がったつもりだったが、塗り分けの部分がいまひとつといった感触。

 きれいに塗ったつもりでも、むらがあったり、色の飛びがあったりして、少し気になるところが出てきた。そこで、もう一度、マスキングをして、最終的な仕上げをする事にした。

 エンドの部分はタイヤの着脱などで頻繁に目にする部分なのだから、丁寧にもう一度、いや何度か、重ね塗りをして置こうか。
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 さらにパーツ交換の作業を続けよう。

 前後のブレーキは交換するつもりだったので、すでにパーツを用意している。

 この部品、ロード車用の場合はキャリパーといって一体形状のハンガー型になるが、これはマウンテンバイクと同じ仕組み。Vブレーキと呼ぶ2本のバーでリムを挟み込む仕組みのもの。

 昔流行ったキャンピング車などはサイドプルのキャリパーブレーキ(ハンガー形状ではなく左右が別体となったもの)を使っていたが、Vブレーキもそうしたご先祖様と同じ仕組みで、大きなテコの力によってブレーキパッドをリム面へ密着させて、ブレーキを働かせる。

 強力な制動力が得られるが、それは、テコとなるバー軸のストロークが従来のキャリパーと比べて格段に長いからだ。バー部分はアルミ製のアロイで、見た目よりも歪みに強い断面形状を持っている。長さがあって、大きなものだが、アルミ製なのできわめて軽量だ。

ギヤ用のワイヤーセット ワイヤセットの内容(アウターとエンドキャップ)

 制動を行う重要な部分で、安全に直結する部品である。だからもちろん、この部分、手を抜かずにブレーキシューもブレーキケーブルも共に交換する事にする。

 ケーブルを包むアウターもセンスの良いものに交換しよう。これで安全性も耐用性も高くなる。アウターの選択では、どちらかというと視覚効果、見た目の良さをぐっと高めてくれる。重い印象にもなるし、軽量で軽快なイメージにも変化する。

 今回の選定では機能美よりもシックな路線を目指していて、良印象に変化させるのが狙いだ。
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タイヤはパナレーサの「ツーキニスト」 フロントホイール

 さて、既存のホイールは、ハブ軸の問題を持っている。

 前ハブは、中空シャフトではなく、14mmのボルト型。前輪を着脱するには14mmのハブスパナが必要だ。そんなものを携帯は出来ないので、クイックリリースに変更したいことろだ。

 ハブ用のベアリングまでは交換パーツを用意したのだが、ずっと前に買い置いてあった中空シャフトがどうしても見つからない。新宿の東急ハンズで一昔前に見つけて、買い置きをしていたものだ。ハンズで改めて聞いてみたら、今では取り扱いが無いとのことたった。新宿だけでなく、他のどの店舗でも見つからない。聞きまわってみたが、Y’s(ワイズロード)などの自転車の専門ショップでも扱いが無いという。

 もう、お手上げの状況だ。

 仕方が無い、ハブ軸のベアリング入れ替えだけで進めるか、と思い極めたのだが、ここまで揃って来るとその選択にちょっと違和感が漂う。

 悩んだのだが、私のクロスバイクのESCAPE R3からホイールを移設することにした。
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リアホイール フロントもリアもスポークの組み方に特色がある。

今年、2012年モデルのESCAPE R3は
台湾製ではなく、中国製。
で、ホイールもごく一般的な状態。


前はラジアルで後ろはタンジェントに変わっている。

 ESCAPEのホイールは、黒いディープリムと黒のスポークが付いているもの。

 新規に購入してもこのクラスのホイールセットなら価格はそれ程ではないが、それでも論吉さんを一人旅立たせなければいけない。だから新品購入となると、ちょっとしたインパクトがあるし、今回の趣旨からすこし外れてしまう。

 そこで浮かんだのが、私のホイールを移設する、という案だった。

 われながら、浮かんできた名案に目もくらむ思いがするが、この決心で自転車全体がグッと引き締まるだろう。
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シート シート

 シートやシートポスト。これらは新品に換えることにしようか。

 今回選んだ新しいシートは白いもので、ポストはショック(吸収式)付きのものだ。これは、攻めるライディングを求めるのではなく、あくまでも乗る人の快適性を目指したための選択。

 ところが実に残念な事に、新規に購入したショックアブソーバつきのシートポスト。サイズは間違いなく27.2mm径のはずなのだが、ポストに入っていかない。一体、どうなっているのだろう。これでは話にならないので、ボストも旧来品を再度使うことにした。
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ハンドルとブレーキ ブレーキ

 ギヤとクランク、それにペダルは、最初は既存パーツの再利用を考えた。

 しかし、それらの部品は可動部品の宿命か、だいぶ擦れている。

 見た目は最悪の状態だ。アウターリング(3枚あるギヤの一番外側の歯車)を銀色で塗装してみたが、キチンと塗れたにも関わらず、なんだかやけに安っぽくて、しかも<変な感じ>がする。

