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オーディオ : オーディオという趣味について
デジタルアンプについて(続)

<デジタルアンプ について>  2011.01.16

 オーディオ・ボードを搭載したONKYO製のパソコン『HDC−1.0』だが、これが良い音が出て実に快適だ、と以前書いた。デジタル信号をアナログ変換する回路設計そのものが売り物(「HDオーディオという潮流」)のオーディオボードを搭載したモデルだ。

 「音楽再生専用」を謳い、振動対策や回路間の干渉の除去などを含めて、静穏(静音)設計を極めて、音響に留意している。このため優れた基本構造を持った優秀な機器に仕上がっている。

HDC−1.0

音楽再生専用設計 パソコン 『HDC−1.0』
SA−205HD

サラウンド・デジタルアンプ 『SA−205HD』

 このパソコンの外部出力方式としては、光デジタル信号の出力もあるし、次世代フォーマットと呼ばれるHDMIの映像出力もある。

 これをデジタルアンプ回路搭載のサラウンド再生アンプの『SA−205HD』に繋いでいる。このため、Web上の様々な映像信号と音楽信号をデジタル信号のまま回路間さらには機器間で引き回して、最終的なスピーカの直前の段でアナログ信号へ変換して、ロスの無い再生をすることが出来る。

 YouTUBEの音源は玉石混合の状況だが、中には素晴らしい音質でアップされたコンテンツもある。違法コピーが後を絶たないので、若干再生する側としても後ろめたさは拭えないが、サラウンド・アンプ上に搭載されたDolbyProLogic Uによる拡張ステレオ音場再生でアップされたライブの音楽を流すと、通常のステレオ再生以上の音場の良さが発揮される。
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 一方、そのパソコンで変換したアナログ信号の出力端子に接続しているのは、デジタルアンプを搭載したCDレシーバユニットの『CR−D2(「デジタル・アンプを物色する」)』だ。

 パソコン内部に搭載したオーディオ専用のボードでD/A変換を行って、アナログ信号を出力していて、それをレシーバ側で受けて再生しているという状態だ。

 レシーバには、デジタル信号(光)の入力もあるので、こちらでD/A変換することも出来る。また、こうした接続以外の手法としては、パソコンの出力を高品位なアンプ内臓の小型スピーカに接続する、という手段もある。そうすればミニマムのデジタル再生システムが成立する。

ONKYO CR-D2 CDレシーバ

『CR−D2』
デジタル回路の
アンプ部を搭載
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<デジタル音源への取り組み>

 実は最近になって、ONKYOからはiPod専用の入力(接続)機器が発売された。

 従来のクレードル式の接続機器とは一線を画して、Appleの機器についたイヤホン出力経由でのアナログ再生音ではなく、そこから送出されるデジタル信号そのものを制御する仕組みだ。

 『ND−S1』という型式で、これがまた素晴らしい。従来、再生機器であったiPodやiPhoneがこの機器によって手軽に持ち運びできる「保管庫」に立ち位置を変えてしまう。

 それらコンパクトな機器が、再生と増幅を受け持たずに単純に信号を送出する働きだけになり、そのデジタル信号を受けて本格的なオーディオ機器(それは音響面で熟成されたもの)が、信号の変換と音楽的な再生・増幅を行う最適な仕組みに変化するのだ。

ND−S1 ONKYO ND−S1ND−S1
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 これによって、目覚しい再現環境の進化を享受できることになる。

 パソコンを持っていればiTunesで音源情報は統合的に管理が行える。持ち出しも出来るし、保存に関する様々な作業(ネット上からのダウンロードやCDからの取り込み)が出来る。

 様々な配信サイトがネット上には存在していて、なかにはYouTUBEのような無料のものもあるが、たとえば、オンキョーのWEBサイトからはCDのデジタルコーデッドよりも高スペックのサンプリング周波数で記録されたデジタル音源が低価格でダウンロードできる。  私は、先に書いたONKYOのパソコンを利用しているので、高密度のサンプリング・レートのままでパソコンにダウンロードする事ができる。付属した専用の音楽再生用統合ソフトでそれを再生して、そのCDフォーマットがスペックとして持つ以上の高特性を獲得し、その高音質を存分に愉しんでいる。

 iTunesに関しても、同様のことが言える。

 上に書いたONKYOのサンプリングレート音源にはスペック上対抗できる物ではないが、このダウンロード購入などでは、最新情報を反映して愉しむことが可能だ。

ND-S1

iPhone 3GS でも
iPod NANO 5Thでも
接続には問題が無い。
ただし、3GSのバージョンUP(4G用ファーム化)をしたら、対応できなくなってしまった。
ND-S1
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<デジタルアンプ をアナログで利用する>

