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2010.09.30
彼岸花(曼珠沙華)

アクセス;
 行田 さきたま古墳群; JR高崎線:行田駅


カメラ;
 PENTAX K10D

レンズ;
 PENTAX FA50mm F1.4
 PENTAX DA50−200m F4−5.6 ED

三脚;
  K10D:カメラの手ぶれ補正にて、三脚は不使用

 (画像添付時に圧縮)


 仲秋の名月(旧暦8月15日の満月で「十五夜」)、それが今年は、9月25日だったらしい。同じ時期に秋の彼岸があるがこちらは9月20日から26日の7日間。

 例年だと「彼岸の入り」の頃に田の畔を染めて深紅の花が一斉に咲く。

 この季節、田園で鮮やかに咲く花を楽しみむために河原や川筋の田園地帯などへ出掛け、その暮れ方は満ちていく月を楽しむ事にしている。

彼岸花
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 彼岸花はもともとその毒性を持った根の存在によって、人の手によって田の脇などに植えられた。農作物を野性の小動物(野犬や狐や狸、モグラなど)から守る意味合いからだ。火葬が行われる前時代の農村部では、さらに田畑の脇や裏山などにあった墓所の結界としてもこの花は積極的に植えられていた。そうした、墓所と重なったイメージが強いためか、何となくこの花を忌み嫌う向きもある。

 今となっては、村はずれの墓所などはすっかり整理されているので、見かける事もない。そのためか、今となっては、この花の咲くフィールドは田畑の脇か河原の土手筋などになっている。都市部では田園地帯を探すのが難しいのだが、この花を身近に楽しみたいためだろうか。最近は公園の木立の中に列を作って植えられていたりする。


 さいたま市にはその南部に実に広大な「見沼田んぼ」があって、そこへ行けば田の畔をにぎやかに飾るこの妖艶な花を楽しめる。

 「見沼田んぼ」の周辺、東縁と西縁と続く水路脇に遊歩道とも呼べる道路が走っている。それは自転車専用道路であったり、散歩道であったり、市民憩いの小径として整備されているのだが、そうは言っても地元の車が入ってくるので、油断はならない。

 この道は長い桜並木になっていて、花の時期には淡い桜色の花弁が道を覆い、美しいアーチを作る。例えば、大宮公園のさらに北にある自然公園から自転車で走ると、さいたま新都心の裏手を抜けて浦和、さらに川口や戸田の手前の東浦和まで、こうした散歩道を伴った桜並木がずっと続くのだ。

 その染井吉野の木の根元にそって彼岸花が植えられている。気の早い何枚かの葉が色付く桜の黒い幹の脇で、華麗な緋色で燃える様に咲く彼岸花の様子に心を打たれて、去年はこの道をポタリングしたのだが、今年はそうした楽しい機会を逃してしまった。

彼岸花 彼岸花
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 そんなわけで、今年は彼岸花との出会いを半ばは諦めかけていたのだった。


 実家のある前橋へと帰る用事があって、帰路の途上にある行田で、少し道草をした。

 用事が済んでのさいたまへの帰り道での事だ。家へと走っている中で、ふと道路標識の「さきたま古墳群」 への案内番が心に引っかかったためだ。

 行田のバイパスから少し外れた場所に古墳群がある。車だから、幹線道路から5分10分といった程度の距離だろう。雨の中を走ってきたが、丁度このあたりは前橋とさいたまとの中間地点であって、どちらからも1時間ほど走った場所になる。休憩を採ろうと自分に言い聞かせて、古墳群へと向かう事にした。

彼岸花

 天気が雨という事に加えて、もう夕方に近い時刻なので、古墳群の脇の大きな駐車場は空いていて直ぐに車を停める事が出来た。この「さきたま古墳群」は、この辺りでは群を抜いた規模を持っているので普段の土曜日曜などは歴史探訪の愛好家が数多く訪れる場所になっている。それに広く整備された公園での散策を楽しむ家族連れも加わって、意外な混雑を見せる場所なのだった。

