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オーディオ : 月刊STEREO誌 付録 LXU-OT2
STEREO誌の付録 ヘッド・フォンアンプ付きUSB−DAC <LXU−OT2>を改造する

<LUXMAN ヘッド・フォンアンプ付きUSB−DAC <LXU−OT2>を改造する (2013.01.27)>


 月刊のオーディオ専門誌「STEREO」に今年(2013年)の正月も実に嬉しい付録が付いた。ヘッド・フォンアンプ付きのUSB−DACの音声(オーディオ)ボードである。

 さて今まで、このボードに関しては試聴と比較、諸々の問題点などの確認、その修正や改善、そしてケース収納やS/PDIFインターフェイス機能の追加など、順次積み重ねてきた。

 そして随分とボードを通じて色々な音楽、楽曲を再生し、その透明感のある音色を聴き込みつつ、推奨されているオペアンプの交換なども行った。誌面で紹介されたオーソドックスな手法で、様々にボードの持ち味を楽しんで来たわけだ。

 そこでいよいよ実装されたパーツ変更へ踏み込んで、ちょっと重めの変更を加えてみようと思う。いや「重め」などと言っても、それは世間で行なわれている程のものではない。私の基準での話なので皆さんが考えてしまうほどのレベル、大規模な改修作業ではないので悪しからず。

 アナログ音声信号のライン出力系に使われている電解コンデンサーの交換と電源系のコンデンサーの交換などが主な作業になる。また、先の「手当て」編での内容を引き継いで、ケースの仕上げとそこへの収納までを行うつもりだ。

 この一連の作業を終了すれば、<モノ>としての機能が整って、当初考えていた「完了形」がやっと出来上がることになる。

 関連ページ;

  ・のんびり行こうよ: <月刊STEREO誌 付録  「LXU-OT2」を聴く>
  ・のんびり行こうよ: <月刊STEREO誌 付録  「LXU-OT2」を確認する>
  ・のんびり行こうよ: <月刊STEREO誌 付録  「LXU-OT2」を手当てする>

  ・のんびり行こうよ: <TA1101Bボードで「LXU-OT2」を拡張する>
  ・のんびり行こうよ: <月刊STEREO誌 付録  「LXU-OT2」を収納する> 新規更新のページあり
  ・のんびり行こうよ: <月刊STEREO誌 付録  「LXU-OT2」で応募する> 新規更新のページあり

特別付録が付く2013年1月号

記念すべき2013年1月号    定価は2800円。
ヘッド・フォンアンプ付きUSB−DAC LXU−OT2

<LXU−OT2>

ヘッド・フォンアンプ付きUSB−DAC
(パソコン用のUSBオーディオボード)

 今回の改造作業に踏み込む前に、一応、今までの過程を振り返っておこう。まず手始めは「復習」から始めましょう、というわけだ。


<STEP1: 動作確認と回路のエージング作業>     <月刊STEREO付録 「LXU-OT2」を聴く>

 パソコンからの通電、ボードの認識化、色々な音楽管理ソフトでの再生、各機器構成との比較試聴などを行った。
 さらにそこからエージング作業(いわばそれは「老人力」の付与ということ)を兼ねた聴きこみを続けつつ、
 合わせて世間の喧騒の様子なども小まめにチェックした。


<STEP2: ノイズ対策要否の判断や様々な事象の確認> <付録 「LXU-OT2」を確認する>

 聴き込んでみると、そのボードでのオーディオ再生は素敵な再現性を持っていて、実に驚く内容のものだった。
 Web上からノイズ対策情報を拾ってどう手当てするかを検討し、あるいは対応すべき必須項目の有無などの何点かを
 確認した。 また、ボードの固体差に関しても試聴による検証を行った。


<STEP3: 誌面やWeb上で紹介されていた改造を行う> <付録 「LXU-OT2」を手当てする>

 ボードは均一ではなく、多少の固体差がある。しかし音質や再現性に関しては複数のボード共に、実に良好なものだった。
 そうした試聴による確認の結果からは基板上に実装された回路に敢えて何か手を加える必要はないな、と思われた。
 誌面で紹介されたオペアンプの変更はもう行っているので、抵抗の変更やケースへの収納(パーツの移動)を行った。
 また、同じく紹介されていたS/PDIF出力用にオプティカル出力用の端子やコアキシャル出力用バッファ回路などを
 追加した。
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<改造の方針 について>

