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カメラ : 35mm 一眼レフ 2008.10.22 ブラック・ボディ 追記
SP−F |
カメラ;
ASAHI−PENTAX SP−F
1973年発売 (58,500円;55mmF1.8レンズ付き
・・・ちなみに当時の小学校教師の初任給は50,800円 日産チェリークーペ 1200XR 635,000円)
レンズ;
SMC−TAKUMAR シリーズ (M42プラクチカマウント;旭光学ではスクリューマウントと呼称)
シャッター;
横走りゴム引き布幕シャッター(1/1000秒、ストロボ1/60同調)
露出モード;
全面平均測光
マニュアル露出のみでAEはない
私が持っている、「SMC−TAKUMAR」レンズを一手に引き受けている信頼性の高いボディ。ビートルズも持っていたベストセラーの<SP>の発売から10年後の改良機、1973年発売の<SP−F>だ。
73年は、小学生から中学生となった年で、人気の高かった麻丘めぐみさんの「私のかれは左きき」やかぐや姫の「神田川」井上陽水の「心もよう」がヒットした。「ひなげしの花」でアグネス・チャンがすごい人気で、ZOOやデビューして直ぐのキャンディーズが公開録画で前橋に来て、みんなで見に行ったのが、この年だ。
年末は「オイルショック」で日本中が大騒ぎする、大変な年であった。
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スクリューマウント(M42プラクチカ)専用のボディだが、開放測光が出来る。
多くの新規機能があるのだが、なんといっても<開放測光>に対応した部分が<SP>からの画期的な改良だが、Cds素子による全面平均測光、横走りの布幕のシャッターなど、カメラとしての基本的な機械部分は信頼性の高かったベストセラーモデルの<SP>(世界的なヒットを記録する発売量)と同じもの。
フォーカス・スクリーンにはスプリットがなく、そのため開放F値が暗いレンズでも中央部分の「陰り」を気にせずにピント合わせが出来る。マット面でのボケ具合が確認しやすく、ファインダーを覗いていて疲れることはない。ピントが掴みやすく明るくて非常に見やすいので気に入っている。(スクリーン自体が優れているのと、ペンタプリズムの蒸着技術がいいのだと思う)
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シャッター音は、小気味のいい「パシャッ」という歯切れのよい音だ。ただし、大きな音なので、街中で写真を撮ると大抵の人が振り返る。
中年以上の人にとって「シャッター音」という場合にイメージされるのが多分この音だろうと思う。シャッターユニットが同一となる<SP>のバリエーションモデル(SP、SPU、SP−F、Hanewell−SPなど)は累計で350万台と、かなり流通した機械なので、この特徴ある音が記憶の奥底に刷り込まれているのかも知れない。
大きな音に閉口する場合もあるが、どちらかというと私はこのシャッター音(ミラーリターンの音が大部分?)が好きだ。
当然ながら、このボディは電子制御ではなくスローから高速まで、すべて機械式で制御している。精密な歯車や機械技術が高く、すべてがバネや歯車や滑車のようなハネ車など、それらの組み合わせで精度を実現している。
底蓋を開けるとミラーUP用やシャッターチャージ用やら何やらの入り組んだ精巧な歯車やピン・バネなどを目にすることが出来る。オーバー・ホールにて調整・注油して精度を取り戻せるのは、この完全機械式による制御機構だがゆえなのだ。シャッター幕がへたってしまった場合も同様だ。2枚の布幕なので、いまだに交換が可能だ。
*オーバー・ホールおよび修理・交換はメーカでは終了していて受け付けてはくれず、
認定技術のある「長谷川工作所」「東京カメラサービス」「写真レンズ工房」などの別の会社が実施している。
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測光用のTTL露出計は、カメラ底部にセットする1.5Vの電池で動作する。
本来はH−D型の水銀電池が必要だが、プラスチックのアダプタがメーカにて用意されていてLR44が利用できる。古いカメラでは、対応する電池が流通していないために内臓の電気回路(まだ電子回路ではない)が動作しない場合がある。その点、このカメラは回路が活きていれば大丈夫だ。(<SP>の場合は電池のタイプがH−B型で異なるが、SPもアダプターでLR41が対応するので、心配ない。)
旧来の水銀電池と現在のアルカリ・ボタン電池とでは若干の電圧差があるが、このカメラの場合には回路側でそれを吸収する仕組みになっているので気にする必要はない。
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<シルバー・ボディ>
