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2008.05.18
奥多摩、新緑の三頭山を行く(武蔵五日市)

アクセス;
 JR五日市線―武蔵五日市(むさし いつかいち)駅より、「都民の森」行きバス(8・9・10時台に各1便)

コース;
 往路;
  武蔵五日市駅〜都民の森;バスにて75分(途中、「数馬(かずま)」にて乗り換え)〜三頭大滝(35分)
   〜ムシカリ峠(45分)〜西峰(1529m、20分)〜中央峰(1531m、5分) 山頂の広場にて昼食の休憩
 復路;
  中央峰〜東峰展望台(1527m、5分)〜鞘口峠50分〜都民の森;20分
  〜武蔵五日市駅;乗車時間約75分

カメラ;
  PENTAX K−10D
  RICOH CAPLIO GX−100 24−72mm F2.4

レンズ;
  PENTAX DFA 100mm F2.8 マクロ
  PENTAX FA 135mm F2.8
  PENTAX DA 50−200mm F4−5.6 ED

三脚;
  ベルボン ULTRA STICK50
  (画像添付時に約30%程度に圧縮)


 ワンゲル恒例の『春の新緑ハイキング』。今回は恒例の高尾山行ではなく奥多摩へ向かう。

 「都民の森(1000m)」の奥に位置する、三頭山(みとうさん;1531m)が今回の舞台である。この山は西峰、中央峰、東峰の3つのピークからなっているので、この名前がついている。広葉樹林に囲まれるコースなので人気がある。

 アクセスがちょっと面倒で、中央線の立川駅から五日市線に乗り換えて、終点まで行く。さいたま新都心からは2時間、立川駅からでも40分ほどの時間がかかる。

 また、その終着駅の「武蔵五日市」駅からさらにバスを利用する。人里(へんぼり)や数馬(かずま)で降りて、『笹尾根』や『浅間尾根(せんげん おね)』を歩くコースもあるが、バスの終着点の「都民の森」まで行って三頭山を登ることにする。駅から「都民の森」までのバスが1時間少し掛かる(片道910円)し、しかも8・9・10時台に各1便と本数が極端に少ないので注意が必要だ。

 このように、登り始めまでが儀式のように長い行程なので、この山へ行くとなったら、それなりの覚悟が必要だ。

霧が巻く樹林 霧が巻く樹林
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しずくに濡れるムラサキケマン レンゲツツジ

 バスは峠道をぐんぐんと進み、遠く近くに綺麗な山並みを見せながら登っていく。登るごとに緑が色濃くなるので、車窓からの眺めでも充分に自然が楽しめる。

 乗車時間が長いので、帰りなどは「お菓子」をこっそり食べたりして、ちょっとした遠足気分が楽しめるだろう。

 この日は、駅発9時のバスを利用したが、3台の運行(2台増発)だった。

 峠道なので事故防止のために座席利用が前提、といった内規があるのだろう。乗車数に応じて増発されたおかげで、長い距離を立たずに済んだが、ありがたい配慮だと思う。(運行本数が少ないのは、こんなところも影響しているのかもしれない。)
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紫蘇の様な草 サラサドウダン

 気持ちの良い峠道のせいだろう。着いた駐車場にはバイクが一杯だ。それに混じって、かなりの数の自転車もある。この勾配の登りだと大分時間がかかるだろうが、ロード・バイクを漕いで登って来ているらしい。

 駐車場から急な舗装路を登って「森林館」の手間で折れて「大滝の道」を歩く。整備された登山道の始まりだ。しばらくは「都民の森」の公園内の道を進む。

 公園は197Haの広大さで「三頭山(みとうさん;1531m)」の中腹に広がっている。園内を歩くと言ってもかなりの坂なので、家族連れなどには少しきついかもしれない。

 公園の入り口になる駐車場から「森林館」まで(15分)は舗装歩道で、そこから「三頭大滝」まで続く「大滝の道(20分)」は、杉のチップ(間伐材だと思う)が敷き詰められている。足に心地よいし、雨の後でも歩き易くなっている。

とちの木(ほおば)
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行動開始

霧が降りる ブナの脇に咲くヤマブキソウ

 「三頭大滝」のあたりまで来ると、遊歩道のようだったチップが敷かれた道は終わりになる。

 「ブナの道」の始まりだ。そこから先は渓流に沿って、美しい流れを眺めながら山道を登っていく。

 「ブナの道」の周りは全て広葉樹で、名前に違わずブナ類が豊富で緑が美しい。この日は、土曜日の夕方から雨が降ったために、ひときわ瑞々しい様子の緑が楽しめた。

 園内での自然学習を目的としてだと思うが、道から見えるめぼしい少し大きな樹木には種類を示す掲示板が取り付けられている。
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新緑のもみじ

