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2008.03.08
亀戸天満宮と七福神(亀戸)

アクセス;
 JR総武線―亀戸駅

カメラ;
  RICOH CAPLIO GX−100 24−72mm F2.4

 (画像添付時に約65%程度に圧縮)


 二十四節句でいう「啓蟄」を過ぎて、ようやく春めいた日が続いている。

 「三寒四温」で、時折、思い出したように寒い日が入る。少し前までは状況は今とは逆で、寒い日の中にたまに暖かな日が巡って来たのだった。ここまで来れば、もう大丈夫。急な寒波などは襲っては来るまい。

 亀戸は、川越や秩父などと同様に(勿論、与野も (2008.01.04 「与野七福神めぐり」)古い町並みがほぼそのまま残っている。小さな地付きの住宅が多いので大規模な開発ができず、「再開発」という時代の荒波を乗り越えて、細い路地が縦横にめぐっている。そして街の中には古くからの神社仏閣が多く、のんびりと「七福神めぐり」ができる。

 都内で言えば、谷中、山の手、深川、浅草、などが「七福神めぐり」のメジャーコースで、どの場所も「江戸情緒」溢れる古い町並みを味わうと共に縁起を担ぐことができる。今日やってきた亀戸も、その街並みは実は古い下町情緒に溢れている土地だ。

駅前の案内版 店の中までハトに占拠された「豆や」さん
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 駅前やコース上には目につき易い案内板があり、町の歴史の紹介や散歩に役立つパンフレットも用意されていて、縦横に街中を歩くには苦労はしない。

 学生の頃、友人がこの街で暮らしていて、よく遊びに来た。私の駒込、もう一人の友人が暮らす赤羽、そしてこの亀戸の街。下町トライアングルだ。この街で暮らしていたのは、正義感に溢れていて普段は少し尖っていたが飲めば丸くなる、茨城出身の楽しい友人であった。

 彼が居たのは四畳半のアパート(一部屋だったが現在のようなワンルームではない)で、近所に安くて美味しい炉辺焼きの店があり、半分はその店で過ごすのが目当てで良くこの街に来た。皆、下手な自炊には飽き飽きしていて、その店の美味しくて安い季節の料理(初鰹や旬の秋刀魚、鯵のたたき、湯豆腐など)に舌鼓を打った。

 大ジョッキで出される安いチューハイも気に入っていた。店の人が学生とみて、少し濃いめに入れてくれたからだ。当然、一品注文するたびに会計の総支払額を計算しつつハラハラしながら注文した覚えがあるが、確か、皆で飲んだり食べたりしてもいつも一人あたり1500円程度であった。(どうも今思えば、店のお姉さんが意図的に伝票に付け忘れてくれていたように思う。)

 アパートの主がいる時もいない時もあったが、そうした事に頓着せずに、鍵の所在を知っている我々はその店の帰りに彼の部屋に泊り込むのだ。炉辺焼きで飲み食いを続けていてはとてもじゃないが貧乏学生の財布がもたないので、手土産に辛口の剣菱(二級酒でそれほど高くは無かったと思うが、値段の記憶が定かではない)などを買って、狭い部屋を何人もで一杯にして飲んだ覚えがある。

 その時分に「七福神」が設定されていたのかどうか、まったく記憶がない。この土地で有名な亀戸天神(菅原道真を祭った天満宮)には、そうして泊まった翌日に皆で行った記憶がある。

路上庭園は下町の証
路地裏のオアシス
亀戸天神
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 先日の梅の写真のページの中で、少し細かく菅原道真について書いた(20080127: ♪梅は咲いたか・・・)が、この亀戸天神(東宰府天満宮)も、湯島と並ぶ大きな天満宮だ。 縁起はだいぶ新しく1662年、江戸時代になってからの建立だ。すべての結構を大宰府天満宮にならい、それを模して造営しているので道真公ゆかりの樹木である、梅の木も多い。

 5歳の頃に詠んだ歌が、像と共に飾られている。天才といえよう。

 うつくしや 紅の色なる梅の花
             あこが顔にも つけたくぞある

 改めてこの歌を記載して気がついた。偶然、この歌を模した形になるが、大宮公園の梅林で撮ったのが、下の写真だ。

 

さすが学問の神様(合格祈願の絵馬がいっぱい)

さすがに時節がら、境内には合格祈願の絵馬が無数に奉納されている。
池側から本殿を望む

梅に溢れる東宰府天満宮
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天祖神社;福禄寿 天祖神社;福禄寿

 さて、「亀戸七福神」だ。

 亀戸天神をさらに通り過ぎて、一旦、街の端まで行って、そこからがコースのスタート地点になっている。途中には何箇所かの商店街があるので、それらの店の見物や食べ歩きも楽しめそうだ。

天祖神社;福禄寿(人望福徳)
 推古天皇の時代に建てられ、聖徳太子の神体がまつられていたと云われる。
 1573年からの天正年間、悪病が大流行したとき、織田信長がこの神社で流鏑馬の行事を行わせたとのこと。

龍眼寺;布袋尊(清簾度量) 街の一番端にあるのは、このお寺
 天台宗。創立は、1395年(応永2年)。1963年(元禄6年)に境内に萩を植え、以来「萩寺」と呼ばれる。

