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2009.03.17
奥武蔵、小川町を歩く

アクセス;
 東武東上線―小川町駅 よりパークヒル方面バス(伝統工芸会館バス停下車)、徒歩60分

コース;
 小川町より パークヒル行き(伝統工芸会館バス停下車);乗車時間約10分
 往路;
  伝統工芸館バス停〜大寺橋〜西光寺;8分、〜カタクリとニリンソウの里;15分、〜柳町橋;10分
 復路;
  西光寺〜カタクリとオオムラサキの林;20分、〜青木橋〜小川町駅;45分

カメラ;
  PENTAX K10D

レンズ;
  PENTAX DFA 100mm F2.8 MACRO
  PENTAX DA 50−200mm F4−5.6 ED

三脚;
  ベルボン ULTRA STICK50
  (画像添付時に約80%程度に圧縮)



 鎌倉古道や秩父往還上の要衝、「小川町」は1300年の歴史を持つ「和紙の里」だ。両側を小高い丘に挟まれ、兜川・槻川(途中、大寺橋あたりで川の呼び名が変わる)の流域沿いに発達している。

20080323:「和紙の里」に咲くカタクリ
20080323:武蔵野の小京都(小川町)

清流が流れる イチリンソウ
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 手術後の療養で会社を休んでいる。今日で手術後五日間は安静に過ごしたが、そろそろ仕事に戻らなければならない。

 新宿までの通勤はヘビーな混雑で有名な埼京線。あの試練を思えば、少し運動も必要だろうという事で、慣らし運転へ出掛けてみた。どうせ、少し歩くのであれば気分のいい道を歩きたいではないか。

 まあ、そんな理由を付けて見たのだが、内実は早春の妖精、「カタクリ」の花が気になっていたのであった。

名前がわからない アズマイチゲ

 小川町駅の前から路線バスに乗って「伝統工芸会館前」でおり、工芸館の敷地を抜けて川岸に出る。すぐに見える橋を渡れば、その先がカタクリの群落で有名な「西光寺(さいこうじ)」だ。

 橋を渡ると、「カタクリとニリンソウの里」と「カタクリとオオムラサキの林」の案内がある。丁度、橋を中心として反対にあるが、まず「ニリンソウの里」側へ向かうことにした。いつもそうするのは、「オオムラサキの林」側が駅方向になるので、逆戻りする必要が出て効率が良くないためだ。

 今回は「西光寺」まで行かずに橋を渡って川岸に近いバラス道(未舗装路)へ入ってみた。だが、何のことはない。すぐに工場の脇に出て、そのまま工場横を回って、「西光寺」の敷地の奥のカタクリの群落がある林の先に出た。斜面に竹林が広がるハイキング・コースの始まりの場所だ。
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アズマイチゲ

 今回は、レンズの選択を失敗した。

 100mmマクロ、135mmしか持って来なかった。リア・コンバータを念のためにバックに入れたが、2倍では少し重くなるので1.4倍の方を選んでしまった。135mmに装着すると約200mm、APSデジタルなので35mm版にするとX1.5の焦点距離換算、その状態で実質300mm相当となる。

 「アズマイチゲ」が林床に咲いているが、どれも遊歩道から離れている。「イチリンソウ」や「ニリンソウ」も同様だ。遊歩道からの立ち入りを禁止する保護用のトラ・ロープの先に小さく咲いているので、300mmでは短すぎる。

 リア・コンバータを装着しているのでカメラの露出制御は「中央重点測光」になる。暗い状況の中に浮かんでいたり逆光に輝いていたり、という白花なので露出が外れる。さらに、135mmの開放F2.8に近い状態でないと被写体との距離が遠いのでボケが弱くなり背景が極端にうるさくなる。

 リア・コンバータでは絞らないと画質が悪くなるが、作画を考えると絞ることが出来ない。絞るれないにもかかわらず、絞ったのと同じ絵になってしまう。

 そんな訳で、アズマイチゲは上手く撮ることが出来なかった。

アズマイチゲ 石仏脇で咲くアズマイチゲ
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案内板 林床のズミレ(タチツボスミレ)

ニワゼキショウ? 色が白いので違うとは思うが
ニワゼキショウだろうか
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カタクリ 林床に咲く

 「カタクリ」は早春を告げる花だ。

 今年は暖冬なので、もっと咲いているかと考えていた。しかし、思いのほか咲いていないのでちょっと驚いた。するとこの花の開花は日照時間で計られているのだろうか。

 「ニリンソウの里」の遊歩道から里山の斜面側に自生しているが、まだほんの数株しか開花していなかった。どうやら、一週間ほど訪れる時期を早まったようだ。

舞うように咲く 舞うように咲く
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蕾

 「西光寺」では、地元の人たちによって「カタクリまつり」(2008.03.23 「武蔵野の小京都(小川町)」)が開かれる。今年も三月の月末の土・日曜日あたりに開催されるのだと思う。