レンゲツツジ 滝を眺めるつり橋「滝見橋」
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新緑の道を行く 渓流沿いの様子

 「イタヤカエデ」と思ったものや、「ミズナラ」や「ブナ」と思ったものも、案内版を見るともっと詳細な種別が記されている。

 ちょっと覚えられない細かな分類名が書かれている。高尾の日影沢にある「いろはの森」よりももっと細かな種類の表記だ。各種の教室が開かれているようだが、これだけの種類の広葉樹があれば森林学習のフィールドには最適だろう。

三頭大滝(みとう おおたき) 滝脇で咲くレンゲツツジ
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渓流脇を登る 密生

 沢筋にそってどんどんと登っていくうちに、霧が降りてきた。

 全てを覆うような濃いものではなく、高い木の頂きあたりを舐めるように薄っすらと流れている。

 ミスト・サウナの中のような濃厚な湿度にはならずに、ちょうどいい感じの湿りで、味のある霧だった。私は少しうれしくなって、流れる霧を含めて、美しい木々の様子を撮ってみた。
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小さな落差 イタヤカエデ
隊列を守る

 今回は、新人勧誘もかねていて6名の新人と飛び入り1名が参加しているので、私達のグループは珍しく大人数だ。

 なんと、総勢15名になっている。

 なんだか統制が取れた、ちゃんとしたサークルという感じがする。もともと緩やかには統制されているのだが、今まではリーダーが率いるということより合議制という感じがあった。それが、今回は明確に「リーダーを中心とした組織行動」という感じがしてくる。

 久しぶりの密集した集団行動だ。
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イタヤカエデの若葉 苔むす渓流の倒木

 沢は「ブナの道」の右手から左へ変わる。途中で渓流の大きな石を橋にして渡る。道は、ほぼ渓流に沿って登っていくが、その間はずっと、色々な種類のブナ類が楽しめる。苔むした倒木なども出現し、変化があって飽きることが無い。

 名前の掲示版を見る前に種類名を予想して、確認するのも楽しかろう。私は、先に書いたように族名までしか知らないので、ほとんど正解できなかった。

ブナ
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渓流沿い 渓流脇の道

 この日は快晴ではなく少し高曇りの日であったので、清々しいという感じは薄かったのだが、霧が降りて来た渓流沿いでも、鬱陶しさは感じなかった。

 しばらく続いていた澄んだ流れの渓流が終わりを告げると、尾根道を登る登山道となる。あとから確認した地図によると「ムシカリ峠(45分)」という名前らしい。狭くて少し急な登山道だが、そこでも杉は登場せずに、周りは依然としてブナ類を中心とした広葉樹林だ。

若葉 イタヤカエデ
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イタヤカエデ

 新緑に囲まれて、鬱蒼と繁る葉を浴びるように歩く。

 だが、足元は薄暗くは無く、実に明るい樹林だ。 杉の植林帯だと、こうは行かない。これだけの密度で針葉樹が繁っていると、かなり暗くなってしまう。

 木々に囲まれていても道が明るいので、歩くこちらの気分も良くなる。急な坂に息を切らして立ち止まれば鮮やかな緑が目に入り、新たな気力が湧いてくる。山道を堪能できるゆとりが生まれるのだろう。

レンゲツツジ
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ブナ ブナの新芽

 少し急な、木の根の道を登ると、開けた山頂に出た。「西峰(1524m)」だ。

 丁度、昼を少し回った時間なので、山頂は家族連れのハイカー達でかなり混雑していた。どうにか場所を確保して、昼食の休止にする。

 山頂間際の急登でかいた汗が引いたためもあるのだろうが、山頂でじっとしていると食事をしているのに大分寒くなってきた。天気は曇りだったが、さらに風が出てきたようだ。

 さすがに「三頭山」の山頂は標高1531mだ。体感温度は、5度前後と言ったところだろうか。私の服装は速乾性のTシャツの上に春用の長袖の山用シャツであったが、それでは足りず、雨具のジャケットを防寒として羽織って丁度良い、という状態だ。

 山頂は霧が巻いて眺望は望めなかったが、私はその事がさほど残念ではない。

 美しい木々の若葉や、涼やかな渓流、趣のある霧が、山道で堪能できた。得がたい、大切な経験だろう。遠くの景色が見えないことなど、何ほどのことも無いではないか。そう考えると、私は「山に登る」ということがさほど好きでは無いのかも知れない。頂上に立って絶景を味わう達成感に実はそれほどの魅力を感じない。
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霧むす中を下山する 霧の中

