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カメラ : 35mm 一眼レフ
SMC−PENTAX DAレンズ |
こうした楽しい世界であっても、こと広角域となると話が変わってしまう。28mmレンズの換算値でも40mmだから、ちょっとどうしようという感じだ。私が持っている広角レンズの最大のものは24mmの焦点距離でAレンズのF2.8。
SMC−TAKUMARの24mmF3.5もあるが、これらでも換算すると35mm。もう少し写角が欲しいという場合に候補となるレンズが無い。いやズームであれば「FA20−35mmF4」を持っていた。短焦点でなくても不満は無いが、このレンズは比較的大振りのため、コンパクトさを犠牲にしなければならない。
こうした部分を考えると、APS−Cフォーマット専用のレンズの存在はありがたく、やはり有効な選択肢になると思う。
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<Ist−D>から始まる、デジタル一眼レフは、<DA>と名付けられた専用設計のレンズ・シリーズを持っている。
イメージ・センサー(画像素子)のサイズがフィルム時代に新規開発されたものの市場認知が得られずに継続しなかった「APS−C」サイズだ。このサイズは35mmの銀塩フィルムよりもずっと小さな面積のものだ。このため、規格に応じて作られたレンズの径も、その面積に合わせて小型化される事になる。
従来の35mm用のレンズを利用する場合で言えば、この新たなイメージ・センサーではレンズの画角への相対比が変化し、焦点距離での換算値でおよそ1.5倍の扱いとなる。逆に、この規格のデジタル専用レンズを35mm用のボディに使うと、イメージ・サークルが合致しないので、フィルム上は丸く周辺の四隅の縁部分が切られることになる。
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<DAズームレンズ DA18−55mm F3.5−5.6 AL ズームレンズ>
<Ist−D>を買ってもデジタル専用レンズはしばらくの間、購入しなかった。各焦点距離の交換レンズはほぼ全域で持っていたためだ。でも、旅行に行くのに軽量のズームが必要になって、デジタル専用のこのリーズナブルな標準ズームを購入した。
デジタルボディとセットで販売されているもので、スペックは特筆すべき部分がなく、あくまで廉価版のズームレンズだ。
ズーム領域は18−55mmなので、35mmフィルム換算では27ー80mmとなる。まあ、普通に考えればスナップ等では充分なズーム比だろう。開放値は明るくないので、街撮りでは明るい単焦点の35mmや43mmあるいは50mmなどの広角から準標準域のレンズとペアで利用する、という使い方となるものだ。
このズームの特徴を一言で言えば、「お買い得なレンズ」といえよう。とにかく想像以上によく写る。逆光に強く、コントラストが高くて、きわめて鮮鋭な絵が出来上がる。暗めのズームなのでそもそも背景をぼかすなどという絵を想定した使い方はしないが、スナップ中心の利用方法では、この鮮明さがありがたい。逆に、適度なボケなどを狙うとしたら、このレンズではなくてDAシリーズのLimitedレンズを使うべきだろう。
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<DAズームレンズ DA50−200mm F4−5.6 ED ズームレンズ>
DAの標準ズーム「18−55mm AL」が案外に内容が良いので驚いた。使ってみた感想は、これはデジタル専用ズームといっても馬鹿に出来ないぞ、という感じだった。
驚いた部分は色々あるが、中でも携帯性の良さは特筆できるものだ。当たり前のことだが、やはりAPS−Cサイズ専用のコンパクトさはあり難い。旅行やハイキングにはうってつけの小型・軽量レンズで、想像していた以上の取り回しのよさがある。その恩恵が身にしみて、この望遠ズームは2006年の12月に購入したものだ。
レンズでの作例は、PENTAXのK10用ムック本で確認済みだ。この本では各PENTAXレンズで撮影されたプロの作例が掲載されていて随分参考になった。ボディやレンズの紹介本なので当然であるが、そこには実に素晴らしい風景(ネイチャーやスナップ)が切り取られて掲載されていた。だから、DA50−200mmの性能に関しては一点の疑いも無いものであったのだ。
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このレンズは高価なEDガラス(特殊低分散ガラス)を使っていて、望遠域での色収差が効果的に補正されている。望遠域で特に効果があるが、どの領域であっても非常にすっきりとした鮮明な絵に仕上がるという特性がある。<EDレンズ>の素晴らしさは一度使ってみればすぐに判る。主題の微妙なトーンが美しく、前ボケや後ボケの「色のにじみ」なども実に美しく表現される。
実はEDレンズと型番がついたはレンズは一本も持っていなかった。
PENTAXの隠れEDレンズと謳われた古いF80−210mmズーム。このレンズでコスモスなどを写すと実に美しいフレアーが撮れるが、型番にEDの文字は無い。トキナーの「ATX Pro 80−200mm F2.8」「ATX Pro 100−300mm F4」というおそろしく重い二本のズームレンズも持っている。このズームもEDガラス(トキナーでは「SDガラス」と呼称)を使っているが、EDとの型番は無い。この二本は重いので車での出動時以外は出番が余り無いが、その絵は秀逸であり、どんな撮影条件でも不安材料はまったく無く安心して使えるものだ。
一方でこのレンズは<ED>の呼称を型番に入れている自信作であり、コンパクトで性能の高いこのレンズも実にお買い得な一本、といえる。
結像も美しいのだが、ボケ味もズームらしからぬ素直な味を持っている。このレンズで写すのであれば、花や紅葉の写真も充分いける。2007年以降のアップでの写真の多くはこのレンズを利用している。