 今回はあの優秀なボード「LXU−OT2」に対していくつかの点で手を加えてみることにするのだが、基本としては回路設計をした老舗オーディオメーカーのLUXMANが意図したカラーからは外れないような機能追加だけを行うつもりだ。

 これは従来からの作業方針。折角のLUXMANブランドのボードなので、設計上の定数は尊重してそのままにする。

 つまり、電源系の回路や各種インターフェイスの追加作業などは別として、音声回路上の抵抗やコンデンサーの規定値は変えない、ということだ。

 要は<音の回路として吟味され設計され実装された内容>は決して変更しない、という基本方針を守るという事になる。

 ライン出力用とヘッド・フォン出力用のふたつのオペアンプへの安定した電源供給や、アナログ音声信号用の電解コンデンサー群が基板上に並ぶ。

 今回の改造(パーツ変更)の中心点は言うまでもなくここにある。

電解コンデンサー群

実は、この基板実装。ペアリングされるべきコンデンサーの配置は、
随分とランダムに行われている。
敢えてシンメトリ配列にしない事で、
パーツ間の干渉発生を防いで
チャンネルセパレーションを高めている、
ということなのだろうか・・。

多分、そうした明確な意図があるに違いない。


もし、その理由が基板面上(上部エリア)にロゴを入れるためなのだとしたら、要するにそのエリア確保のためだけなのだとしたら、もう少しそのあたりは何とかならなかったか・・と、ほんの少しだけ残念に思っている。
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<ボード上での電解コンデンサーについて>

 ライン出力、ヘッド・フォン出力、の2系統の出力増幅回路に対してステレオ音声それぞれのチャンネル分(右用と左用)の2つ、更にその増幅過程でオペアンプへの入力段と出力段がある。それぞれのポジションで電解コンデンサーが置かれているが、それらの容量は同一ではなく、回路中の位置によって異なったものに設定されている。

 さらに、アナログ音声信号が通る経路ではなく、オペアンプ動作用の6Vや12V電源供給の安定化を図るための電流経路用のコンデンサーが設置されている。

 そうした異なる役割を担ったそれぞれが、スペースの関係でボード上の適宣な位置に置かれている。右・左のチャンネルの区別や入り口と出口といった経路の場所でそれぞれのパーツ配置がシンメトリーに配列化されている訳ではない。「新婚さんいらっしゃい」で昔やっていた「パネルを使った神経衰弱」ゲームのように、ペアの相手はまったく配置がばらばらになっている。

 多様なオーディオ用の基板に見られるディスクリートパーツ群は、見事に安定したシンメトリー配置という状況にはなっていて、それがまた機能美でもあるのだが、残念ながらこのボードの音声増幅回路はそうではない。

 だから、コンデンサーを新たなものへと置換する際には大切な注意点がある。

 交換の対象となるパーツ番号を誌面に掲載された回路図で把握し、その上で基板上の位置をさらに充分に確認する必要があるのだ。パーツ種別1桁(コンデンサーのCや抵抗のR、ユニットのU、など)、種別内でのパーツ番号(連番)2桁が組になり、3桁の英数字となって、基板面にシルク印刷されている。ちょっと混雑していて見づらい部分もあるが確認自体は容易だろう。なお、連番の1桁のものは0xとはなっていないので、これらは3桁ではなく2桁で表現されている。

取り外すパーツをマーキングする 今回の目標としている主要な音質に対する改良点は、
RCAライン出力系の電解コンデンサーを交換することにある。


まずは確認から始める。
そのためには作業前にもう一度、回路図と誌面の記事をよく読む必要がある。


そして改修の方針(ライン出力orヘッド・フォン出力?、または電源回路?)が決まったら、対象となる電解コンデンサーのパーツ番号とその容量を基板上で再度確認する。

交換対象のパーツ位置が把握できたら、その半田面(基板裏面)にマジックでマーキングをしておこう。(事故の防止、のためである。)



左の写真の画面上部分に並んだ3個の半田とその左下の1つの半田。
列の右2個と左下の1個が交換対象なので、黒マジックで縦棒を引いてマークしている。
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パーツ抜き 完了

いよいよ、マーキングした部分のパーツを取り外す。

基板上のパーツを選ぶ際には、まず回路図のパーツ番号で符合させる。板上での実物の容量を確認して、その容量だけで該当かどうかを判定してはいけない。

その後で、基板裏面へマーキングを行い、再度パーツ番号を確認する。
この際にライト等を使って基板を透かして把握した位置が正しいかどうかを見ると作業が捗る。
ランドに半田を増し盛りして基板上の半田の融点を下げると、全体が早く溶解する。結果としてパーツや基板の損傷が防げる。

力ずくでパーツの離脱作業を行ってしまうと、基板のスルーホールを崩すだけでなく、周辺の回路(経路の銅箔ライン)が浮いてしまう。

この作業では、<短気>は禁物だ。
相手が狭い場所出し、小さいので、作業はちょっと苦労する。それに裏面の半田が溶けてもパーツ浮かなかったりするのだ。(両面基板のためか?)

