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カメラ : 35mm 一眼レフ
Ist-D

カメラ;
 PENTAX  Ist−D

  2003年発売 ( ボディ価格:オープン;発売時の実勢価格192,000円 )

レンズ;
  PENTAX DFAシリーズ (バヨネット KAf2マウント オートフォーカス対応)
  PENTAX DAシリーズ  (バヨネット KAf2マウント オートフォーカス対応)

シャッター;
  電子制御式縦走りフォーカルプレンシャッター(1/4000秒、ストロボ1/150同調)

露出モード;
  16分割測光、スポット測光、中央重点平均測光 の切り替え
  プログラムAE、絞り優先AE、シャッター速度優先AE、マニュアル、
  ハイパープログラム、ハイパーマニュアル
画素等;
  600万画素、JPEG、RAWでの記録


 <Ist−D(イスト ディ)>はPENTAXのデジタル一眼レフの初期モデル。

 この頃はまだ、フィルム・カメラが健在であった。各社共にデジタル仕様の「一眼レフ・カメラ」に対しては市場動向を観察してから、といった多分に様子見の流れであり、レンズやボディや周辺装置など、開発や生産の中心を完全にデジタル一眼向けのシステムへとはシフトしていない状態だった。

 2003年といえば、僅かに5年前にしか過ぎず、まだデジタル一眼の世界は試行錯誤の最中であった。

 例えば、コニカが優秀なフィルムやコンパクト・カメラのメーカー(写真産業としての総合メーカー)として、あるいはミノルタが風景などのネイチャー系で根強い人気を持つ一眼レフの先進的なカメラ・メーカーとして、共に頑張っていたころだ。折角企業統合したが、今は残念ながら両社ともに本流であった「カメラ産業」からは撤退してしまっている。

 その後、デジタルの第二世代はまだ多分に黎明期の雰囲気を残していた。メーカー側の開発への踏み込みもユーザからの製品への期待も、どちらもいまひとつで、「もうこれです」という思い切りを欠いていたように思う。

 だが、各社が三世代目の一眼レフ・ボディを発売する頃になると、市場の状況は一変した。写真業界全体やカメラ・ユーザの環境そのものが急速にデジタル・カメラへシフトし、しかも加速し始めたのだ。
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Ist−D

 PENTAX初のデジタル一眼レフ・カメラの<Ist−D>。

 販売価格はオープン・プライスであったが、発売時の平均価格は192,000円。その当時、私にはまだデジタルで行っていいのかどうか、APSカメラがそうであったように、鳴り物入りで登場してもコケてしまうのではないか、といった漠然とした不安があった。だから、購入にはある種の決意が必要だった。

 私が買ったのは2004年9月なので、発売後約一年が経っていた。それでも新宿のカメラのキタムラで12万円ほどして、たしか10回払いのクレジットにしてもらったのであった。オプションの「縦位置グリップ」とのセットだったが、幸い未使用のキャンセル品だったのでその価格で入手できたのだ。

 この<Ist−D>の基本設計はシャーシに特別な工夫があった。剛性を高めて、しかも小型・軽量とし、内部に電子回路を満載させるために<ステンレス・プレート>による「組み上げ方式」で作られていたのだ。従来のアルミ・ダイキャストの型造りでは、ここまでの小型化は出来なかったろうと思う。ボディを手に持った感じは、背面の液晶パネルがあるために多少厚みがあるが、小型軽量を主題とした<MZ−3>とほとんど変わらない。ボディからはコンパクトな高性能機というPENTAXが得意とする独特の雰囲気が溢れていた。

 機構としても、実に優れたものが搭載されている。それらのほとんどは、その後のモデルにも引き継がれ、さらに熟成を重ねていくものだ。「16分割の測光システム」、「光学式のプレビュー」、「ペンタプリズムによる明快なファインダー像」(Ist−Dは特に視野率が高い)、瞬時にモードが切り替わる「ハイパー・システム(露出モード切替機構)」、などがそれだ。
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シャッター部 マウント部分

