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カメラ;
PENTAX Z−1P
1996年発売 ( ボディ価格:118,000円 )
レンズ;
SMC PENTAX Fシリーズ (バヨネット KAfマウント オートフォーカス対応)
SMC PENTAX FAシリーズ (バヨネット KAf2マウント オートフォーカス対応)
シャッター;
縦走りメタルフォーカルプレーンシャッター(1/8000秒、ストロボ1/250同調)
露出モード;
6分割測光、スポット測光、中央重点平均測光 の切り替え
プログラムAE、絞り優先AE、シャッター速度優先AE、マニュアル、
ハイパープログラム、ハイパーマニュアル
<Z−1>、その改良モデルの<Z−1P>は、35mm銀塩カメラの最終モデルとなった<MZ−S>の二世代前(メカ的操作に回帰した<MZ−3>の一世代前)のプロの利用に耐えるスペックを備えた本格派。
リトラクタブル式のストロボなどあまり使わない機能もあるが、1/8000秒高速シャッターを装備し、カスタム・ファンクションといって各種の動作設定を記録できる仕組みを備えている。
<LX>以来、久々に登場したハイエンドモデルだ。
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このカメラの来歴を紹介すると、ほとんど衝動的に買ってしまったもの。
一度、ファインダーを覗いたら、その場で固まってしまって購入したものだ。すでにモデルは<MZ−5>、<MZ−3>になっていたので、新品ではなく中古だ。(中古価格の3倍近い価格では、所詮新品は買えなかったのだが・・・)
購入した<Z−1>は年式が浅かったが、外装の小キズ(擦れ)があり適度に使い込んだ形跡がある状態であった。プラスチックの艶のある外装なので、小さな擦れ跡でも目だってしまうのだ。
幸いこのボディにはボタン類や液晶パネル(リトラクタブルのストロボトップ位置にある)は無い。そこでプラモデル用のつや消しの黒スプレーで、3次曲面を持つ優雅な上カバー部を塗装した。下カバーはメーカーの新宿修理センターでカバー単体を購入し、自分で付け替えた。単なるプラスチックカバーが数箇所の精密ネジで留められているだけなので、センターでの交換や工場送付での交換は不要だ。こうした場合、在庫があれば部品だけを売ってくれるのがPENTAXというメーカーの良いところだ。
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これだけの使い易い機能を数万円程度で入手できたのでありがたいのだが、メーカ側に立って考えてみれば、クラシック以外の電子制御のモデルはなるべく新品を購入するべきだろう。
中古での流通ではメーカーにお金が還流されず、ユーザーの財布には優しいがメーカーの財布は厳しくなる一方だからだ。次のモデルの研究・開発資金が回収できずに、株式などで営業外に外部から調達するしか方法がなくなってしまう。結果として、今回のように企業自体がなくなってしまい、ユーザー自らが良心的なメーカーの首を絞めてしまうことになる。
そうした訳からでも無いが、<Z−1>の改良モデルの<Z−1P>はストック品を購入した。新品だが、価格は破格で、1/2ほどであった。
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<MX>や<LX>と同様に、このカメラもフォーカススクリーンの交換が出来る。ピントもとり易いし、ボケ具合も良く判る極め付きの明るいファインダーを備えている。
モデル専用としてメーカーから正式に販売されているスクリーンは、オートフォーカス用なので「全面マット」タイプのみだ。従来のLX用などのスプリットやマイクロイメージなどのタイプから変更されている。それらを付けてみたことが無いので分からないが、若干の露出変動はあるとしても利用できるのではないだろうか。
ただし、スプリットタイプを着けたとすると、暗くてもF2.8までの開放F値を持った単焦点レンズ(PENTAXではF2以下で揃えられる)での利用が前提となるだろう。開放F4程度のオートフォーカス用の軽量ズームを付けたとしたら、その暗さに絶望してしまうかもしれない。
専用の全面マット型への変化は、こうしたレンズ事情が関係しているのだろうと思う。
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私がセットしているのは<Z−1P>専用品のマットだが、オートフォーカス用のフレームタイプから構図設定用のグリッド線が切られた「分割マット」タイプに付け替えてある。
「黄金分割」という構図割の考え方が絵画の世界にはあるのだが、このスクリーンの基準線はその理論に則ったもの。縦横比が2対3の割合の35mmフォーマットを、縦横それぞれ均等に3分割し、プラスして4隅からの対角線を引く。こうして出来た線を基準として構図を考える。
水平割りや斜め割り、ポイント対象の位置どり、などを風景絵画的な手法で画面上の分割線を基準としてモチーフを配置するのだ。
長く風景写真を撮っている方は、一度ご自分の構図を分析してみて欲しい。
私の場合、収まりが良いと感じるものや気に入ったものは、大抵黄金分割の理論配置に合致していた。(中学生の頃の美術部の活動の影響かも知れないが・・・)
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<ハイパー・プログラム>
このボディでは、いつ覗いてもファインダーの切れのよさには唸ってしまうが、露出モードも特筆できるすごさを持っている。
「ハイパーマニュアル」「ハイパープログラム」と名前が付けられたPENTAX独自の制御の仕組みだ。PENTAXユーザならすでに恩恵に預かっているはずだが、これが使い慣れると手放せなくなるほどの秀逸なものだ。
それは、被写界深度、シャッター速度、MTF(レンズ性能曲線)の各優先シフトが選択できるプログラムAEから、ボディ前後に組み込まれたダイアルで操作する。シャッター速度シフトと絞りシフトが用意されていて、モード設定を変更すること無くどちらでも随意に無制限に切り替えられる。
人差し指と親指でクリクリと小さなダイアルを回すだけだ。その操作で瞬時にユーザの思い通りの設定に切り替わる。そして変更した露出値から設定したAEモードの基準ラインへは、ボディ裏の「グリーンボタン」を押すだけだ。ボタンを押すと予め用意した優先モード(変更した速度・絞りのどちらかを固定してシフトさせるか、と優先モードに則った値)に従って設定値が基準露出に復帰する。
言葉にするとちょっと判りずらいが、便利この上ないものなのだ。開発者を抱きしめてキスしたいほど優れていて、技術担当者には完全に脱帽の機能だ。
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多分割測光の精度も良くて、私はこのボディを主にリバーサルフィルムで利用している。
<MZ−3>の購入を機に、しばらく忘れていた「撮る楽しさ」を思い出した。そして、「熱中時代」はとうに過ぎているが、もう一度露出や構図を勉強し直そうと思った。
イチからの「やり直し」となる修行なので、最初は標準レンズだけで36枚撮りフィルムで30本ほどを撮影して構図やフレーミングの勘を取り戻し、その後、各種の単焦点レンズやズームレンズを利用した。
そろそろネガフィルムからリバーサルへ進出しよう、と考えての機種選択であった。
今まで利用してきたボディ、小型軽量の<ME>、<MX>、<MZ−3>などから比べるとかなり大型になるが、特徴ある大きなグリップで手持ちでの撮影が非常にやり易く、使うとその大きさをメーカーが選択した理由に納得がいく。
ボディの持つポテンシャルと所有者が期待する取組みの方向性とのバランスに適度さがあるのだと思う。
このボディで出かければ、リバーサルフィルムでの撮影にも何ら心配の要素がない。
唯一、心配なのはバッテリーだ。一度、赤城山上でつつじを撮影していて電池切れになり、思わずただの塊になってしまったカメラを投げ捨てたくなったことがある。
余り流通していないタイプの電池(CV−3)なので、悲しい思いをしたくなければ予備の携帯は必須だ。
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