しかも困ったことにパーツには温度への耐性範囲がある。

数秒程度で離脱させないと加熱し過ぎてしまって、パーツが一環の終わりとなって再利用できなくなってしまう場合がもある。

あるいは周辺にある放って置きたいパーツにまでまで被害が及んでしまう。


パーツの離脱にはそうした難しい点があるので、注意すべきだろう。

 さて、アナログ音声信号のライン出力側は、右Ch用の<C31,C38>と左Ch用の<C88,C39>の組によって、そしてヘッド・フォン出力側では、右Ch用の<C21,C32>と左Ch用の<C16,C45> のそれぞれのペアとなる電解コンデンサーが回路を司っている。

 最初の(C31,C88)がライン出力信号用オペアンプの入力段、後ろに書いたのがオペアンプ出力後の信号を賄っている。そしてヘッド・フォン側は最初の(C21,C16)がオペアンプ入力前段で、後ろがアンプ出力後のものとなっている。くどくなるが、これがペアで構成されているものだという事を意識して交換しなければならない。

 なお、「STEREO」誌面に掲載された回路図を確認してみると、ヘッド・フォン側の信号入力経路はUSB−DAC機能のコアとなる集積回路”PCM2704”のアナログ出力ラインに直結しているのではなく、ボード上のラインアンプ回路の出力最終位置(RCAジャック直前にある抵抗の手前部分)から分岐して、その(ヘッド・フォン用の信号として)専用オペアンプの入力となっている。
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 ヘッド・フォン出力の音質や諸々のものは、その入力信号経路の前段に位置するライン出力回路の最終結果を引き継いでいるし、その影響を受ける形になっている、といえよう。

 なお、先に書いたように音声信号用の電解コンデンサーはライン出力用とヘッド・フォン出力用で増幅経路が2回路ある。

 それぞれ右と左の2チャンネル分に関して前段・後段でセットが組まれているので、各Ch分の対応は必ずバランスさせる必要がある。でないと、STEREO再生での音像の定位が狂ってしまうだろう。

 パーツ番号と容量のダブルチェックの確認が必要というの理由は、ここにある。

コンデンサーを抜いたところ

対象となるパーツが抜けた基板面(これは表側)
置換対象の電解コンデンサーのひとつ<C38>

これ(左上に離れて置かれたひとつ)が、
RCA出力ラインの飛び地にある電解コンデンサー
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並んだオペアンプ

オペアンプは置換し、供給電圧を12Vから増圧させる。

置き換えただけで生成される音に素敵な変化が起こるのに、
さらにドライブをかけたらそれはもう大変な事になるのでは、と熱い期待が膨らむ。


USBの接続端子(4個並んだ部分)部分。

・4番ピン(右上)にアースポイントを作り共有する。
・1番ピン(右下)からのラインを分断してスイッチを設置する。
 (外部供給とバスパワーの切替ポイント)

 左に並んでいる2つはデジタル信号(+、GND)になる。

<さあ、いよいよ改造に踏み込もう>

 改造を始めるに当っては、まずどんな仕組みにするかを考えてみた。さて、その仕組みを大きく考えていくと以下に順次記載した3つのボード利用タイプが想定されようか。

まず、最初のひとつは誌面の特集記事でも紹介されていたもの。これは電源を強化し、回路への供給を安定させて再生音を厚くしようという方針のもの。オーディオ的には電源回路の強化な状態や安定性は大きなウリどころとなる点だ。パワーアンプなんて、場合によると半分近くのコストをシャーシを満たすトランスや巨大に並んだコンデンサーの類が占めるのでなかろうか。

 まさに、オーディオの王道的な手当てといえよう。対処を行う効果は、かなり大きいものと思われる。そして、この作戦は失敗してしまう可能性は極めて少なく、大きな度合いで成功するものと思われる。
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電源の投入口の手当て