 特にファインダーに関しては、フィルムからの違和感がまったく無く、視認性が優れ立体感がある。

 そのため細部までが、実にすっきりと見える。最近はコスト重視のため、光学プリズム式ではないものが多いが、それらとは一線を画している。このモデルのものはガラスを利用したペンタ・ミラー式などとは比較にならない優れた結像性能を持っている。

 <Z−1P>や<MZ−S>でおなじみのハイパー・プログラムやハイパー・マニュアルも装備されている。

 この仕組みが、実に使いやすい。前後のダイヤル操作出切り替えが出来るのだが、それはボディーをホールドした親指と人差し指を操作して、グリップしたままの状態で「絞り優先」や「シャッター優先」に露出のモードを瞬時にシフトする仕組みだ。
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 これだけの使い易い機能を詰め込んだが、開発の苦労の一端は「シャッター・ユニット」に現れている。

 このボディのミラー・ボックス部を見てほしい。マウントのフレームぎりぎりまで空間がある。そう、ここだけを見ると35mmフィルム規格のサイズなのだ。ミラー・ボックス、ミラー、シャッターなどが旧来の規格サイズなのだ。

 つまりフォーカス・スクリーン、プリズムやファインダー・レンズなどの最終光学系はデジタルの規格サイズだが、フォーカス・スクリーン以前の部分はすべて35mmフィルムサイズの部品の流用なのだ。

 ミラーやシャッターなどはデジタルのAPS−Cの小さなサイズではない。だからメカニカル部品には耐久性と信頼性がある。その小気味よい「シャッター音」は現行モデル(後継機)を含めて、未だにピカイチの響きを持っている。

フォーカス設定部 背面操作部
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 フォーカス・スクリーンはフィルム・カメラ譲りのピントの山がつかみやすいナチュラル・ブライトマット(プラスチック製)。

 そして、このボディではフォーカス・スクリーンの交換が出来る。元々着いているのは、オートフォーカス用のものなので「全面マット」タイプだ。私の場合は、縦横に分割線が入った仕様のものに付け替えている。黄金分割に近い状態で構図採りが出来るし、水平・垂直がつかみやすいためだ。

 このフォーカス・スクリーンの出来も素晴らしいのだが、その結像が、先に書いた優秀なペンタ・プリズムを通して見える。

 ピントがとり易く、しかもボケ具合も良く判る、極め付きの明るいファインダーを備えて完成形となるのだ。最近は「ライブ・ビュー」などといって液晶パネルでの利用をうたった機種も出ているが、反射や色飛び・色落ちなどがついて回る液晶は、あくまでも補助的なものであろう。

 ただし、このモデルの液晶パネルは貧弱だ。

 最近のモデルではボディ形状と共に大型化されているが、2003年当時の製品では2インチ以上の液晶の搭載は出来無かったのだろうと思う。これは仕方が無い部分だ。

露出モードと測光モードの設定部 縦位置グリップ
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 さて、使い勝手という面で一つ紹介しよう。

 このボディの電源部は、マルチ・バッテリー仕様となっている。

 私がリバーサルで利用している<Z−1P>の電池の「2CR5」、世界中どこでも手に入る「単三電池」、そして「専用の充電式リチウム・イオン電池」が使える。発売されているボディ・パッケージには、充電機や充電用のバッテリーはセットされていなかった。一緒に購入しなかったのが失敗だが、残念ながら今では入手は難しいだろう。そういうわけで、このボディでは、一般の充電式の単三電池を利用している。

 縦位置グリップは、バッテリーグリップでもある。ホールドが良くなって、問題なく縦位置での撮影が出来るが、折角の小型ボディという特徴を犠牲にしてしまうので、実は私の撮影スタイルではあまり出番は無い。

 MZ−3のバッテリーグリップ程度にスリムであればよいのだが、ホールド第一に考えてデザインされているので、少し無骨なのだ。

縦位置グリップのシャッターボタン部 縦位置グリップ
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