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2009.05.03
水芭蕉を追って

アクセス;
 前橋市 (赤城山 南麓 市の最北部) 嶺公園(みねこうえん); 前橋駅より路線バス 30分

カメラ;
 PENTAX K10D

レンズ;
 PENTAX DA18−55mm F3.5−5.6 ALU
 PENTAX DA50−200mm F4−5.6 ED
 PENTAX DFA100mm F2.8 マクロ
 PENTAX FA135mm F2.8

三脚;
  K10D:カメラの手ぶれ補正にて、三脚は不使用

 (画像添付時に約70%程度に圧縮)


 さて、先に紹介した「赤城山(あかぎやま)」南麓にある「嶺公園(みねこうえん)」の水芭蕉(2009.03.,14 「水芭蕉(ミズバショウ)が咲く」)

 春分の時期に帰省して写真に撮ったときは、まだほんの数株しか咲いていなかったが、その後のことが実はずっと気になっていた。白い花が湿原一杯に咲き乱れる様子をまた撮りたい(大分前にリバーサルフィルムで撮影したので、本ページには未紹介の状態)と考えていたのだが、結局、改めて前橋へ帰省したのはゴールデン・ウィークに入ってからになってしまった。

 もう花の時期は過ぎているので写真は駄目かと思ったが、駄目で元々と思い直して嶺公園へと出掛けてみた。

嶺(みね)公園は赤城山南麓にある
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水芭蕉(ミズバショウ)はどこ?

 ゴールデンウィークは、まあ、何処へ出かけても混雑は必至だ。

 特に今は「高速道路」料金の特別措置が実施されているから、地方へ向う道路上は途轍もない混雑が予想される。首都と地方のパイプになる<上越道>や<信越道>などの高速道路は何処まで行っても1000円という措置だ。

 このため首都圏方面からやってきて中途半端な距離にある「群馬」などは素通りされる可能性があり、「高坂パーキング」など群馬県に入る手前の休憩所で群馬の観光地で利用できる「優待チケット」を配付しているらしい。群馬県内の各観光スポットでの施設利用料金、入場料金や拝観料や利用料などが割引になるお得なチケットなのだという。

 そうでもしないと、高速料金の「割引メリットの高い遠方(群馬県のさらに先の地域)へ客を運んでしまう」と懸念してのことらしい。

 「割引率の問題」よりも観光資源そのものを目的とした動向の問題なのに、未だそうした対応をしてしまうところに県観光課のスタンスの立ち遅れがある。貴重な休日なのに無目的に高速料金の割り引きだけを考えて目的地を選定するはずがないではないか。

 そうしたなかでも「群馬フラワーパーク」を中心とする赤城の南面などは混雑するように思う。勿論、富士同様の円錐状で雄大な「浅間山(あさまやま)」や麓の軽井沢、屹立する岩峰が見事な「妙義山(みょうぎさん)」など信越道周辺は大変な混雑となるに違いない。
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水芭蕉(ミズバショウ)脇で咲くリュウキンカ ミズバショウ

 「赤城山(あかぎやま)」の麓、前橋市街を一望する山麓に市が準備した広大な霊園があり、同時にそこは自然が溢れる広大な公園(2009.03.14 「水芭蕉(ミズバショウ)が咲く」)になっている。

 「嶺(みね)公園」という名前で、霊園地区の他は、桜並木や幾本かの梅の木が周りを囲む芝生のアスレチック広場、二種類の湿生花園、野鳥観察の池、松林の樹林帯、ピクニック広場などがある総合施設で、その事は以前紹介したとおりだ。

 湿生花園は尾根筋となる丘を挟んだ両側にあり、一つは「ミズバショウ」と「リュウキンカ」を尾瀬の湿原のように木道で結んだもの、もう一つは「菖蒲」や「アヤメ」などの花畑となっていて、周域を遊歩道が巡っている。
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水芭蕉(ミズバショウ)

 群馬県内では、「水芭蕉(みずばしょう)」は「赤城山」の北麓より先、「武尊(ほたか)山」の脇に自生地があり、そこが有名だ。

 「ミズバショウ」の自生地は群馬県側の尾瀬への入り口となる「花咲(はなさき)」の集落にある。そこは、幾つかのスキー場(武尊牧場や武尊オリンピア、奥へ行けば岩倉スキー場)などがある尾瀬岩倉の手前にある地域だ。

 また、赤城山の山頂にある高層湿原の「覚満淵(かくまんぶち)」でも見ることができる。

 前橋はそれらの地域から比較すると全くの平野であり、高嶺の花の「水芭蕉」が自生する環境ではない。ところが、市の北部、海抜が高い赤城山の麓に広がるこの公園では水芭蕉の生育が可能だ。「赤城おろし」(上州の「空っ風(からっかぜ)」として有名)といわれる季節風のせいもあって、その地が非常な寒冷となるためだ。

リュウキンカ
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 「赤城山(あかぎやま)」は独立峰ではなく連峰なのだが、特徴的な山容を持つその一つの「鍋割(なべわり)」がすぐ間近に迫っている場所に公園はある。前橋からは海抜がかなり高くなり山も近いので、冬は木枯らしが吹いてかなり冷え込む。ただし、春先からは、樹林を渡る野鳥のさえずりや季節の花々が咲き始めて、雰囲気の良い場所だ。

 公園の「ミズバショウ」は自生していたものではなく、公園として移植・整備されたものだ。その際に「リュウキンカ」や「ザゼンソウ」なども植えて環境全体を移植、再現したようだ。