 さて、上に書いたような、進展著しいデジタル環境の世界。

 様々な手法で、再生環境を構築できるのは、もうお判りかと思う。ようするに、自分にとって最も利用しやすい環境を構築すれば、高品位の音を再生して充分に楽しめるという事だ。

 さて、デジタル・アンプとしては、先のCDレシーバの『CR−D2』、サラウンド・アンプの『SA−205HD』など、デジタル信号入力を備え、D/A変換の回路を搭載した機器がある。

 これらの機器でも充分に音楽を楽しめる訳だが、音響機器としての回路設計を行っているとはいうものの、ピュア・オーディオとして開発され、熟成された機器の持つ品位ある再生音には少し及ばないだろう。

 いや、最新設計の高品位なレシーバやサラウンド機器での利用は、オーディオ機材への新たな投資が不要なほど<いい音>が堪能できるし、その再生音にも充分な満足が得られると思う。

 私が自作したスピーカ(8cmタンデム・スピーカーを作る: AUDIO(アンプ、スピーカー)やサラウンド用のAVステーション(IKEAのテレビボードを改造してサラウンドスピーカを作る: AUDIO(アンプ、スピーカー)などを初めとして数種類のフルレンジのスピーカで再生してもその再生音は素晴らしい。

 さらに手持ちの既製品の小型2ウェイスピーカ(ONKYOやPIONEER)からも実にいい音が再生されてくる。

 CR−D2の持つMDやTAPEのLINE録音用の信号出力を真空管の自作アンプに送って、やはり自作のタンデムスピーカなどで再生した場合には、また、一味ちがった厚みのある、重量感に溢れた音が出る。

 そんな風にして「高嶋ちさ子」さんの秀麗なバイオリンや「クミコ・グレース」の重厚なピアノを楽しんでいたある日のことだ。

 接続した大したものでもない自作の真空管のアンプの音で「厚み」や「重み」といった味が出るのであれば、純粋に再生音の追求を行ったピュアオーディオのアンプであったら、これはいったいどんな音が出るのだろう、と思ったのだった。

 デジタル信号の変換に関しては、これはチップと回路の性能であり、高度に集積化がすすんで汎用化もされている現状にあっては、機器間での性能面での差異は、私ごときの貧弱な耳では認識出来なかろう。

 とすれば、そのアナログ化された信号を増幅し、スピーカをドライブする回路にこそ、明確な違いがあるのではなかろうか。いわゆる味付けや雰囲気や空気感といった、計量化が困難な部分にこそ、変化が現れるのでは、と考えたのだった。

AVステーションの様子 AVステーションの様子
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<デジタルアンプ ONKYO A−933>

 そうした閃きに似た考えが浮かんだ後に、暫く悩んだ末に、結局、新しくアンプを購入することにした。

 現状の再生環境でも充分ではあるが、パソコンでの録音という利便性の高い音源を再生するのに、アンプとしての正当な回路設計がされ、経験豊富な技術陣が工夫を凝らして作り上げた増幅回路を持った機器構成で作られたもの、純粋な音楽に特化した「アナログ」的な色合いを多分に残した一級の基本性能を持つアンプで再生・増幅したら、どのような新しい世界がそこに広がるのか。

 「そうだ、アンプを買おう」と思ったのだった。

 使っているCR−D2の音質や傾向が気に入ったので、やはりONKYOの製品を選択してしまった。今、市販されているオーディオ用の国産アンプ(製造は無論海外だろうが・・・)としてはマランツやDENON製品などが人気を集めている。市場の評判も高く人気機種が多いのだが、嗜好的なことで考えれば、私はやはり「ONKYOの音造り」が気に入っているので、そうした選定になったのはやむを得まい。

A−933 デジタルアンプ

A−933
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 アンプはONKYOの『A−933』。

 筐体は頑丈なフレームに囲まれている。外見的な特徴としては横幅が僅かに275mmであることだろうか。能率の割りに全体が比較的コンパクトに仕上げられている。

 発売は確か2005年なので、大分古い設計になるわけだが、何よりシックな外観がいい。

 通常は下部にあるパネルを閉じている状態なので、その外見が2個の大型ダイアルと電源投入のスイッチボタンだけ、というのがいいではないか。アンプにありがちな各種のスイッチやセレクターが立ち並んでゴテゴテとした様も、それはそれでひとつの機能美なのだろうが、こうした削ぎ落とした潔さが他メーカの機種とは明らかな一線を画していて、ひときわ異彩を放っている。飽きが来なくて実にいいと思うのだ。

 回路設計は大変贅沢なもので、プラスとマイナスのそれぞれの電源系に独立した2個の、途轍もなく大型のトロイダル・トランスを持っている。筐体は実に頑丈な作りで、前面パネルはアルミ削り出しの肉厚なものだし、サイド部分もパネル構成であって、剛性的な面も充分に考慮されている。

