<Super Takumar;スーパー・タクマー レンズの仕組み>
開放での 『絞り位置を伝達するための連携タブ』 と、選択した 『絞込み位置を伝達する絞り値連携バー』 がボディへと情報を伝える仕組みになっている。しかも、歯車の回転具合だとか羽根の位置などといった機械的な状態変化によってそれが行われる。露出計の適正を表現している指針は、電気抵抗の値で上下するが、伝わった機械の位置状態の値がボリュームのような連続する抵抗によって電気的な数値に置き換えられるのだ。
さらに、マウント基部には上記の仕組みの他にSuper−TakumarやSMC−Takumarに用意されている 『絞り動作用の制御ピン』 が出ている。銀色に光このピンが押されると、レンズ内部の絞り羽根が絞られる仕組みになっている。
個別のレンズか持っている開放F値がいくつになるかと、今その開放状態からどれだけ絞っているかの情報伝達は、今ではレンズとボディの間の電気信号がそれを担っているが、この伝達手段が、当時は目が眩みそうな「完全な機械仕掛けによる機構」によって成されていたのであった。
時計やカメラのような精密な機械制御の仕組みは今ではもう作れないのだろうが、老練な技術者であれば、相手が電気回路ではなく羽根やバネや歯車などの機械なので、初期の精度を出すようにメンテナンスすることが出来る。そのため、こうしたフル・メカニカル・カメラはオーバー・ホールによって新たな命を与えられ、マシンとしての寿命を取り戻すことが出来るのだ。
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