大分、小奇麗なことになってしまった。
・アースポイントの設置(パーツピンでの接続)
・バスパワーの電源ラインの取り出し
・基板への電源供給ラインの確保

などの手当てをした基板面。



確認作業があるので、まだ、バスパワーと基板の電源投入ライン(二つの赤いリードの間の帯上の銅箔部分)は分断していない。


画面中央上部はデジタル信号の出力ランド。
その2つに基板ピンを半田付けした状態。

ひどい状態になっている画面左下の部分に関しては、また後ほど解説しよう・・・。

USB−DAC DCパワーで再生力強化バージョン

 一つ目は純粋にバス・パワー利用の<素(無垢のボード)>に近いものだ。5V電源のみを外部投入可能な状態にし、ケース内へ収納するというもの。

 オペアンプの動作電圧の範囲は広く、大きな電圧でも動作が可能で、そうした変更に対しては耐用が高いものだ。12Vをさらに昇圧させてドライブする案が誌面で行われていた事例である。私も、5Vの外部投入だけでなく12Vも外部から投入してみようか、とも考えたのだが、ちょっと運用のハードルが高くなる。12V用のスイッチング電源アダプターがもっと安価に入手できれば、そうしているかも知れないが、今回は見送ることにした。

 12V外部投入に関して今回は実施しないのだが、あとで紹介するパターン3のひとつのバリエーションとしては実現出来るかもしれない。改良案をゆっくりと温めておこう、と考えている。

・アースポイントの設置
・バスパワーの電源ラインの取り出し
・基板への電源供給ラインの確保

大分、小奇麗なことになってしまった基板面を改めた。

最終的に、2Pのソケットを利用する事にした。
本来は、基板面に貫通させて固定すべきなのだが、このあたりは大きくグランド化されている。

仕方がないので、はんだ及び両面テープで固定した。

電源の投入口の手当て
電源の投入口の手当て

見える部分ではないので構わないが、やはり、コードの直付けでは具合が悪い。

スイッチ側からは2Pのソケット、基板側はそのソケットに適合したハウジングで電源とアースのラインを受ける。
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電源用DCジャック

<スイッチ機能つきのDCジャック>
 仕様上に明記された利用規定ではMAX12Vまでの製品で使え、との事。

なお、赤リード以外に残りのラグが2個あるが、その切片はオート・スイッチだ。
プラグインでその2極間の通電がOFFとなる。

中央はプラグが挿入されていない状態で左側のラグ上の結線と通電する。
プラグを挿入することで中央のラグは自動的に離脱し、左のラグとの間で確保されていた通電状態が切られる事になる。
<電源用のDCジャック MJ−10>

DCジャックは機器に合わせて極性を付ける。

私が想定した外部の電源アダプターはDC端子のセンターがプラス。

だから中央の大きなラグにプラス用のコードを半田付けする。

横にある2個のラグは残りの極性で、DCプラグの外周部分が接地する。

だから私の想定機器ではスイッチ用の切片側がマイナスの部分となる。このため黒のコードを付けることになる。

 二つ目のパターンに関しては、最初のパターンにおける様々な手当てを最低限実施すべき「基準ラインの仕様」とし、さらにそこへ機能を積み上げて実現させる内容になっている。そのうえで、以下の2つのパターンで記したバージョン(バリエーション)へと発展させていくというものだ。


・USB−DAC S/PDIFコンバータ付きバーション
 このボードをUSB−DACとしてだけでなく、デジタル信号のコンバータとしても利用できるようにするという内容。

 付録ボードにS/PDIF用の出力機能を追加することで、デジタルの信号変換インターフェイス機器として利用できる。
 (USBによるバッファリングされたデジタル信号を機器で受けて、PCM2704でS/PDIF仕様の信号に変換して出力する。)

 さらにその仕組みは、
  ・ 外部から5Vを電源供給されるのであれば、バッファ基板まで組み入れて光と同軸での2つの出力形式をサポートする。
      <74HCU04AP>のバッファ制御用LSIを搭載した回路基板がキット化されている。   ・ 内部バスパワーだけの電源供給状態で動作させるのなら、TOSLINK端子を接続して光出力だけをサポートする。
 という2つのバリエーションパターンになるだろうか。


・USB−DAC パワーアンプ付きバージョン
 そして最後の三番目の内容は、パワーアンプの機能を同一の筐体内へ組み込むというタイプだ。これに関しては、ちょっとステップが異なるために、ここでは展開せず、またの機会としておこう。
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DCジャックへの配線 右側が、スイッチ機能の無いノーマルなDCジャック。