 帰りのバスの関係もあって、行程を伸ばす相談もなく、当初の予定通りここから下山行動とすることになった。

 下山のコース上にある「三頭山中央峰」(西峰からは5分で最高点)、「御堂峠」を通って「東峰」(5分)の展望台で少し休憩をする。晴れていれば、ここからは「鷹の巣山」や「雲取(くもとり)」が眺望できるらしい。

 その先の見晴らし台を過ぎて、「鞘口(さいぐち)峠」へ向かう。降りの道も、登り同様にブナ類に囲まれている。しかも、登りよりも幹が太く巨木が多い。

霧の中

 広葉樹林は、いい。

 木々の明るさもそうだが、発生しているイオンの質が違うような気がする。 杉林に囲まれている時の気分は刺すような鋭利な感じだが、こうした林、特に「ブナ類」に囲まれると、 柔らかく、やさしく包み込まれているように思える。

 癒しの包容力というか、うまく表現出来ないが・・・。 たとえ、霧が降りて来て、「ブナ」の幹の色を黒々と冴えさせても、そこには未知の森への恐ろしさが無い。

 高曇りで光が回って、写真にはよい状態なので、帰り道でも緑の葉やブナ類の美しい幹を撮った。

 ここまで、美しい登山路は久しぶりに味わう。
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霧の中の巨木 下山路
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 「ナラ」、「ミズナラ」、「イヌブナ」、「ブナ」、「タケカンバ」、など、ブナの仲間は樹表に独特の斑紋があり、非常に美しい。

 「ブナ」の表面はただの皺で、公園で見かける「クヌギ(どんぐりの木)」と同じ様ではあるが。 岩魚(いわな)や山女(やまめ)や鱒(ます)などのように、彼らは種別に独自の斑紋を持っている。 その美しさは格別だ。

 一つとして同じ樹表の斑紋は無いのであろうが、しばらく目にすると、種族の判別が出来るようになってくる。

 「檜原村(ひのはらむら)(山梨県上野原市、と東京都奥多摩町が尾根道で隣接する)」が他所のように、無闇な杉の植林に走らなかったことが喜ばしく、得がたい環境を大事にしたいと思う。

数馬バス停 バスは途中、「数馬」のバス停で乗換えとなる。
その先には、日帰りの入浴施設
「数馬の湯 温泉センター」がある。
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 さて、今回の旨いもの。

 「武蔵五日市」駅まで戻り、「昭島(あきしま)」まででて石川酒造へ行こうかどうしようか、という話になった。

 ならば、この駅で「そば屋」か「居酒屋」か、適当なお店がないだろうか、ということになり、バスから見かけた店を偵察に出た。駅で待機していると、適当な「蕎麦屋」が見つかったとの連絡が入り、ぞろぞろと列を作って店に向かった。

 打ち水がうってある中庭がある落ち着いた雰囲気の店で、入り口を入ると、中庭を挟んだ別棟が売店になっていて、乾麺や生麺を売っていた。帰りにお土産を買うことにしたが、売店の営業は6時半までだという。4時30分を回ったところだから、まあ大丈夫だろう。(食事の途中で買ってもいいのだし・・)

美味しかった蕎麦屋 「飾り切り」された漬物
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山菜のてんぷら(お店のお勧め物) タラの芽

 案内によると、「寿庵 忠左衛門」は江戸時代から炭問屋兼製麺業を営んでいた「寿美屋」が開業した手打ち蕎麦と日本料理の店、とある。茶室のようなつくりの和室を用意してもらった。雪見障子から中庭が見える凝った造りだ。

 お店のお勧めの逸品、「山菜の天麩羅」の盛り合わせ。しつこさがまるで無く、さらっと揚げられている。どの天麩羅も美味しいが、若いタラの芽が特に美味しかった。新緑の季節にふさわしく、旬のものを揃えてくれたようだ。

天ぷらに添えられた若葉 そば焼酎をそば湯で割る
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 品良く、しかし豪勢に天麩羅が盛られた笊には、かわいらしい若葉が添えられていた。

 なかなかの趣だ。3つの笊に盛り分けてくれたのだが、若い人の前の笊からは、置かれてすぐにひょいっと若葉の飾りが外されてしまった。「食べるのに邪魔」ということなのだろうが、ちょっと唖然とした。「春は明けぼの・・」のごとき趣などはまるで意中に無い様子に、私は少し世代差を感したのだった。

 味は勿論だが、この店のもてなしの姿勢にいたく感心し、大分気に入ってしまった。仕上げの蕎麦、だが、手打ちの美味しいもので、つゆの味もよく、感激した。

 売店で、乾麺の蕎麦と蕎麦つゆのパックとをお土産に買った。まあ、自分用なのだが、今週末が楽しみだ。

そば猪口がいい 仕上げのそば
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