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2007.04.29
裏高尾;日影沢を登る

アクセス;
 JR中央線―高尾駅または京王線―高尾駅 より小仏方面バス(日影バス停下車)

コース;
 高尾駅北口バス停より 小仏行き(日影バス停下車);乗車時間約15分
    ―休日はバスが大変混雑するが、増発があり2・3台が一度に発車する。

 日影バス停〜ウッディハウス愛林;10分、〜いろはの森;10分、〜4号路合流;45分、
 復路
 〜日影沢林道分岐;25分、〜日影沢林道行き止まり;40分、
 〜がっかりして足取り重く、林道分岐までの復路;50分、
 〜ウッディハウス愛林;20分

カメラ;
 PENTAX Ist−D

レンズ;
 PENTAX DA18−55mm AL F3.5−5.6
        DA50−200mm ED F4.0−5.6
        A100mm デンタルマクロ F4.0

三脚;
 ベルボン ULTRA STICK50

 (画像添付時に約30%程度に圧縮)


 先週のワンゲル部 『恒例 春のハイク;下山後<そば屋>でまったり』 の続編というわけではないが、同じ裏高尾の日影沢(ひかげさわ)へ行ってみた。
 
 恒例ハイクは充分に楽しめたのだが、「日影沢から裏高尾のコース取りで<すみれ三昧>の写真ハイク」としてはやはり少し撮り足りない感じがしていたためだった。

 前回の撮影の続編となるので、参考までに以下に前回の様子をリンクをしておこう。
 
 <2007・04・21;裏高尾を登る;穀雨> のページ を表示します。

チューリップと桜
 前回の
 2007・04・21;穀雨―高尾山の花
 スライドショー


 を表示します。

 (画像のダウンロードに
 若干の時間が掛かるので
 ご注意願いたい。)
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日影バス停から少し歩くと
すぐに沢沿いの道が始まる。

図の朱色に塗った
部分が今回のコース。



途中の分岐から右横に伸びるのが<日影沢林道>だ。

注意するとわかるが
残念ながら、
緑の<蛇滝コース>とは合流していない。(寸前で途切れている)
コースガイド

日影沢
日影バス停から少し歩いた 沢沿いの道
 今回の
 2007・04・29;裏高尾:日影沢の花
 スライドショー

 
 を表示します。

 (画像のダウンロードに
 若干の時間が掛かるので
 ご注意願いたい。)

 「小仏(こぼとけ)」から城山経由で高尾を目指すコース(前回コースは「小仏バス停」から小仏峠へ直登せず「景信山」を経由)と同様に、「小仏バス停」の一つ手前の「日影バス停」からも高尾山頂を目指すことができる。

 でも、どちらかといえば、「日影沢」または「日影沢林道」からのコースは、山に登らずに沢沿いに進んで折り返す紹介例の方が多く、自然を楽しむ学習的な色合いの方が濃いコースだろう。

 コース途中には「森の図書館:ウッディハウス」があって、資料展示がされている。山への入口となるそこから先に広がる「いろはの森」では、さまざまな木々の種類ごとに案内板が付けられている。森の中を歩きながら、樹木の名前が実物で覚えられる仕組みだ。

 このコースは、沢沿いの道はほぼ平坦路が中心だし、森の中でも傾斜は緩やかだ。森から先は多少きつい登りになるが、コース上に岩場がある訳ではなく年少者でも大丈夫だ。

 コース全体に整備が行き届いているので、子供達も安心して自然を学ぶことができる。このため、このコースは「親と子の高尾自然観察」などの自然教室の主な舞台となっている。
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ヤマルリソウ

 「日影バス停」から路脇の沢に沿ってゆっくりと登っていくと橋があり、そこを越えるとすぐに未舗装路となる。道脇には、様々な種類の「スミレ」、「ニリンソウ」、「シャガ」などが盛んに咲いている。次々に現れる野草達を撮影しながら進む。