プラグスイッチ内臓側と比べると同心円状にコンパクトな形状に仕立てられている。

差し込むDCプラグは共に内径が2.1mmの同一規格。

 先程までの3パターンの概要紹介の内容で、改造の方針や主に何をしようとしているのかが、改めて明確になったと思う。

 そこで、今度はそれぞれの詳細内容を紹介しよう。

 このボードへの改修・改造は、1)問題点の改善、2)高品位な再現性を求めるための手当て、それから3)ケースへの組み込みやパーツの移動といった標準化、更に4)追加機能の実装、という4つのポイントで行うものになる。

 一様に性能改善であったり機能改造であったりするのだが、実はその目指す部分が上に書いた4点でも明らかなように、微妙に違っている。だから、そこには作業実施に関しての優先順位があるわけだ。そうした内容がこのままではすべて渾然としてしまうので、今度は内容としての属性分類に主眼において、以下に改めて実施する詳細を確認しておこう。
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各種のスイッチ

2回路2接地、1回路2接地のスイッチが並ぶ。
ON/OFF用スイッチ

こちらは1回路1接地。単純なON/OFFのみのスイッチだ。

<ヘッド・フォンアンプ付き USB DAC モジュール に対する共通対策   〜基準点への嵩上げ作業>

・RCA出力用の電解コンデンサーの交換
 <C88(10μF)・C39(22μF)>、<C31(10μF)・C38(22μF)>  (ただし<C39>の配置は飛び地)
・電源系の電解コンデンサーの交換
 <C18(10->100μF)>:5V入力系に利用されるもの。括弧内は元の容量と変更後の容量を記述している。
 <C2(100->200μF)>、<C33(10−>100μF)>、<C7(100−>220μF)>、<C4(100−>220μF)>
・ノイズ対策 その1、2、3
 1;<C11>を220pFへ交換
 2;クリスタル基板下周辺、L1インダクター の遮蔽(絶縁済みの亜鉛版の添付による)
 3;VRボディの基板GNDへの接続

・DACボードを金属ケースへ収納
・RCAプラグ(フレーム部分を含む全体)を撤去し、ケース上へ移動
・LED移動または撤去(ケース上へ通電動作確認用としてあらためて設置)
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 上に書いた<共通対策>を施した上で、以下の2つの機能も基本的な仕様として実施しておくことにする。ここまでの手当てが、最初のパターンで行う詳細の項目 −基準工作− となっている。


<DACボードへの基本機能付加>

・5V DCプラグによる外部電源の投入、電源種別の選択スイッチの設置
 外部電源とするか、USBバスパワーとするかの自動切換スイッチ、または手動操作による切替スイッチをパネル前面へ付ける。

・S/PDIF用オプティカルリンクの機能増設
 TOSLINK用送信モジュールを設置する(TOTX177A端子 及び 0.1μF コンデンサー)
 なお、光端子への電源供給ライン上にデジタル出力の動作(端子への給電)選択用SWを設置する。
 (TOSLINKモジュールへの供給電源ラインのON・OFFのスイッチ、通電インジケータとしてLEDを設置しON時のみ接続する。

通電インジケータ用のLED

通電インジケータにする<LED>が2種。

足の長い方がプラス(アノード)で短い方がマイナス:アース(カソード)である。熱に弱いのではんだ付けは注意する。
ON/OFF用スイッチ

こちらは1回路1接地。単純なON/OFFスイッチだ。
(コード径を変えているのは、流す電流の容量と電圧が違うため。)

 ところで、電気回路への通電を制御する場合、ON/OFFの切替スイッチを設置する電源ラインは極性とは関係がない。

 このため、違和感はあるがプラス・マイナスのどちらの極性ラインを選んでも良いものだ。私はずっと、通電の選択はプラスでしか行わないものと思っていたが、そうではないのだという。ON/OFFの通電状態のみを制御すればよい、ということであれば、「通電が遮断されればよい」という仕組みになれば良いのだという。

 それが、どうしてもプラス側であるほうが違和感が少ないが、かといってマイナス側の通電を遮断してもよいというのだ。なんだか、それをこの歳で知ってみると、実に新鮮で面白い。

 さて今回のボードでは、「プラス極」側(USBの1番ピン)のリード銅箔がラインとして形成されていて、マイナス側(USBの4番ピン)は基盤上の基底アースエリア(ボードグランド)になっている。グランドラインを大きく確保することが、回路全体のノイズレベルを下げることに有効だからだ。(WEB上で公開されているパナソニックの「ノイズに関する技術資料」などでも、そのことが明記されている。)