通常のシルバー外装とは別に黒色のボディもある。
通称SP−Fブラック”だが、この黒が中々品があってよいのだ。使い込むとエッジ部分の塗装が落ちてきて下地の真鍮の金色が現れてくる。盛大に擦れてしまっては駄目だが、微妙な使い込み加減が良い。それが、なんとも味があって、シブいのだ。
実はブラックも手に入れたが、SMC−TAKUMARの24mm単焦点の良い中古があって、その資金とするために手放してしまった。(今ではSPシリーズは写真のシルバーボディの一台のみが手元に残った状況になっている)
程度のよい、ファインダーに傷やごみが無く、露出計が正常に働く元気なブラックが見つかれば、是非また欲しいと思ってる。
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<SP−F>の大きさと重さは、絶妙に考慮されていて、成人男性の手になじむ適度さがある。
ボディ横は直角ではなく台形(真上から見ると長い八角形)に絞られているのでホールディングがよく、手持ちでのバランスが良い。ストラップの留め金の位置が最近多くなった真横ではないので、縦位置にしてもファインダーにストラップが掛からず、撮影時の邪魔にならない。
基本構造は<SP>を引き継いでいるが、ストロボ対応のホットシューの追加、シャッターレリーズロックの装備など、使い勝手としての細かい部分が改良されている。
あえて重箱の隅をつつくような不満を言えば、フィルム巻上げのレバーの操作角がやや大きく、分割巻上げ(一枚のコマ送りを複数回巻上げ操作する)でも三回ほどジコジコとやらなければならない点くらいだろう。しかし、その不満はこのカメラの本質的な素晴らしさを少しも損なうものではなく、どっちでも良い、取るに足らないことだろう。
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<ブラック・ボディ> 2008.10.22 追記
一度手放してから、一体何年が過ぎただろうか。<SP−F>にはシルバー外装とは別に黒色のボディがあって、程度が良いものが見つかれば入手したいと書いたが、約8年振りにまた手にすることが出来た。
いつもの昼休みの定点パトロール、西新宿の「カメラのきたむら」へ偵察へ行った時のことだ。
「あれっ」っと思った。ショーケースの奥にあるのは「PENTAXのSP−Fの黒」ではないか。その隣には、ボディと並んで「SMC−TAKUMARの35mmF2.0」が置いてある。35mm2.0はSMC−Mシリーズのレンズを持っていて、お気に入りの一本だ。優秀で味のある描写が特徴の人気のレンズ。タクマー・レンズはその名レンズの祖先だ。
いったい、どういうつもりだろうか。この持ち主はもう銀塩には興味なし、という事なのだろうか。
悪いものを目にしてしまった。仕方がないので声を掛けてケースから出してもらう。
「ちょっと、触ってもいいですか?」は赤瀬川源平氏のレポートにあるように、中古カメラ店でのこの掛け声はどうやら全国共通らしい。
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<中古ボディの店頭でのチェック>
いつもの店員さんにケースから出してもらって、早速チェックを始めた。外観はスレが多く、真鍮の金色がボディの縁部分に出ている。へこみや当りや深い傷は見える部分には無いが、決して綺麗という訳ではない。まあ、この年代の黒ボディとしてはごく普通で標準的な状態だろう。
ファインダーには曇りやカビはなく、勿論プリズムの腐食による黒い筋もない。すこぶる明瞭なピントグラスの状態だ。外見は、まず「合格!」というところだろうか。
さて、次のステップ、動作の確認はシャッターからだ。
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「おじいさん」「おばーさん」 1秒は大丈夫だ。「かーさん」1/2秒も大丈夫。「坊ちゃん」1/30秒もOK。一段づつ高速側へ切り替えて順次確認していく。このチェックと同時に、シャッター・ボタンの引っかかり、シャッター・ボタンのロック機能、巻き上げノブの回転や小刻み巻上げの動作、フィルム・カウンターの動作などを確認していく。セルフ・タイマーとのシャッター連動、これも大丈夫のようだ。
マウント側から覗いてシャッターを切ってみるが、ミラーのアップダウンは正常に動作する。ミラーを上げて手で押さえるとシャッター幕の動作が確認できるのだが、幕の開閉動作も大丈夫のようだ。
表側には傷が無いので、裏蓋を開けてみる。フィルム側から見えるシャッター幕の動作も問題ない。フィルムのガイドレールのステンレスや裏蓋のフィルム押さえパネルなど、どこにも問題ない。
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さて、いよいよ最後の確認だ。メーターは活きているだろうか?
