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オーディオ : 周期的に訪れる枯渇感(オーディオという趣味について)
デジタル・アンプを物色する   2010.08追記

<周期的に訪れる枯渇感>

 「オーディオ」というか、「美しい音で音楽を聴く」というか、そういう事が長年の趣味だ。

 趣味であるから、やはり欲しい再生機器が出てくる。時として困るのは、それがすでに所有している機器と同じ機能である場合だ。普通の人は、故障が現れたり壊れたりすると新たな機器の購入を考えるものだと思う。ところが音楽を聴くだけでなく「再生する機械そのものが持つ機能性も好き」といった場合、少し困ったことになる。私の場合がまさにその状況だ。

 メーカーは、無論、より良い再生音を目指して新たな回路や技術を開発し、それを最新機構として戦略的に発売する。だから新たに発売された時点では、その機械の持っている音響技術的な内容は世代最高のもの。しかし、技術者という集団は凄まじいもので、最高であったものをさらに凌駕する新たな仕組みを次々に考え出す。今となっては「オーディオ」もひところの人気市場ではなくなっているから、開発されてから実装されるまでには少し時間が掛かるのだろう。  それでも彼らは常に世界を市場として捕らえているので、世界規模での技術革新の競争がある。結果として私達の目に触れる形になって、つまりは実験機から実用機に搭載される形になって、あっという間に新しい機構が出現する。

 そうして新たな型番が振られた改良機内に鳴り物入りで搭載された技術革新は、まるで新しい発想のものであったり、従来の問題点を改善して完全に克服したものであったり、さらに電気回路的に工夫を加えたものであったり、様々な内容を持っている。新たな機構を搭載した機器から流れる再生音からは、そうした進化があまり感じられない場合もあるが、そうした技術のポイントが数世代を経て改善されていき、数年を経た程の暫くさで改めて比較してみると、見違えるほどの鮮度をもって迫ってくる場合があるのだ。

 こうして、何年かに一度、新たな音の世界に触れてしまうと、「欲しい」という凄まじい感情が襲ってくる。暫くぶりに触れる、新たな音の世界に完全に圧倒されるためだ。

最初の自作スピーカ 上のデッキはDENON製「DR−M4」、チューナーは「KT−V990」
テープデッキはDENON製 「DR−M4」
チューナーはケンウッド製「KT−V990」 
アンプはケンウッド製 「DA−1100EX」
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<デジタル・アンプ>

 すでに所有している機器と同じものが欲しくなる、という困った問題の最右翼は「アンプ」だろうと思う。

 フル・サイズ(435mm)のコンポーネントがある。ケンウッド社製で「DA−1100EX」、購入当時はちょっとしたものであった。音は大丈夫、澄んでいて力強い美しい音が今でも響く。だが、今ではその回路設計や機械そのものに対する発想が古い。

 そんなこともあって、実家に置いたままであり、たまに帰省した際にしかスイッチを入れない物になってしまっている。

 この世代のアンプは、CDという新たなメディアの登場(当時は画期的な出来事であった)に対応したデジタル・オーディオの第二世代の製品だ。「DAC」回路、デジタルからアナログへのコンバータ(信号変換回路)を搭載し、その回路設計を売り物の中心にしているのが特徴だ。ただし、デジタルコンバート回路だけでなく、アナログ対応に対しても充分に考慮されていて、レコード・プレイヤーは「MM」型や「MC」型のカートリッジが付いたものをそのまま接続して増幅する事ができる。

 私達は「デジタル・アンプ」と呼んでいたが、今の「デジタル・アンプ」とは意味が違う。音の増幅回路自体はあくまでも「アナログ回路」によっているためだ。いまのアンプのように「デジタル信号」のままの状態での増幅は行わない。

休眠状態のアンプ「DA−1100EX」

 このケンウッドの製品「DA−1100EX」は特徴がいろいろあって、気に入って購入したものなので今でも記憶している。

 セレクターへの信号の引き回しを無くしてプッシュスイッチとし、コントロールノブ等では最短の接続経路(信号コード長を短くする)とするために前面のノブから内部にシャフトが伸びて背面近くでボリューム形式の抵抗を回転させる仕組みや、信号の混在を防ぐために回路間を離して設置したり左右対象に配置したり、きわめて大型の電源トランスや出力トランスを搭載、やはり大型のコンデンサーなどを搭載し、十分な電源供給を行う、といったようなものだ。  機械的にも耐震設計がされているため、大きいだけでなく凄まじく重たい。その重量は20Kgはあるかと思う。