 しばらくすると「ウッディハウス愛林」というログハウスが現れるが、ここは、森の資料館だ。

 資料館横の広場ではどこかの子供達がキャンプ体験の最中で、大きなドームテントを張って準備をしていた。街の明かりが届かない夜になれば、テントの周りは彼らが経験したことが無い深い闇となるに違いない。私は、テントを包む暗さと、黒々とした森の真っ暗な闇を想像した。そういえば、この漆黒の闇の中の木々を「ももんが」や「ムササビ」が飛び移っている映像を見た記憶がある。夜の森の怖さ(未知の闇の怖さ)もまた、昼の森に劣らず子供達にとっての貴重な体験になることだろう。

ニリンソウ
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ラショウモンカズラ ヤマエンコグザ

 この施設を起点として「いろはの森」が始まる。

 森の平坦部を過ぎ、小さな流れを越えて緩やかな登りとなった森を進み、「日影沢林道」との分岐まで来ると、そこから自然探求路の<4号路>に出るまでの間は少し急な山道が続く。このコースの良いところは、杉の植林に出会う事無く広葉樹林の中を通って高尾山頂まで行ける事だ。

 「モミ」、「カシ」、「カヤ」、「カエデ」、「ブナ」、「イヌブナ」、「ヒノキ」など、樹木の種類が多く、多くの広葉樹林が登っていく道沿いにみられる。視界にはいる斜面は広葉樹で一杯になっているが、少し先きの谷に向かって広葉樹の外側に針葉樹が取り巻いている。緑豊かな明るいコースなのだ。
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カラスサンショウの若葉
カラスザンショウの瑞々しい若葉
チゴユリ

 「高尾山」は全体として他の山でお馴染みの無味乾燥な「杉の植林地帯」と異なる広葉樹の斜面を持っている。

 「薬王院」の辺りだけが杉の巨木が続くが、これは寺院(や宿坊)の維持ための板材を確保する目的のためだろう。また、まっすぐに伸びる杉の木の姿には、天界へと続いて伸びる神域的なイメージがある。「薬王院」は寺院だが<修験道の聖地>だから、そうしたものに近い考え方があったのではなかろうか。例えば、新潟の「弥彦神社」や「日光東照宮」など、山岳の神社にはよく参道脇に杉が続いているが、あれと同じ意味あいがあるように思える。


 さて、広葉樹は落葉するから根元の地面は腐葉土となり栄養が豊富になる。葉が密生する初夏の間、斜面は暗くなるが、そのため気温や湿度は安定する。通る人は夏の暑さから逃れられるので、実にありがたいが、こうした適度な日光の状態などは草花にとっても有難い環境なのではなかろうか。その証として、何より高尾の豊富な植物種が物語っている。

 森の木々の中の野草や下草も豊かで、そこには実に様々な花が見られる。

 「スミレ」や「チゴユリ」、「ミヤマハコベ」や「ミミガタテンナンショウ」、「ヤマエンコグサ」などが、道脇や林床に咲いている。

ツルカノコソウ ミヤマハコベ
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 ゴールデンウィークの混雑にも関わらず、このコース上ではすれ違ったハイカーは数人で、森の中は様々な野鳥の鳴き声に満ちていた。

 何度か立ち止まって聞き慣れたウグイスの鳴き声に耳を傾けたり、初めて聞く鳴き声を携帯電話で録音したり、声を頼りに見えない姿を見つけたり、と楽しんだ。「吾野(あがの)」で買った登山道の登り口にあった木工所特製のバードコールを持ってくれば、鳥たちと会話できたかもしれない。


 森の中の道はそんな楽しい様子だったが、少し急な坂を登りつめて<4号路>との合流にでると、コースの様相は一変した。

 静かな森の状態に慣れていたせいもあって不意打ちを受けたような感じだ。先日訪れたときの山頂での混雑が、そのまま斜面に展開していた。元旦の氷川神社の参拝客の列を思わせるようなすさまじい人並みが、ゆるい登り道に続いている。それは途切れることなく連綿と続いていて、しかも、声高に世間話をしていてひどく騒々しい。