 「まつり」と言っても、地元の人たちのボランティアで模擬店を出しているだけの素朴なものだ。

 去年は、ポップコーン、甘酒、焼きそば、みそおでん、豚汁、などが作られ、どれも破格の値段だった。「西光寺」の境内にはそれらの模擬店が並んで、学園祭のような素朴な雰囲気があり、村祭りのような活気があった。

 さらにここでは、「まつり」の日には本物の片栗粉(カタクリから精製した粉)で溶いた<カタクリ湯>の無料の振る舞いがある。

 祭り当日はかなりの混雑になるが、写真を撮れないほどではない。カタクリの可憐な花を楽しめるのは勿論なのだが、古い街の暖かい心といったものも味わえる。

カタクリの輪舞
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西光寺 鐘楼

 お寺の奥の自生地で咲いていたカタクリを撮ったので、お寺を抜けて「オオムラサキの林」へ向かおう。

 寺を抜けて駅方向へ住宅地の中をすこし歩くと、丘へ登る遊歩道が現れる。その道を登ると、里山の斜面に細い道が続いていく。

 広葉樹に囲まれた明るい道で、暫くは低山歩きの気分が楽しめる。その上部(「仙元山」上部)には「見晴らしの丘公園」があり、斜面を利用した長大(203m)なローラー・コースターがある。
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サクラソウ オオムラサキの森へ続く道

 小径の脇で白く光る花を目にした。

 観たところ、どうも山桜のようだった。この日は3月17日なので、桜の開花にはまだ早い。大分咲いているが、八重でもなく、寒桜の様でもない。

 小径の反対側の奥まったところには大きな梅の木があり、満開に咲いている。眼にした樹木はどう観ても梅ではなく桜のようであり、少し不思議な気分がした。

突然の桜 遊歩道の終わり
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カタクリ

 暫く歩くと、丘を横切る遊歩道は階段状に変わり、雰囲気のあった小径は突如終わってしまう。

 その階段を降りたところから先の斜面へ向かって、またカタクリの群落がある。こちらは、数株が咲いていた。去年はこちらの花の色の方が「西光寺」のものより濃いような気がしたが、やはり今年もそう思う。

光を透かして
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橋からの眺め ミツマタ?

 「カタクリとオオムラサキの林」を抜けると、あとは駅まで住宅地が続く。

 橋からの眺めは、自然の川底がそのまま残っていて、街中(郊外だが)とは思えない。やはり、生活の中に流れる川はこうでなければいけない。「郡上八幡」とまでは文化的な背景が違うのでとても無理だろうが、清流の流れる町の様子というものは実にいい。川好きの私としてはこうした古い街には憧れてしまう。

 川岸で黄色に輝く木を見つけた。ミツマタだろうか、大きな木だったが名前がわからない。

ミツマタ?
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清流 街道沿いの古い町屋

 「小川町」は古い歴史の街だ。

 すぐ間近に自然が溢れている。街中を流れる清流もそうだし、丘や森、少し歩けば里山の風景が残っている。

 駅の周辺はマンションも幾つか建っていて大分住宅地としての開発が進んでいるが、歴史的な産業(和紙の手漉き)を大切にするように、自分たちを取り巻く自然も大切にしている。歴史との共生や自然との共生が可能なのだ、と思い知らされる。

 新座の「黒目川」(2007.07.01 「黒目川:越生への寄り道(新座)」)もそうだった。要は住民の川(ひいては地元の文化的な背景)に対する<姿勢(スタンス)>なのだと思う。

老舗の玄関口
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 「カタクリ」、「アズマイチゲ」、「イチリンソウ」、「ニリンソウ」など、貴重な山野草を撮るために度々この街を訪れるが、落ち着いた雰囲気があって好きな「まち」だ。駅周辺の中心部には、老舗や古い町屋、蔵造りの家がいくつか残っている。

 自然が残され守られるのと同様に、古い伝統産業の「和紙造り(紙漉き;小川和紙)」や日本酒の造り酒屋など、歴史も守られている街なのだが、「建物の維持」という話となると少し難しかろうと思う。

 大正時代を思わせるモルタル造りの商家は、見たところ中心の通り沿いに一軒だけが残っていた。住む人の日々の利便性という要点からだけではなく、老朽化が進めば危険でもあるのだから、単純に残し続けるという事は出来ない。そうした状況では、建て替えざるを得ないのだろうと思う。

 「川越」などのように耐久建築の「蔵造り」であれば、残す方法はいろいろあるのだろうが、ただの木造ではそうは行くまい。古い町並みをみると、いつも何とかならないか、と考えてしまう。

「紙問屋」と看板がある 地酒
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