 水芭蕉が自生する多くの環境のなかでも、「ミズバショウ」の白い花を囲むように、その脇には色鮮やかな「リュウキンカ」の黄色の可憐な花が咲いている様子を良く見かける。

リュウキンカ 湿生園の様子
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 すでに花期が過ぎているため、「ミズバショウ」の純白な花が咲き残っている株を探すのが大変なほどだった。

 写真ではスケールがないのでもうひとつ判りづらいが、葉の大きさは大人が一抱えするほどのもので、一枚が70cm位になるだろうか。それが湿地内に密生した状態になっている。

 これが、花期であれば、葉はずっと小さく、視界には白い花が点々と咲いている様子が広がっているのだが・・・。その中にアクセントのように黄色く輝く「リュウキンカ」が咲くのだから、まるで別天地のような光景が展開していたはずだ。

嶺公園 嶺公園
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イカリソウ チゴユリ

 「嶺公園」では、例年4月下旬まで、水芭蕉の花を楽しむ事ができる。

 湿生花園を後にして、その横にある尾根筋の丘に登ってみよう。

 そこは広葉樹の多い樹林帯だが、林床には小さな花が咲いている。もう少し早いと「カタクリ」の花も咲くらしいが、見回しても特徴のある葉しか見かけられなかった。

 前回訪れた3月の際にはこの丘は歩かなかったので、そこで咲く花を見ることは出来なかった。

 <嶺公園に咲くカタクリの花>の撮影に関しては来年以降の課題としよう。

キブシ 青葉茂る丘
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イカリソウ

 林床に咲く花を見出そうとして注意しながら歩くと、高尾山で見かけたあの可憐な花に再会する事ができた。雰囲気が溢れる可憐な「イカリソウ」だ。

 高尾山の「イカリソウ」の花弁はかなり紫色であり、ほぼ我が家周辺で咲いている「タチツボスミレ」の色と同じで、ごくごく淡い紫色だ。紫というよいも浅黄(あさぎ)色といった方が、イメージに近い。ところが、このイカリソウはどうだろう。まるで、「ヤマエンコグサ」のような濃い色の紫といえよう。

 自生する環境でこうまで色が違うとは驚きだ。紫陽花の花のように土壌の酸性の度合いによって色が変化するのだろうか?

イカリソウ チゴユリ
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イカリソウ イカリソウ

 この丘をもう少し歩いて、観察してみよう。

 ところどころに「イカリソウ」が咲いているが、その間の、道にごく近いところに「チゴユリ」の小さな花がひっそりと咲いている。注意しないと見過ごしてしまうほどの大きさで、この花の咲く様子も可憐なものだ。目に付くからなのか、あるいはそうした習性があるのか、詳しくは判らないが多くは登山道の脇の草むら、足元に咲いている。

 道から目に付く樹林下の下草の中を注意してみていたら、「アマドコロ」を見つけた。実は「アマドコロ」、「ナルコユリ」、「ホウチャクソウ」はその外観がそっくりだ。比較せずに単独で見たら、どれがどの種族なのだか判らない。高尾に自生する「ワニグチソウ」も同じ種類だろう。

 改めて図鑑で調べてみたら、どうやらそこで咲いていたのは「ホウチャクソウ」だったらしい。変種や近隣種が多い山野草の<同定>は難しい。その上、先の「イカリソウ」の例のように土壌の質による花弁の発色の違いもあるので、一層判断するのが難しくなる。

アマドコロではなくホウチャクソウ フデリンドウ
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コミヤマスミレ コミヤマスミレ

 丘を降って、もう一つの湿生花園の「菖蒲園」側へ行ってみた。

 この辺りの気温の低さからか、まだ「アヤメ」や「菖蒲」は咲いていなかった。この公園から少し登った辺りでは、道脇の山桜が咲いている状態なので、「アヤメ」や「菖蒲」などはもう少し先にならないと咲かないようだ。

 峰筋の間が湿原となっているが、その地帯も一様ではなく、途中で中州のような部分がある。その中州状の乾燥した丘では「スミレ」や「ムラサキケマン」が盛んに咲いていた。

コバノタツナミソウ? マルハスミレ
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 ここで咲いていた菫は、水辺を好む小型種の「コミヤマスミレ」とう種だ。この花の仲間も多種なので、同定がひときわ難しい。

 高尾山などはまさに菫の山であり、そこでは多様な「スミレ」の仲間達が咲いている。それをすべて拾っていけば、図鑑が出来てしまうほど多岐にわたる。「スミレ」と名前がついているのは、下の写真の紫色の花だけであり、他の花はすべて「XXスミレ」との合成名がつく。

 だから菫色(すみれいろ)とは、下の写真の花弁の持つ色なのだ。ところが面白いことに「xxスミレ」と表記される多くの菫たちはこの色とは違う色をしている。

 多種に渡って分岐して植生を環境に適用させてきた「スミレ」が、なぜ本来の菫色を捨ててしまったのだろうか。考えてみれば不思議なことではないか。

スミレ ヤマツツジ
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フデリンドウ 道脇に咲いていた「フデリンドウ」の花。

リンドウもスミレ同様に幾つかの種類がある。

この花は、スミレと違って初夏を思わせる。


初めて見かけたのが長野の蓼科(たてしな)、車山(くるまやま)山麓だからかもしれない。
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