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<DAレンズ DA70mm F2.4 LIMITEDレンズ>
DAシリーズのLIMITEDレンズは、単焦点レンズとして何本かが用意されている。光学特性に優れたレンズを利用した高品位シリーズがLIMITED仕様のレンズ群だが、その一本を担うこのレンズは、中望遠レンズであり、ポートレイト・レンズだ。
PENTAXには35mmフィルム用レンズとして、同じくLIMITED仕様の77mmレンズがある。77mmレンズは、惜しまれつつ廃番となった伝統のポートレイト・レンズである「80mm F1.4」の穴を埋める高性能レンズだ。そのレンズから比べると、この70mmはもう少し、お手軽だ。
お手軽といったのは主に価格の面についてだが、当たり前だがこのレンズの味も悪くない。
実に素直なボケ味を持っている。最近のレンズ傾向である高めのコントラスト、という色も持っている。開放では、滲むようないい感じのボケが出る。絞り込んだときにはきりっと締まった絵になるのは、フィルム時代のLIMITEDレンズ譲りの味付けだ。
アルミ削り出しによる金属の鏡筒を持っていて、同様に高級感のある収納式のレンズ・フードや、レンズ・キャップが付いている。持っていて嬉しくなる仕様なのだ。
このレンズの開放絞り値は、コンパクトなレンズ設計とするため、欲張っていない。ほどほどのF2.4という値だ。この選択はBESTであろう。これが、パンケーキ(準標準の40mmレンズ)と見まがうほどの中望遠とはとても思えないコンパクトさを生み出しているのだ。外見上は35mmレンズかと思うほどのレンズ長なのだ。デジタル専用の設計なので、銀塩(フィルム・ボディ)に利用出来ないところが、少しもったいない。
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<DAレンズ DA35mm F2.8 マクロ LIMITEDレンズ>
DAのLIMITEDレンズは、単焦点レンズとして何本かが用意されている。そのシリーズの一本を担うこのレンズは、シリーズ初のマクロ・レンズ。DA35mmはフィルム換算で50mmの焦点距離に相当する。
標準レンズであり、標準マクロだ。50mmマクロはSMC−TAKUMAR、Mレンズ、Aレンズ、FAレンズと持っている。MレンズまではF4だが、AシリーズからはF2.8に性能が上がっている。Aシリーズの50mmマクロは明るく軽量なレンズなので、山行では携帯することが多い。今回作成された35mmマクロはAPSフォーマット専用だから、すこぶる小型に仕上げられている。Mシリーズのマクロ50mmと大きさや重量は同等程度であろうか。
そこまで小型軽量化されているのに開放値は明るいF2.8だ。利用出来る局面は実に広いと思う。標準マクロは、望遠マクロと違って雰囲気や環境の描写が得意。50mmや90mm、100mmの各マクロレンズとの比較においては、広い画角が物を言うと思う。このレンズならではの描写が期待出来るのだ。
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<DAレンズ DFA100mm F2.8 マクロレンズ>
DAレンズはデジタル専用、FAレンズは銀塩と兼用。しかしFAシリーズはデジタル発売前の開発なので小型化されていない。そこで登場したのがDFA単焦点レンズのシリーズだ。結局50mmマクロとこの100mmマクロだけが発売された。
これは根拠のない想像だが、多分、設計・試作などの開発自体は他の焦点距離に関してもされていたはずだ。その後の市場動向から製品化を見送ったというところではなかろうか。
さて、DFA100mmはトキナー製のATX−PROシリーズ100mmマクロの姉妹品だ。
レンズの構成は、ほぼ同じなのでOEMといってもいいかも知れないが、鏡筒のつくりはまるで違う。スペック表の上でのさまざまな数値特性は同じなのだが、見た目はまるで違うものだ。このあたりは、後続の35mm LimitedマクロやSTARレンズの18−50mm、同じく50−200mmと同じだ。こうした製品をOEMと呼ぶのかどうか。あるいは生産委託と呼ぶべきかもしれない。
AシリーズのマクロまでのPENTAXのマクロレンズはどれもみなコンパクトなものだった。F4の開放値なので、筒は短く、見た目は105mmや120mmの望遠レンズと変わらない。写りは端正であるが、近接性能は欲張っていなくて0.5倍までしか寄る事ができない。イメージで撮るよりも、ひたすら緻密・学術的にコピーするための描写という持ち味だった。
それがFA100mmで激変した。等倍にも寄れるし、開放値もF2.8になった。描写はFA―Star85mmやFA135mmに通じる味を持っている。
50mm標準レンズや85mmのF1.4と同じ、背景が溶け込んで自然の色が滲んでいるような描写になる。
たとえば、青色系の紫陽花の花など、大変雰囲気のある絵に仕上がる。特筆すべき描写なのだが、レンズの耐久性を上げ過ぎたのだろうか。筒は鉄の塊だ。すさまじく頑丈で重たい。だからオーナーユーザを選ぶ。私などでは、体力(および気力)に余裕がないと一日装着して歩き回ることができないからだ。
この100mmマクロはそのFAレンズの後継となるレンズだ。DFAバージョンは35mm銀塩サイズとAPSデジタルサイズに即した設計のレンズだ。筒はエンジニアリング・プラスチックで感覚的には半分以下の重さになった。Aシリーズのデンタルマクロも使っているが、それよりもコンパクトで軽いのではないだろうか。このレンズは、だから常時携行できる。
描写は安心できる画質で、開放から利用できる。レンズ特有な癖や「持ち味」という意味では薄口な感じがする。醤油でいえば、どんな刺身にも合うが、こくが少し足りない。
ボケが美しいので気に入っているが、FA100mmが持っている、あの溶け出すような色のにじみは、まだ味わえないでいる。
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