絞り連動ピンを動かしてみるがひっかかりはなくボディ側は問題なさそうだ。レンズを接合してみる。マニュアルでレンズ側の絞り値を変えると、ファインダー内の露出インジケータのメーター針が動く。いや大丈夫、Cds(受光素子)は生きている。電源も回路もすべて大丈夫のようだ。
マニュアルでの絞り込み連動、オートでの開放測光での絞り連動制御、ともに問題が無い。
これなら、安心して使える。というより、このボディのオーナーはずっと現役機として使い続けていたに違いない。だから、各部の機械精度や動作が保たれていたのだ。
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外観は適度な「使用感」や古さがある。この「使っています」という感じは好みの分かれる部分だろう。
こうした使用感が無いほうがいいという人も多いかと思う。中古と言ってもさまざまで、現行モデルからビンテージものまで幅広く<中古>なので、この辺に選択の難しさがある。たとえば、物件が「デジタル一眼」であれば5年ほど前の製造のものからあるわけだ。進歩が激しい世界なのでなるべく新しいモデルで高スペックなもの、しかも使用感の薄いものが好ましい。
外側に傷や当り(プラボディなのでへこみは無い)があるものなどはもってのほかだ。そうした現行機の価値観とは異なる世界の価値観を持っているいるのが、古い世代のメカニカル・カメラ、いってみればビンテージものの世界なのだ。
今回の<SP−F>は、一番古い製造と仮定すると1973年製となるので、遥か35年前に生産されたものとなる。但し、デッドストックが販売されていることもあるので、初期オーナーによる購入はそれほど前ではないかも知れない。
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<中古ボディの寿命についての考察>
もし仮に製造から35年の歳月を利用されずにいたとしたら、精密機器としては致命的な問題点となるだろう。
余りにも外観が綺麗なものは死蔵されていた可能性がある。機械としての外観上のダメージは無いのだろうが、精密機器としての動作は危ういに違いない。
そこでわれわれ愛好家としては、利用する前提で古いボディを購入する場合、その辺りの事情を手にした現物から見極める必要がある。機械からの語りかけの声が聞こえるほどの達人の域に達すれば別だが、なかなかそういうわけには行かない。
探していたボディを手にしてカウンターで確認しているときなど、なんだか妙に舞い上がってしまうからだ。凡人は神経を集中してなるべく冷静に判断するしかない。
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さて、余りにも酷使した形跡がある場合の判断だか、内部の機構も金属疲労があるのだろうから敬遠したほうがよいだろう。たとえば、シャッターやミラーなどのように部品構成がバネの仕組みで出来ている部分では設計や組立上の耐用回数というものがある。
一眼レフの場合には普通は10万回ほどを想定して作られているはずだ。仕事で利用しているものがここまで古い事はあり得ないので、前オーナーは必然的にアマチュアであったという想定になると思う。自分を基準に考えれば、年間約60本の36枚撮りフィルムを利用していたので、一年で2160回のシャッターを最低で切っていたことになる。多めに数えて10年で22000回、30年でも66000回だから、あと20年の残存利用寿命という事になろう。
すでに市場から慣れ親しんだ「銀塩フィルム」が駆逐されつつある。
ボディ自体が「機械的」に20年持ったとしても、記録メディアであるフィルム製造企業やラボなどの現像所やプリント施設などの銀塩システムが撤退している可能性がある。そういう可能性の前提に立つと、システムとしてバックボーンを支える企業が存続すれば、フィルムカメラのボディは一生ものといってもいいかもしれない。
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そのように考えてみると、先に書いた「使用感云々」などはまるで問題ではなくなってくる事に気付くだろう。となると、全ての動作部位が現状で問題なく動き、期待した精度が機械として保たれている、という事が一番大切になってくる。電気的な回路修理は早い時期から、さらにメカニカルな修理でさえ製造メーカーでは受付けられ無い世界なのだ。
