なにせそのフレームの主要素材はクロモリ(クローム・モリブデン鋼)やアルミではなくカーボンなのだ。もちろん、言うまでも無く「カーボン」は今でも最先端のフレーム素材である。
懐かしき80年代の終端にあって、それははまさに先鋭の素材であった。
しかしカーボンを使ったフレームを導入しているにもかかわらず、この「CADEX(キャデックス)」という名前を持ったGIANT社の戦略モデルは、いまどきは滅多に見られなくなってしまったホリゾンタル(のフレーム)形状を持っている。
ちなみに、今、販売されている各メーカ製のカーボンフレームのロード車は、どれも例外なくスローピングのフレーム形状となっているからだ。
長く水平だったフレーム上のトップチューブ部(ダイヤモンドの前三角の頂部)をロード自転車としてはじめてシートチューブ(シート支柱)に向かって斜めに傾けたのがGIANT社であった。現在のロード自転車の主流となるスロープしたトップチューブはGIANT社の工夫したアルミロード車から始まったのだった。
この自転車はGIANTを代表するカーボンロード車でありながら、まだ夜明け前の、伝来の由緒正しい輝かしい形状(なんといってもこの車体のフレーム形状はまさにダイヤモンドだから)を備えているのだった。
そこで改めて友人Tの自転車に戻ってみると、車体(フレーム)の基本性能の良さもあるし、コンポの「R600シリーズ」も高い基本性能を持っている。現状のままではではどうにもならないが、これから行うメンテナンス次第ではそこで使われたパーツ(当時の高品位パーツ)も充分に利用が可能となるだろう、と思うのだった。
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