 重量の大部分をトランスが占めているのではないか、と思われる。そのトランスに続いて数個の大型電解コンデンサーが配置される。これまた、市販の同クラスの製品で考えられる限りの贅沢な容量をもつ大型のものが奢られている。こうした優秀な電源系統に支えられて、さらに随所に工夫を凝らした多くの回路が搭載されている。

 デフレが進んだ昨今だから、こうした購入価格で手に入れられることになっているのだろうが、利用している個々のパーツを眺めてみれば、とても低廉な実売金額では対応できまい、と思う内容を持っている。

A−933 パネルを開いた状態
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<デジタルアンプ ONKYO A−933 の再生音>

 デジタル増幅の回路を搭載しているのに、実のところ、このアンプには「デジタル信号」に対してのダイレクト入力(さらにはデジタル出力まで)が設けられていない。

 その代わり、プリ・アンプ機能を殺した、『MAIN IN』の接続端子を持っている。要するにこの機器は、デジタルアンプとしてのパワーアンプを基本的な構成として煮詰めて、そこにプリアンプ機能を搭載したという開発構造なのだろう。

 だから、単品のパワーアンプとしても充分な回路設計がされ、パーツ吟味が行われて、頑丈でノイズレスの筐体仕様を含めた各種のチューニングが凝らされている。完成度の高いデジタル・パワーアンプ、それにプリアンプ機能が付きましたといった性格がこのアンプの持ち味なのだろう。

 CR−D2の再生も素晴らしいが、このアンプA−933から再現される音は、それとは別次元の秀麗な音が出る。


 たとえば、ピアノの後ろで弾れているベース。若いころ何度も行った新宿界隈のJAZZの老舗ライブスポットで聴いた「響きの密度」がそこにある。弦の唸りというか、厚みや奥行きといったもので、私の表現が稚拙でうまく言い表せないのがもどかしく思えるが、流れ出す密度の高い音の内容は、なにものにも替え難い重厚な存在感があるのだ。

 ピアノにしても同じだ。弾かれた弦から厚いボディへ伝わる響きまでが感じられるし、鍵盤へ加えられる部妙な指のタッチまでが見えるようだ。

 アキコ・グレースのアルバム、「From OSLO」はスタンダードなピアノトリオで奏でられる名演だ。CDリリースの5作目にあたるアルバム作品で2004年の録音だ。ピアノトリオのメンバーは、ラリー・グレナディア(b)、ヨン・クリステンセン(ds)。

 これなどを再生すると存在感に溢れた素晴らしい音の波が溢れてくる。

 たとえば、「Woltz For Debby]といったスタンダード曲も素敵だし、7曲目の「Peace, Searching For」、さらにはクラシックの名曲「Solveg's Songs」などを聴くと、あまりの再現性の豊かさにもう涙が滲んで来るほどの感動をもたらしてくれる。

 彼女の持つ繊細な音楽性と骨太の演奏テクニックが、ストックホルムのスタジオの空気感まで含んで、遺憾なく再現される。

AVステーションの様子 CDはパソコンに取り込んで聴く。

CDレシーバの『CR−D2』では、ダイレクトで再生するが、
それ以外の再生環境としては、
AV用のブルーレイ・プレーヤーを利用することが多い。

PIONNERの『BDP−330』
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<デジタルアンプ ONKYO A−933 のエージング>

 JAZZギターで一世を風靡した渡辺香津美さんの奏でるクラシック演奏がきにいっている。

 「無伴奏チェロ組曲 第一番プレリュード」などは、厚い広がりと豊かな奥行きを感じさせる。とてもギター一本で奏でているとは信じられない厚い音の世界が明確に築かれる。

 同じアルバムに収められた「亡き王女のためのパヴァーヌ」、この曲なども表現豊かで心が揺れる。その演奏の底辺に流れる丸みや温もりまでが伝わってくる。


 当初、このアンプから流れてきたのは、茫洋とした感じの音だった。折角期待をこめて購入したのに、と少しショックを感じたほどだった。そこで、エージングとして高嶋ちさ子さんのアルバムなどを掛け続けた。一月近くの流し込みで、ようやく今の落ち着いた音に変わってきた。

 どうせならばと、新しく手当てしたフルレンジスピーカーのエージングも兼ねて、その新たなスピーカに繋いで、音を流していた。今では、先の小型2ウェイは勿論、そのフルレンジからでも素晴らしい雰囲気(空気感)が再現されるように変わってくれた。上で書いたアキコ・グレースの感想はそうしたエージング作業の成果だと思う。


 スピーカケーブルは、アンプとの相性を考えて愛用のDENNON製の「AK−2000」から、ONKKYOの販売する製品に変えた。ONKYOの製品はMONSTER CABLE社のOEMだが、こちらの方が音の鮮度が高いように思う。
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