 このためマイナス極では遮断箇所が基板面から取れない。どうしてもマイナス側の電極で通電を遮断するためには、USBのコネクター筐体部分、実に頑丈なその金属箱自体をきっぱりと基板から分離する必要が出る。その加工は大変な作業だから、そうした選択は現実的ではなかろう。
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TOSLINK端子(リアパネル面)

リアパネル面緒「TOSLINK」端子と「同軸」端子

(TOSLINK端子は保護カバーを外した状態)
TOSLINK端子(リアパネル面)

リアパネル内の「TOSLINK」端子と「同軸」端子、
それにS/PDIFバッファ回路(同軸での信号出力用)の基板

(プリント基板なのはバッファ回路用のキット製品のため。74HCU04APのチップでバッファ制御を行うもの。)

 そして以下は拡張機能の付加項目の詳細となる。

 項目の内容としては、先ほど記述した改造方針の2パターン目のものになる。それを実現するための詳細項目事項をとりまとめておく。


<USB−DAC S/PDIFコンバータ付きバーション (パワーアンプ接続型)>

・S/PDIF用オプティカルリンクとして インターフェイス基板を設置する
 TOSLINK用送信モジュール(光伝送端子)の接続
   「TOTX177A」端子(送信用デバイス) 及び 0.1μF コンデンサー
 コアキシャル出力用のデータバッファ回路(74HCU04AP)の装備
   RCAプラグ(同軸出力端子)、出力バッファ回路、電源供給回路、LED PWインジケータ

 デジタル出力の動作選択用SWの設置(S/PDIFインターフェイス回路の供給電源ラインのON・OFF)
 送信インジケータLEDの接続(ON;端子への通電時のみ点灯させる)

TOSLINK端子(リアパネル面)

リアパネル面   「TOSLINK」端子と「同軸」端子
ケース内面にケーブルを配線した状態。

S/PDIF信号 RCAコアキシャル出力用のバッファ回路
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<USB−DAC ボードからのパーツの取り外し>

 パーツを交換するには、先に書いたようにライン出力増幅回路上の電解コンデンサーを基板から外す必要がある。そこで改めて離脱させる際の 作業上の注意点のいくつかのポイントを紹介しておこう。

 基板上の半田が溶解しない場合には、増し盛りをすると良い。全体の融点が下がって、盛らない場合よりも早く溶解するからだ。

 しかし、そのためにパーツ単品に対しての半田の全体量がふえるので、「吸取り線」や「吸取り器」による吸い上げの作業が必要だ。しかし、吸取器を使ってさえもうまく半田を吸い上げられず、基板面でごたごたとやってしまう場合がある。抵抗などが相手であれば加熱には強くて安心だが、電解コンデンサーでこれをやると内溶液が沸騰してしまいちょっと大変なことになる。

コンデンサーが被災 USBジャックの半田抜きで格闘していて、ふと基板面を見て唖然とした。

電源系のコンデンサーがとんだことになっていたからだ。

USBジャックの筐体全体が蓄熱して、伝播し、それが先の回路まで及んだのだ。

破裂寸前の罹災状態だ。
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 このため、半田を溶かす周辺パーツに対してはヒートシンクを付けて防御したほうが良かろう。 先のケースカッターの紹介部分でも練習について書いたが、この離脱作業には何度かの練習が必要だ。

 コンデンサーを基板から抜くのでさえ、最初は大分苦労をした。「半田 吸取り線」を使うのも久しぶりだったが、なんといっても手際が悪かった。裏面の半田は巧く吸い上げているのだろうが、どうも、表面側の基板へ加熱をしすぎてしまったようだ。

 実装面での銅線ライン(銅箔部分)が損傷していたようだ。というよりも、これはパーツを抜く際に抉ってしまって、多少無理を掛けて抜いためだ。完全にはんだを溶解してすべてを吸い上げてあれば、すんなりとパーツが抜けるはずだが、なかなか抜けずに力を掛けて抜いてしまった。抉った結果、スルー・ホールの貫通ランドごと抜いてしまい、それに続いていた銅線(銅箔)部分まで剥がれてしまったようなのだ。

 新しいパーツに置き換えて半田付けしたが、右チャンネルの音がしない状態だった。そこであわてて確認すると、スルー・ホールとともにあった基板面の銅箔ラインが剥離した状態になっていたのを発見したというわけだ。これには驚いた。