 そうした理由で私のケンウッドは、半ばお蔵入りしている状況だ。

 さて、ハイスペックであるとはいえ、そうした重厚長大な数世代前の製品から比較したとき、最近のデジタル・アンプから流れる音や機械そのものには眼を見張る特徴がある。何よりもぐっと小型だ。  その上で小さな筐体からは考えられないようなみずみずしい音が流れて来る。音そのものは若干「細い」ような気がするが、それは決して「痩せている」わけではない。
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<ONKYOのデジタル・アンプ技術>

 増幅回路がデジタル信号の状態で行われるという特色のある「デジタル・アンプ」。その製品を担って市場に供給しているのが「ONKYO」という老舗メーカーだ。

 私にとっての「ONKYO」はアンプ・メーカーというよりもむしろスピーカー・メーカーとして位置付いている。

 製品としては輸出用の低価格モデルにもかかわらず「MS−1000」というなんだか凄い名称が付けられた3ウェイ・スピーカーを使っている。今ではウーファーのエッジ部分のウレタンが劣化してひどい状態になってしまい世代交代が必要なのだが、このスピーカーもケンウッドのアンプ同様に大型なので、実家に置いてある状態だ。


 さて、デジタル・アンプ。何よりも小型化できるという事が最大の特徴であろう。それは信号増幅での変換ロスが少ないために実現できるものだ。エネルギー効率が良いので、同じ出力を得るのに従来よりもコンパクトな回路設計で足りる。

 サージやパルス・ノイズなど、はじめはどうかと思っていたが、それもなく、きわめて自然な音が再生される。無音状態から突如立ち上がる音の出現を考えたとき、その回路技術は本当に素晴らしいものだといえよう。

 気がつけば、元々、「デジタル・アンプ」は使っていて、パソコン用のモニター・スピーカーがその回路を積んでいた。ONKYO製の「GX−D90Y」という製品。  Windows・XPのマザー・ボード上のオンボード・オーディオ出力そのものを繋いでいるが、余り良い音ではなく、疑問に思っていた。その事については、最後にまた触れることにする。

 筐体そのものはコンパクトであっても、内臓する電源トランスが大型で、電解コンデンサーもそれに準ずる充分な大きさのもの、要は充分な電源回路での安定供給能力が保障されるという事だが、そうした観点で候補を考えると幾つかの製品が浮かぶ。

 例えば、INTECというシリーズのアンプで「A−933」や「A−905FX」といった製品。

 このシリーズは実にコンパクトで横幅は僅かに275mm、あるいは205mm。アルミのフロントパネルのしっかりした筐体で、搭載される回路としても構造としても、何ら問題はない。

 年のせいか、大型の製品は主張が強すぎる感じがして邪魔だ。生活の邪魔にならない、生活に溶け込んでしっくりとするコンパクトなものが良い。
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<さあ 買うぞ! ・・・デジタル・アンプの機種を決める>

 ピュア・オーディオのアンプシリーズも勿論あって、それだと435mmのフルサイズになる。せっかくの小型化メリットなのだから、やはり小型な製品がよろしかろうと思う。

 そう考えるとINTECシリーズの2製品が候補となるが、調べてみたらさらに小型化を押し進めた製品があった。

 「CR−D1LTD」と「CR−D2」の<CDレシーバ>のシリーズだ。

 これらは<レシーバ>なのでアンプ単体の製品ではなく、CDプレイヤーとFMチューナーが一緒に納まっている。単独の機能を組み合わせて作り上げるコンポーネントではなく単体で完結する潔さがあり、海外では人気のコンセプトだ。私がオーディオに眼編めた頃から「レシーバ」はあって、SONYなどが形の良いものを作っていたが、国内では不人気で機器のジャンルとしてはマイナーなままだ。(当時はメディアはLPなので、レシーバーに搭載されたのはチューナ機能とアンプ機能のみだ。)

 ONKYOの製品は、レシーバーという形式的なコンパクトさをさらに極め、デジタル・アンプ回路で構成しているのできわめてコンパクトにまとまっている。横幅は先の「A−905FX」と同様に僅かに205mm。パーツは「A−933」には及ぶべくもないが、905とほぼ同一だ。いや、従来品(CR−D1)に比べてコンデンサーなどはさらに高性能品となっているし、筐体もアルミの側板と天板で強化されているので、こちらの方がむしろ上かもしれない。

