川床の護岸の一段下の地面には、例年見事に菜の花が咲きそろうのだが、長く続いている河川改修や橋の架け替え工事の影響によって、今年は全く咲いていない。
満開の桜と競うように咲く菜の花なのだが、今年の桜は開花が早いので桜だけが単独で咲いてしまい、もう少し後になって菜の花が咲き始めるのだろうか。川岸の田の畦の菜の花はもう咲いているので、土が入れ替えられたかで、あるいは川床の菜の花はもう咲かないのかも知れない。
富士見橋から八幡橋までの間は、八幡橋から下流と同じように河川面改修工事が行われた。このため、富士見橋から下流では、いまや菜の花が地面を覆って咲く豊かな川岸はまったく見ることが出来ない。
この工事によって、一段低くなった地面の部分が掘削され、川の断面は木杭ではなく鉄板で横の部分が手当てされ、川底はコンクリートで舗装された。川ではなくただの美しくもなんとも無い広い水路になってしまったわけだ。地元では誰も知らないし呼ばないが、河川標識では「霧敷川(きりしきがわ)」ではなく「鴻沼川排水路」なので、建設省の想定している本来の姿がこれなのかも知れない。
かつての美しかった小川がまったく失われ、ただの無骨な水路に成り果てた川など、この世の誰が愛せよう・・・。
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