剥がれた銅箔 パーツのコンデンサーを再度、取り外して新しいものに替えた。
リードをきらずに基板面へ残して、そのリードを使って電路を確保した。

(プラス側の基板面上の銅箔が被災)
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半田吸い取り線 基板上の銅箔ラインを修繕する

基板上の銅箔ラインを修繕する。

 久し振りに練習せずに「パーツ抜き」をやったので、最初のコンデンサーでランドが剥がれてしまい、新たなパーツを付けても通電しない状態になってしまった。

 確認したら、そこから伸びた銅箔の信号線が基板から浮き上がってしまっていて、あわや剥離寸前といった状態だった。仕方が無いのでパーツからのラインを基板上に追いかけて、錫めっき線やケーブル線で結線を張りなおした。

 その際に、当初新しいパーツを基板上に半田付けした後に通電したら右側の音が出なくなっていた。「しまった、ボードが本当に素材化(パーツ取り用のゴミ状態の基板」してしまったかと、本当に驚いてしまった。

 恥ずかしい限りだが、教訓なので、その悲惨なコンデンサーと基板の辺りの写真を掲載しておこう。

剥がれそうなランド ボリュームパーツの離脱も難しいポイント。

パーツを抜くまでに、ランドはごらんの通りの状態だ。6極の基板面上の銅箔が被災し、ランドは剥離寸前の状態。

勿論、「吸取り線」だけではだめなので、この後すぐに「吸取器」を購入した。
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<電源系の電解コンデンサー を置き換える>


 電源系の交換用には、どのメーカの電解コンデンサーを選ぶべきか?

 電解コンデンサーには、特に「電源用」と断った製品が用意されている。利用する際の耐用温度が105度であったり、その使用時間が数千時間を保障していたり、あるいは、耐用電圧が50V以上であったり、と。

 完全な独立した電源供給の回路であれば、1000μFや4700μFなどといった容量の大型コンデンサーを選定するところだ。でも、今回のターゲット回路での容量は最大で220μFの物で済んでしまう。

電源系の回路図 電源系の電解コンデンサー
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 そうした点から考えると、やはり信号系と同様に、オーディオ・グレードのシリーズから候補を選べばよいのだろうか。

 そうすれば、基板上の既存の電解コンデンサーと同様な大きさで、交換した場合でも配置先に困ることはない。必要とする容量は1000μFや4700μFなどでは勿論なく、100μFと220μFなので、どのメーカからも選定が出来る。

 このあたりは、ライン出力系の電解コンデンサーの交換が終わったら、ちょっといろいろなサイトなどから情報を集めてみて、改めて検討しても良いかと思う。

 電源系として交換を検討しているコンデンサーについては先に書いているのたが、もう一度書いておこう。

 <C18(10->100μF)>:5V入力系に利用されるもの。括弧内は元の容量と変更後の容量を記述している。
 <C2(100->200μF)>、<C33(10−>100μF)>、<C7(100−>220μF)>、<C4(100−>220μF)>

 ここで書いたように、候補のコンデンサーは5個。その中の<R30>の抵抗と共に変更する<C4>コンデンサーだけは直ぐに交換しようか、と思う。

信号系の電解コンデンサー 信号系の電解コンデンサーが並んでいるが、七番後ろにある<C7>は、
6V供給用の電源系統のものだ。
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 <TP1> 3.3Vのポイント

<TP1> 3.3Vのポイント
 <TP2> 12Vのポイント

<TP2> 12Vのポイント

 いや、しかしそれだけではなく、5Vの投入部分に関しても、考慮をしたほうが良いかもしれない。

 そもそものボード設計では、USBのバス・パワー供給を前提としたもの、のはずだからだ。<C18>のコンデンサーが僅かに10μFで設定されているのは、多分それが理由のはずだ。USBには規格があって、バスパワーの最大量は500mAのはずなので、その容量となっているのだろう。外部からの供給路となれば、もう少し考えて大容量化した方が良い気がしている。

 あるいは、ちょっと書いたすべての電源を完全な外部供給とするか、だ。

 <TP1>の3.3Vから始まって、<TP2>の12V,そして<TP3,4>の6V。これらを入力口として、それぞれの電圧を用意して外部から与えるように改造する、という内容。ここまで手を加えれば、もうノイズ源は基板上から解消される。

