2時間あまりだろうか。激しい風を伴って雷雨が叩き付けるように降った。
夕立の初めはさほど酷いものでもなかった。少し雨脚が強いかなと思う程度であったのだ。涼しくなるので開けていた窓から、どんどん雨が入ってくるような風が吹き初め、直ぐにあたりは暗くなり、雷鳴が轟きだしたのだった。
私は「上州(じょうしゅう)のかかあ天下と空っ風(からっかぜ)」で有名な前橋育ちなので、雷や夏の夕立には慣れているが、そんな私でも驚くような激しさを伴ったものだった。
夏の夕方は毎日のように、夕立が榛名山のほうからやって来て市内を雷雨で激しく包む。そして、30分や一時間ほど停電し、またその後、寝る前に戻ってくるような記憶が幼少のころのものとしてある。
あの時分の雷はひどく怖かった。家にいるのに薄暗い自分の足元の直ぐそばまで鮮明に光って、すぐに猛々しい雷鳴が家を揺るがすほどに響く。当時は、雷が激しさを増すとテレビや時には電燈などまで消してひっそりとして過ごした。
そのような家電製品を消すという行為は「落雷避けのための御呪い」的な意味(披雷による破損から守るのではなく、電気を使うと雷を呼び寄せてしまうので利用をやめる、といった意図)もあったと思う。釣っていたカヤの中へよく逃げ込んだ覚えがある。
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