フロントディレイラー リアディレイラー
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スプロケット クランク

 そこで、この部分もいっそのこと、と思いきわめて新品パーツへ置き換える事にした。思い切って決めてみるもので、幸い、ネット上のセールで安価にクランクセット(クランクとギヤのセット)を手に入れる事が出来た。

 変速系と制動関係の主要パーツを新品とすることで、安全性は随分と高まったのでは、と思う。

 何せ、自転車の一番大事な部分だから、ここの手を抜くと手痛いシッペ返しにあう気がしたのだった。だから、今回は、少しばかり拘ってみようではないか。
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クランクセット BBをメンテナンス

 BB(ボトムブランケット)の仕様は、JIS(68mm)スクエア。

 交換前提でSHIMANOの新しいBBを購入してあったのだが、クランク軸の長さを少しも確認していなかった。110mm前後で複数のサイズがあるが、購入したもは軸幅が不足。このため、クランク自体が組み込めない事態になってしまった。

BBをメンテナンス BBをメンテナンス
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 結局仕方が無いので、現状のクランク軸を分解してベアリングを交換(同時にグリースを切り替える)することに。

 カセットブランケットだと、シールドでグリスアップなどのメンテナンスは不要だが、このクランク軸は旧来のタイプなので、ベアリングの交換を含めて自由にメンテナンスできる。ただし、ハンガー金具の着脱に専用の工具が必要な状態。痛し、痒しといったところだ。

BBをメンテナンス BBをメンテナンス
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ヘッド部分の分解 ヘッドのベアリングを交換する

 フロントフォーク周辺の様子。

 黒の切り替えでの塗り替えが完了して、フロントタイヤをいれたところ。ホイールはESCAPE R3からの移設でサイズは700C。履いているのは、パナレーサのツーキニストの28C。

 そして、リアホイール周辺の様子。

 同じく、ホイールをESCAPEから移設した状態。カセットは新たに7速から8速用に変更した。 リアのチェーンステーはエンド部分を黒、ステーを銀、BBに近い部分をメタリックレッドで塗装しているが、黒いホリール、黒いスポークがそのペイントによく合っている。

リアディレイラーなどの様子 フロントフォーク周りの様子
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ヘッドを変更は旧状態へ シート周辺

 ハンドル周りの様子。

 ハンドル、ブレーキレバーは磨いての旧来品を利用したが、シフターは交換している。7速から8速へと、リアディレイラーの変速幅を変更したためだ。勿論、ブレーキケーブル、ギヤケーブル、そしてケーブルアウターは新品へ変更。

 ステムは、変換アダプターを購入し、ステム自体も購入したのだが、肝心のステムのハンドルバー部分の口径(25.2mmでなければNGだが、一般的な31.8を購入していた)を間違えてしまって、結局、交換が出来ない状態。仕方が無いので、これも従来品を磨いて再利用している。

ハンドル周り ハンドル周り
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通勤仕様としてフェンダーをつける フロントは、
ダウンチューブ部分に
ガードをつける。

前輪は、垂直に水を跳ね上げるので、この部分をガードしてあれば、水はねを避けられる。

 街乗り仕様として、フロントフェンダーとリアフェンダーをつける。

 いずれもプラスチック製の軽量なもの。そしてフロントがベルクロでリアはネジ留めなので取り外しは簡単で、すぐにつけ外しが可能だ。私自身は、無いほうがすっきりするが、スポーツ利用ではないとしたら、必須かもしれない。まあ、休日は外して颯爽と乗ってもらえばそれでよい。
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クランク リアディレイラーとスプロケット

 クランクは、SHIMANOの新品(AVILIO)を購入してあって、付け替えたが、クランク軸のオフセットにクランク自体が合わない。

 フロントディレイラーをアウター側にセットしても、2枚目の位置までしか来なくて、3速なのに、内側の二枚のギヤでしか動作しないのだった。せっかく、新しいクランクを手に入れたのに、これではどうしようもない。

 仕方が無いけれど、ものとクランクに戻すことになった。アウターリングはだいぶ痛んでいて、これではということでシルバーで塗装したのだったが、結局そんな状態で設置をする事になってしまった。塗装はチェーンの摩擦によってしばらくするとはがれてしまうに違いない。

 ここも計画とは違ってしまい、ちょっと残念な結果となってしまった。
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チェーンガード リアのマットガード
 チェーンステーには、チェーンガードを張ってみた。

 カーボン柄の厚手のもの。ちょっとかっこいい。


 こうして、何日もの作業を経て、やっと「クロス・ロード」号は新しい息吹を吹き込まれた。

 新車ではないけれど、個性あふれる自転車へ生まれ変わったと思う。カラーリングは好みの部分なので、ここがNGだとすると、どうにも回復の手立てが無いのだが・・・。

 末永く、幾久しく、という願いは難しかろうが、これで数年の間は気分よく新しく生まれ変わったこの自転車を楽しめるに違いない。

センタースタンド グリップシフター
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