製造メーカーとは別の各修理会社もきわめて工房的な集団となっていて、メカニカルな修理・メンテナンスの技術が途絶える可能性が高いためだ。街から時計屋さんや鞄屋さんや靴屋さんがなくなった事情と同じだ。
たとえば、先に書いた20年という単位を考えてみよう。
大量生産されるあまたの工業製品の中で、こうした長期の製品命を持っているものが他にあるだろうか。そうした目の眩む様な残存利用期間を通じて大切になってくる主題は、修理やメンテナンスが出来るかという懸念もあるが、尽きるところ自分が気分良く使い続けて行けるのかというきわめて個人的な問題だろう。
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話は変わるが、金属ボディの場合にはボディ全面に対する「再塗装」が可能だ。
自分でやっても良いのだろうが、「焼付塗装」とする必要があり、それが素人には難しいハードルとなっている。すれが多いので、普通の塗装下だけでは二三回の利用で直ぐに剥離やスレが発生してしまう。
工房的な修理センターでは、プロの技術で再塗装を請け負ってくれるところがある。分解して塗装するパーツ部分を本体のアルミブロックから分離しなければならないので、開放や分解の技術が必要となり、結果としてその工数分だけ塗装価格が高くなるのだ。
時に中古店では、再塗装品を目にすることがある。ブラックだけではなくオリーブに塗装したものもある。シボ加工された「貼皮(今となっては本皮ではなく多くはビニール製)」も販売されているので、危険を冒して塗装をせずに、滑り止めで巻かれた皮部分だけでも張り替える事が出来る。形をとってボンドG−17などで接着すれば良い。
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分解、開放を自分でやってみると楽しいかも知れないが、どこが逆ネジ(回転部分の止めネジ)になっているかを把握しなければならない。
これを間違うと、ネジが破損して取り返しが付かなくなる。部品留め用の精密ネジは「東急ハンズ」などで小売がされているが、逆ネジはあまり目にしない。さらに「かに目ネジ」などを入手することは、まずできないだろう。こうしたものは、現物から確保するより入手する道がない。
ジャンク品から再利用できるネジや部品を調達しなければ、破損した部品を補うことは出来ないのだ。底部パーツは無神経に留めネジを回転させて外せばよいが、各種のネジ類を開放して軍艦部(トップパネル)をボディ本体から分離するには逆ネジ部分の把握が必要だ。
細心の注意力と集中力、そして失敗した場合にすばやく諦める覚悟が必要となる。
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<M42;スクリュー・マウントでの開放測光>
現在のバヨネットマウントならレンズをボディへ装着するのに半回転もさせないと思うが、このボディ用のSMC−TAKUMAR(M42マウントはすべて)レンズは3回転半くりくりとねじ込んで取り付ける必要がある。まさに「接合」するのだ。
儀式のように取り付けたレンズで「絞り」をセットし、ボディ側のダイアルで「シャッタースピード」を調整してファインダー内の露出計の針が水平となれば適正露出。その際、レンズの「Auto」位置にレバーをセットしていれば、絞り開放状態でピント合わせが出来る。(そしてシャッターレリーズの瞬間に設定した絞り値に絞り込んで露出する。)
レンズの絞り環にあるレバーを「マニュアル」位置にすれば開放測光ではなく実絞りに絞り羽根がセットされる。より正確な露出が可能だ。ただし、その場合はファインダーは絞った分だけ暗くなる。このボディの場合には、開放測光での露出精度が高いので、あえて暗くしてまで「絞り込み」で測光する必要はない。
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SMCタクマー 120mm F2.8 K10D 1/25 f2.8 露出補正+0.7 手振補正ON(手持ち) |
SMC−TAKUMARレンズに付いた「Auto」、「マニュアル」の切り替えの仕組みが、さらにボディ側にもあるところが<SP−F>の便利なことろだ。
マウント横にある黒いレバーを上に上げるとレンズが絞り込まれるのだ。レンズを左手でホールドしていると、ちょうど親指がレバーにくる絶妙な位置だ。(開放測光ではないSPにも同じレバーがある。<SP>では、このスイッチが測光スイッチだった。)