普門院;毘沙門天(勇気授福)
 真言宗。1616年(元和2年)に豊島郡(いまの荒川区南千住)から移転してきたとされる。

香取神社;恵比寿神(愛敬富財)、大国神(有富蓄財)
 中臣鎌足(遠く「大化の改新」のころ)が東国へきたとき、亀島(当時の亀戸は陸続きではなく島であった)
 に船をよせて太刀を納めて旅の安泰を祈ったことが始まり。
 鎮祭は、665年(天智天皇の4年)と伝えられる区内で最も古い神社

東覚寺;弁財天(芸道富有)
 真言宗。創立は、1531年(享禄4年)

常光寺;寿老人(延命長寿)
 曹洞宗。本尊は阿弥陀如来、行基の作と伝承される。

龍眼寺;布袋尊  龍眼寺;布袋尊

 歩いて七福神を巡るわけだが、コース上には土地の名物や立ち寄りたい店が沢山ある。

 手焼きせんべいの店や江戸切子(えどきりこ)の店、蕎麦屋など有名な食べ物屋やいくつかの商店街などが記載されている、商店街発行のガイドマップ(イラストマップ)が使いやすい。
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梅屋敷跡 梅屋敷跡(安藤広重の構図を真似て)

 江戸時代の亀戸の風物としては、歌川(安藤)広重が描いた「亀戸梅屋敷」が名高い。

 私は、この浮世絵の広角レンズでぐっと寄ったような大胆な構図が大好きで、深く印象に残っている。すでに屋敷などは跡形も無く、その場所の一区画には銘板があるだけだが、絵の雰囲気だけでも味わえるかも知れない。あまり期待はできないが、せっかくなので行ってみることにした。

 絵の前景を占める梅の古木の枝振りに、絵に少し似た木が植えられている。普通の野梅の様であるが、区画の規模が余りにも小さいので、残念ながら絵の清々しい雰囲気はそこには無い。

普門院;毘沙門天 普門院;毘沙門天
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江戸切子 江戸切子

 天祖神社、龍眼寺、はどちらかと言うと街の外側に近いが、普門院は商店街に挟まれた住宅街の中にある。

 梅屋敷跡から細い路地を抜けて普門院へ向かう途中に、江戸切子の工房があった。普通の住宅の佇まいなのだが、入り口に美しいグラスが展示されているのでそれと気がついた。名車ジャガーが止まっていたりして、気後れして入る事ができなかった。これほどの細工のグラスだと、いったい幾ら位するのだろう?と不謹慎なことを考えてしまう。こっそりと写真に撮らせてもらって退散した。

香取神社;恵比寿神、大国神 香取神社;恵比寿神、大国神

 次の香取神社は、亀戸村の総鎮守であった。この神社の参道は商店街になっている。惣菜屋やお団子屋など、いろいろな店が並ぶが、生活のための街であり、いわゆる観光的な門前町の様子ではない。

 大きな境内で、恵比寿神、大国神の2柱を一気に稼げる。だから、亀戸七福神は、正確には七つの神社仏閣ではなく6個の社寺だ。別にお寺がすぐ近くにあるのだから、仲間にいれれば良いと思うのだが、どんな事情なのだろうか・・・。

香取神社の境内 亀戸大根の碑
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 境内には、「亀戸大根の碑」がある。

 当時の江戸っ子が喜んで食べたというその大根は、今のものとは大分違う。およそニンジンのような形状で、根だけでなく葉も食べたそうだ。

 ちなみに我が家では、大根の葉は刻んで食べる事にしている。パリパリした歯応えで、これが案外にいける。辛めに炒めてもチンゲン菜に似たシャッキリ感が残っている。絶品のおつまみ、と言えよう。

竜頭 香取神社の参道の商店街
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東覚寺;弁財天 東覚寺;弁財天

  東覚寺や常光寺となると、今までの社寺のように路地が巡った街並みや曲りくねった道ではなく、区画が直線で整備された再開発地区という雰囲気になる。

 だから、歩いていても面白いものがない。とすると、七福神めぐりのコース取りとしては、こちらから先に廻ったほうがよさそうだ。歩き続けた終盤が、この街並みでは少し寂しいものがある。

東覚寺;弁財天
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常光寺;寿老人 常光寺;寿老人

 駅へと戻る途中に現れたのは、地元の人で賑わう商店街だ。雰囲気としては、都電荒川線の終点の三ノ輪の商店街「ジョイフル三ノ輪橋」に似ている。スーパーもあるが、安い惣菜や八百屋さんなどの小売店がいっぱいだ。

 歩いていると、なんだか嬉しくなってくる。上がりの2つのお寺の周辺の様子には参ったが、これなら充分楽しめる。こうして商店街での食べ歩きを楽しむための、渋い演出だったのかもしれない。

 だいぶゆっくりと歩いたが、それでも2時間程で、6箇所(亀戸天神をいれるとちょうど7箇所)の神社仏閣を廻ることができた。途中で、お茶などの休憩をすると、もう少し掛かるかも知れない。

商店街 商店街
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輝く菜の花 公園で一休みした。


花壇に植えられた菜の花が
日を受けてまぶしく輝いていた。