 だから、駐車上の入り口で暫く待つ、という事もある。普段の休日に関して言えば、大抵は直ぐに停められる事はないので、今日は少し嬉しくなった。
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 写真を撮りに訪れる際は花菖蒲の時期が多い。人気のある花のためにか、公園内は結構混雑している。だが今日は、先に書いた理由からか、広い公園として整備がされた園内は人が疎らでひっそりとしていた。

 薄く雨が辺りを取り巻いているので、遠くの古墳などは霞んでよく見えない状態だが、そんな中でも少し離れた場所に転々と紅い色が続く。近づくと、桜の木の下に彼岸花が一列に咲いているのだった。一番奥まった(北側という意味)位置にある横に蓮池を持つ大きな「丸墓山古墳(日本最大の円墳)」の前だ。

彼岸花
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 傘を片手に花の場所へと向かった。
 
 もう去年の事になるが、晩秋のこの場所へは、ワンゲル仲間とポタリングで訪れている。

 その時はこの通路の横が桜並木だとはあまり意識していなかった。そして根元にこれほどまでに彼岸花が植えられていようとは想像もしない事だった。古墳群に取り巻かれた公園のどこかで彼岸花を見たような記憶は残っていたが、そのイメージはまばらに咲いている様子で、菖蒲畑の細い道沿いだったように思うのだ。

彼岸花 彼岸花

左手に傘、右手にカメラという格好で、あたりを一回りして、静かな公園での撮影を楽しんだ。

前橋での出来事を忘れて大好きな花を堪能したためか、少しは元気を取り戻せた様に思えた。
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 「仲秋の名月」に関しては、観月台へ出かける事もせずに自宅のテラスから空を仰いで、眺めるだけだった。

 近くの河原でススキでも拾ってくれば、また風情も出ただろうが、木製の縁側の無い家では様にはなるまい。手入れをしていないので伸び放題となったうらさびしい庭の雑草がススキの代用となった。

 さて、彼岸花だ。

 先日、買い物帰りに近所の氷川神社(与野 氷川神社)の樹林の脇に一列に咲いていたのを見かけて、その季節がやってきた事に気がついた。先日、自転車で出掛けた日高の巾着田では、猛暑の影響を受けてだいぶ開花が遅くなっていたが、さいたま市でも同様の状況だ。

彼岸花

 いつもこの花を写真に撮っている「水辺の里」公園へも行かず、「見沼田んぼ」へも行かなかったので、今年の花の撮影はすっかり「無理」と諦めていた。

 ところが、たまたま立ち寄った「さきたま古墳群」では、その奥に位置する「丸墓山古墳」への参道ともとれる道で、一斉に咲く花を堪能する事が出来たのだった。

 園芸種として最近よく見かけるようになった白花も、洒落たアクセントとして列の合間に綺麗に植えられていた。

 こうした採り合わせの妙も相まって、もともと幽玄な花の様子が、雨粒をためて一層玄妙さを増している。雨の日の花、というのもなかなか味があるな、と感じたのだった。
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彼岸花

 この花は微妙で、日照りが続いて乾燥すると紅い燃える色が抜けてしまう。今日の花の様子では、いずれも鮮やかに咲いていたので、雨を受けて元気さを取り戻したのかも知れない。

 いや、雨のためでもあろうが「さいたま市」よりも少し北になる行田辺りでは、事によるとこの日が花の最盛期だったのかも知れない。
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彼岸花 彼岸花

 また、来年、どこかの公園や田の畔で、燃えて咲く深紅の花と出会える事を想って、雨に煙る公園を後にした。

 この場所から、国道17号バイパスに戻って、一時間ほど走れば自宅へ戻る事になる。

 行田から先では、道の両側から田園風景が無くなって、その後ずっと、明るい家並みが続いていく。
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