 そもそも私のスピーカーは小型であるから、出力はそれらのシリーズで充分だ。何よりも価格や製品のコンセプトが私の身の丈にあっている。

 という事で、ターゲットを「A−905FX」と「CR−D2」に絞って、店舗で音を聴いてみた。

 はじめに「デジタル・アンプ」の存在を意識付けられた高性能プリメインアンプ「A−1VL」(ONKYOアンプの最高峰製品)の眼の覚めるようなみずみずしい音は当然望めないが、そこからは「デジタル増幅」を認識させられた「粒だちの良い音」が歯切れよく立ち上がっていた。

 変に加工されたり、膨らませたものではなく、すっきりとした透明感がある音がある。妙な具合に強調せずに自然な再現性といえば想像できるのではないだろうか。聴き様によっては骨細い気もするが、ピアノの響きなどは心地よいものだ。

ONKYO CR-D2
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 アナログの真空管アンプ。これは太くて実に温かい音が流れ出る。

 コンデンサーや信号線、プラグなどのパーツを変換して作ったキットがある。私が作った「TU−870」は低価格の入門キットであるが、精度が高く優秀な製品だ。低廉な製品ではあるが、間違いなく真空管アンプの、特色ある厚くてドライブ感の溢れる音色が楽しめる。

 その音と「デジタル・アンプ」の再現する音の世界は、方向の異なる性格のものだ。

 「CR−D2」は、いかにも「デジタル」らしい音が売り物で、コンパクトに凝縮された製品であるが小さな筐体からは想像できない非常に優秀な再生能力を持っている。この製品を購入すれば、私は両方の回路の特徴を楽しめることになる。


 オーディオは趣味だ。だから、金に糸目は付けない。そのため変に納得する事をせず、ミニコンポ最高の再現能力を持っている「A−933」を購入することにする。

 いや、それは嘘。

 そんな訳などあるはずがなく、資金を無限に投入するような贅沢は勿論、望むべくも無いのだ。だが、身の丈にあったもので楽しむ世界はやはり捨てがたいと思っている。

 技術が革新し、優秀な再生音が手頃な価格の製品でも実現される。なんと素晴らしいことであろう。結局、迷った果てに私が購入したのは「CR−D2」であった。

PIONNER の小型2ウェイ SA4SPT ONKYO の 小型SP D−112E
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<GX−D90Y(パワード・スピーカー)>

 VLSC回路搭載のアンプ内臓型のスピーカー「GX−D90Y」は小型の2ウェイだ。4bit/96KHz対応 光デジタル入力端子を搭載しているので、光や同軸によりデジタル出力を受ければ、スピーカー内臓のDACで再生が出来る。さらにアナログ入力も受け付けられるようにRCAジャックが付いている。

 エンクロージャーはMDFで周囲は木目プリントで仕上げられていてシックな外観を持っている。フロント面の下部にスイッチを兼ねたボリュームつまみとINPUTの信号(デジタル、アナログ)切り替えやトーンコントロールなどの各種ノブ、さらにヘッドフォン用の金メッキのピンジャックがアルミのパネルについている。

 スピーカーのユニットはウーファーが9cmのオリジナル・ダイアフラムで効率がよく、ツィーターはクラスでは特筆に価する90KHzまでの音域をカバーする。アンプの再生周波数は48Hz〜90KHzという途轍もないスペック。「山椒は小粒で・・・」を地でいく、実に優秀な製品だ。

 パソコンのボード上の音声出力からミニ・プラグでアナログ接続をして聴いていたが、製品のスペックに比べて、そこから流れる音はなんとも貧相で、うら悲しいものであった。ノイズも多いし、なにより音に透明感が無い。だから、デジタル・アンプはこんなもの、と思ってしまっていたのだ。実際は、このパワード・スピーカーのアンプ回路は他のアンプ内臓のサブ・ウーファーと同様に、デジタル・アンプではなく従来のアナログ・アンプであるらしい。

 今回、Web上でパソコンでの音楽の再生に関して検索してみた。Intelのチップセット(オン・ボード)のオーディオ・デバイスがすべての原因であることが分かった。内容としては、ノイズや音自体の鮮度に関してはオーディオ・ボードを追加して再生すればすべて解消する、というものであった。