本来はSuper−TAKUMARレンズ(絞り込み測光の<SP>用レンズ群)を利用する際の測光スイッチだが、その操作がSMC−TAKUMARレンズなら不要だ。レンズ側の設定を「Auto(開放)」にしたままで、「マニュアル」側に切り替えたのと同じ動作になるので、設定した絞り値で実現されるボケの具合をファインダー像で露出前に確認できる。
風景撮影や花などの接写には必須の絞り込みプレビューがこんな古い生産年代(30年前)のカメラで装備されていた。
だから、開放測光対応のSMC−TAKUMARレンズをこのボディで使う場合の操作性は、絞り優先のAEではなくマニュアル露出で利用する際の現行機種と違和感がない。(マニュアルフォーカスでの撮影が多い場合は、さらに、まったく違和感がないだろう。)
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実はスクリューマウント用のボディとして最初に中古で買ったのは<SP−F>ではなく<SP>だった。 たが、その<SP>は半年足らずで絞込み測光の使いずらさから手放してしまった。
バヨネットマウントのボディはすでに数機種持っていて、それらのボディではマウントアダプターでSMC−TAKUMARレンズが取り付けられるが、レンズとボディが持ってる機構は連動しない。絞込み状態で暗くなったファインダーでの絞り優先露出となる。現行のデジタル一眼用のボディにもその状態での利用となる。そうしたセットで露出を設定するには、次の2つの方法がある。
開放でピントを合わせ、その後改めて絞りをセットする方法がひとつ。この場合、三脚がないと近接時のピント合わせは苦しくなる。絞りをセットするには、ファインダーを覗いていた眼を外さなければならないからだ。しかもアングルも微妙に変わってしまう。そしてもうひとつは、被写界深度を頼りにピントは微調整しないという方法。設定したピント距離は、実際にはレンズの絞り値が持つ被写界深度の範囲でピントは合ってくる。近接撮影ではなかったり、絞り込んでいたりという状況の場合には、ピントは多少ラフに合わせておいても大丈夫なのだ。だから、この方法だと構図作りに専念することが出来る。
いずれの方法も私の場合にはちょっと使いずらかった。そうした理由からスクリューマウント対応のボディであるSPを買ったのだった。しかも素敵なボディデザインが気に入ってシルバーとわずかの間でブラックを。ならば最初から<SP−F>を買えばよかったが、程度のよいボディがなかった。
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SMCタクマー 28mm F3.5 K10D 1/13 f5.6 |
ネガフィルの外箱に書いてあるシャッタースピードと絞りの値の「天気状況による標準露出」を目安として設定する方法で大体問題はなく、ネガフィルムの場合+−2段程度の露出のずれは調整(フィルムの持つ広いラチュードとプリント時での調整)ができてしまう。
昔の写真撮影で大きな問題なく撮れていたのは、必ず順光で人物を中心に置く、一定した構図のためだ。しかもネガフィルムの特性もある。
だから、露出も構図を変える都度に測らなくても大丈夫なのだろうが、似たような構図ばかりの記念写真の撮影ならともかく、明度が大きく変わるような状況もある。そんなときに測り忘れて、露出が大きくずれて調整不可能という場合も時には発生する。趣味の撮影では、まめに適正露出かどうかを調整する必要がある。その際に、やはり<SP>の「測光スイッチ」を押すという手順が面倒なのだ。
そうした煩わしさやミスの原因を考えると、この<SP−F>と、その開放測光という考え方を実現させた対応レンズ群(SMC−TAKUMAR)の開発は、新たな可能性あふれる時代を切り開く意味がある。本当に素晴らしいものなのだ。
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やはり時代としては高級品だったことがうかがえる、ケース類やアクセサリーも驚くような質感を持っている。
本皮製のカメラーケースやレンズケースやストラップなどは今見ても素晴らしいものだ。
フードも非常によくて、しかもフードを収納する皮製ケース、これがまた気合が入っている。
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