「飛鳥山(あすかやま)」は都内では、花の名所として知られている。桜だけではなく、ツツジや紫陽花なども多く咲き誇り、それらの季節の花がその斜面を彩る小高い丘になっている。
JR王子駅のホームに立つとその南側に視界一杯に小高い丘が広がる。武蔵野の台地がここから始まるのだ。
八代将軍、徳川吉宗(とくがわ よしむね)が桜の植栽を命じ、1720年に山桜1270本を植えさせたのが最初で、しばしば鷹狩りを行ったといわれ、江戸の昔から野趣溢れる場所だったという。
その後1737年にこの地を王子権現に寄進し、江戸の庶民に開放したのが広く親しまれる飛鳥山のはじまりだ。当時は江戸随一の花見の名所として賑わったらしいが、現在も桜の樹木は健在で、依然お花見の名所として650本の桜花が季節には迎えてくれる。
紫陽花やツツジも斜面に沿って植えられていて、こちらは京浜東北線や湘南新宿ライナーの車窓からも眺められる。通勤時はすさまじい混雑の路線ではあるが、そんな窮屈な車内での季節の小さな楽しみとなっている。
飛鳥山での梅を期待したのだが、桜や紫陽花やツツジの屈指の名所であっても「梅」は植えられていなかった。よく調べなかった私が悪いが、ちょっと、驚いてしまった。
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