 <4号路>は我が目を疑う程の異様な混雑だが、考えてみれば今はゴールデンウィークの最中だった。

 とりあえず、合流点の鞍部で昼食をとることにした。

マルバスミレ ヒメウツギ

 この混雑では、<4号路>から「つり橋」を渡って下山し、麓で念願の「十割そば」を食べるのは、多分無理だろう。

 とすれば、騒々しい人ごみを歩く必要はまったく無い。食事を簡単に済ませ、早速「いろはの森」へ引き返すことにした。(実は持ってきたガス缶が途中で終わってしまったので、食事を簡単にせざるを得なかったのだ・・)

 森に戻ってしばらくすると、また、野鳥の声が返ってきた。鳥の声を楽しみながらゆっくりと降り、森の終わり近くの「日影沢(ひかげさわ)林道」との分岐に出た。持っていた地図では林道の記載が無いが、少し歩いてみることにした。

 未舗装路が山腹を巻くように続いていて、道自体はアップダウンが無いので楽そうなのだ。「ムラサキケマン」や「タチツボスミレ」が咲く静かな道をしばらく行くが、人の気配が無い。「この道はどこまで続いているのだろうか?」と疑問に感じつつ進んでいった。

 崖上から壁面に見事にミズゴケが張っている場所があり、そのミズゴケに沿って滾々と清水が湧き出ている箇所があった。すごい水量なので、上部には沢筋があり、そこから流れ出しているのかもしれない。顔を洗い、口にすると冷たい美味しさが広がる。ゴクンと飲みたい衝動に駆られたが思いとどまり、帰りにはここで水を汲もうと心に刻んだ。

 その道をなおも進んでいると一人のランナーとすれ違った。クロスカントリーだろうか、結構なスピードで走り去っていく。ということは、この道が山腹を巻いて「蛇滝」方面やさらには「高尾山口」の方へ続いているのかもしれない。


 また、しばらく行くとやはり崖肌から湧き出して出来上がった水たまりがあった。中を覗いたら、おびただしい量のカエルの卵が産み付けられていた。いくつか続く水たまりの日向側の一つは生まれ出したばかりと思われる小さなおたまじゃくしでいっぱいになっている。

 こうして、出会う自然に関心したり、花を撮ったり、眺望を愉しんだりしながら、未知の道をなおも進んでいった。

 「もう戻ろう」と何度も思うのだが、道が絶妙に曲がっていて次に視界に広がる景色を追ってしまう。崖が崩れていたり、今しがた歩いていたのとは違う眺望が次々に楽しめたりで、好奇心をくすぐられてなかなか戻ることができない。

 もう引き返せないくらい歩いてしまった(30分を越えるほどか)のでそのまま進む事にした。が、その道は、展望の悪いカーブを曲がったその先で忽然と消えていた。
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日影林道より景信方面を望む  日影沢林道は平坦路で花も多い。

 (数は多いが種類はさほど多くないので、
 適当なところで切り上げて引き返そう)


 展望はよく、
 尾根筋を縦走しているので、
 変化に富んでいる。

 北側に美しい山並みが続く。

 後で調べると、引き返した林道の終点の少し先、もうすぐそこが「蛇滝」へのコースだった。切れた道から「藪こぎ」すれば、ほんの僅かというところか。

 がっかりして戻ったが、帰りは足取りが重くなり若干余分に時間が掛かった。結構なロスタイムになってしまった。

 <疑問を感じたら、迷わず引き返そう。そうでなければ思い切り道草と思って楽しもう。>これが今回得た小さな教訓だ。


 せっかくなので、帰りには見つけておいた水場で2リットルのボトル(プラティパス)と500mlのペットボトルに水を詰めた。帰宅後に念のため煮沸したが、この水で中国茶(例の台湾産烏龍茶)を淹れて楽しんだ。

 美味しい水だ。

 飲める水場にはカップが置いてあったり、案内が小さくあったりするが、結構な水量なのに、ここにはなにも無かった。通年流れているわけでは無いのかも知れない。今後は蒸留器―マヨネーズの入れ物のようなろ過装置―を買って持ち歩くことにしよう。
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