 嘘であろう。PCIデバイスのオーディオ・ボードは一部のマニア向けのものであり、通常の再生にはオン・ボードのデバイスで十分、と思っていた。だって、5.1Chの再生や、再生する対象(デスクトップ用の外付けスピーカやディスプレイ内臓スピーカなど、スピーカーの形状や種類まで選択できるではないか。


 いや、全くの誤解であった。

 パソコンに増設するオーディオ・ボードから再生された音は、まるでコンポの音と違わない、なんとも素晴らしい音だった。

 「悪い音」の元凶は、オン・ボードのオーディオ回路そのものだった。一体、あの間に合わせの音は何だろうか。信じられない豹変振りだ。僅かボードを加えただけで「眼から鱗」の激変ぶりなのだ。確認したオーディオ・ボードはアナログでの音声出力に特化して回路設計されたものだが、ただただその能力の高さに驚いてしまった。

アンプ内臓スピーカ ONKYO の アンプ内臓スピーカ
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<VICTOR のデジタルアンプ EX−AK1>  2010.08追記

 ウッカリしていた。

 ONKYOのアンプが私にとってのデジタル仕様の初購入品と思っていたが、実はそうではなかった。もうすでにデジタルの恩恵に浴していたのだ。4年前だったろうか。ウッドコーンの自然な音に打たれて即座に購入したVICTOR(ビクター)のコンパクトオーディオがデジタルアンプ製品だった。私の「老人力」も堂に入ってきたようで、すっかりそのことを忘れていた。

 VICTORのコンセプト製品で、「EX−AK1」という。デジタルアンプの生命線ともいえる電源部が上位機種並みに強化されている。その電源部と、アンプ部、その他各ブロックがそれぞれシールドされて相互干渉が排除され、高音質が追求されている。デジタルアンプの回路名は「DEUS」。音質改善技術「K2テクノロジー」も搭載されて、音質的にメーカ独自の工夫が凝らされている。

 生活の一部として音楽を楽しむ。そのためには、重厚なサウンドシステムが必要だが、そうすると高音質での音楽再生環境は手に入れられても、別段に構えた状況や姿勢を必要としてしまう。基本は生活にあり、その中で音楽を楽しむ、というスタイルを突き詰めていくと、こうしたミニマムのシステムが出来上がる。先のONKYOのCR−D2などもそうだが、VICTORのこの製品もそうした路線上にある。

 手を抜かずに小型化を進める。技術を革新して高い能率を確保し、同じように高い音質を確保する。ラジカセは実に便利なものだったが、何せ音が悪かった。アイポッドなどが主流の状況にある中で、同じ土俵でCDやFMに高いクオリティを求めると、こうしたコンセプトの製品としてその姿をあらわしてくるのだろう。

 ピュアオーディオの前段としてのミニ・コンポとは、求める到達点が異なって居るように思え、まるで別の文化から発生してきたもののように思える。

VICTOR EX−AK1
アルミの厚い板をパネルとしていて、筐体の剛性が高く、安っぽさが無い。
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 「スピーカーは楽器であって欲しい。」 これはメーカの「ウッドコーン」スピーカの開発コンセプトだ。

 フルレンジ8.5cmのユニットが、美しい桜の一枚板を利用したエンクロージャに収納されている。

 せっかくの天然無垢の美しい板材なので、その木目を生かして工芸品のように仕上げられている。桜材なのでその木肌が一際美しいが、深みのある仕上げがされていて、独特の品格がある。

 勿論、利益を無視した素材が厳選されているので、長期間の利用でも劣化がないだろう。「天然木」と銘打っていても、私が購入できる程度の製品はみな突板仕上げだ。(表面だけを木目が美しい天然木のシート材で覆って仕上げる仕様が、「突板仕上げ」だ。) ところが、この製品は完全な一枚板を利用している。表層の数ミリだけが天然板という訳ではないので、響き自体が違う。

 フルレンジのユニットがマウントされているが、ご覧の通り「ウッドコーン」を採用している。

 「素材には、いくつもの試聴を重ねて選び抜いた樺材を使い、センターキャップも同じ樺材で統一しました。“木”の振動板ならではの、美しい響きをストレートに聴かせることができます。」というのがメーカの談なのだが、まさにその通りで、まるで楽器のように艶やかな音があふれる。

VICTOR

メーカの台詞ではないが、まるで楽器のような艶のある音楽が楽しめる。

エンクロージャーも素晴らしいが、コーンの味わいも実に深いといえよう。
VICTOR
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