<TP3、4> 6Vのポイント
<TP3、4> 6Vのポイント
懸案の<C3>コンデンサー

懸案の<C3>コンデンサー(一番手前の大きいものがそれ)
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<RCAライン出力用の電解コンデンサー を置き換える>


 交換用に選択した電解コンデンサーは、ニチコン(コンデンサー製造大手のメーカ)の製品。

 これはもうお馴染みの音楽再生をターゲットにしたシリーズでMUSEというブランドのもの。16Vや25Vだけでなく50V耐圧のシリーズもある。筐体のカラーリングが金地に黒文字の実に素敵な外を持っている。

 そのシリーズの電解コンデンサーが持っている音は、改めて確認するまでも無く素晴らしい内容のものだ。解像度の高い、ノイズの少ない、深く澄んだ音色がそのパーツによって再生される。

 そのシリーズの製品に置き換えると、オーディオ・マニア以外でもその違いに気がつくほどに音質が変化するはずだ。薄いベールが一枚剥がれるような鮮やかさが出現するからだ。

ライン出力用の回路図 用意したコンデンサー
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 しかも、値段がまた嬉しい限りで50円だったり100円だったり、と実にリーズナブルなのだ。

 例えば、真空管アンプの自作キットでつかった「ビタミンQ」の電解コンデンサーなどは小さな容量だったが確か1000円近い値段(ラジオデパートに入っていた「若松通商」だったか)を取られた様な記憶がある。

 今回置き換えるコンデンサー、基本はそのMUZEシリーズにして確保できる容量のものはシリーズ最上位品のMUSE/KZにする。KZシリーズは評判の良いMUSEの中でもさらに素晴らしいもの。

 メーカからの紹介では「MUSE伝統の耐振理論を融合し、豊かな低音と伸びやかな中高域を実現したハイグレード品」と謳われたものだ。それらのニチコン製品からオーディオ用シリーズのもを調達した。

置換後の電解コンデンサー 電解コンデンサー(置換後)
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 更に今回は手持ちとして複数のボード(都合3枚)があるので、前から気になっていた「東信工業の音響用ハイグレード」シリーズの電解コンデンサーも試してみるつもりだ。

 このシリーズは、「原音再生を極限まで追い求めたハイクオリティー・コンデンサで、豊かな量感と質感を実現したシリーズで高級オーディオ機器に最適」と書かれているものだ。

 もう、読んだだけで、トキメキがとまらないではないか。

 値段は大体MUZEシリーズの2倍といったところだろうか。RCAライン出力用だけ置き換えるのであれば4個、ヘッド・フォン出力側をあわせるとさらに4個、都合8個の高性能オーディオグレードに切り替えるだけで、再生される音場が鮮やかに切り替わる。

 そのもたらされる素晴らしさといったら、元のパーツを基板から離脱させる苦労などは一遍に無くなる程のものだ。苦労した思いや費やした手間の重さなどは、その透明感の増した音に浸れば、遥かな彼方へ消え去ってしまうことだろう。

電解コンデンサー(置換後)
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<ヘッド・フォン端子 を付け替える>

 基板上から離脱させてケースへ移動するのではなく、あるいは接続を分岐させて新たなミニプラグ用のジャックを設定するという手法もある。

 更に考えるならば、元々ヘッド・フォンはあまり使わないのでパネル面にそれを付けないという選択もあった。

ヘッド・フォンジャック(ミニ端子) ヘッド・フォン端子

このパーツも、ボードをケースへ収納する関係で手当てを行う。

基板上から外して、ケースの前パネルへこれを固定する。
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 けれど、冷静に考えてみれば、折角専用のオペアンプでヘッド・フォン出力に特化した信号増幅回路が組まれているのだし、しかもメインチップの「PCM2704」のウリどころは<ヘッド・フォン出力付きのUSB−DAC>なのだという事を考えて、やはりパネルにはヘッド・フォンジャックを設けることにした。

 最初は6.3mmの標準プラグ用を用意したのだが、そのジャックの筐体が大き過ぎるという問題があって、デフォルトと同様に3mmのミニプラグ用に切り替えた。

ヘッド・フォン端子からケーブルを分岐させる ヘッド・フォンジャックの手当て
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 大から小へのアダプターは持っているけれど、ミニから標準へのアダプターが見当たらないので、当分の間は、ヘッド・フォンでの出力回路を使っても密閉型のイヤ・フォンで聴くという事になる。


 さて、ミニジャックは信号の出力系なので、パネル面とグランドは絶縁するタイプのものを選んでいる。なお、コネクターは金メッキされたものだ。

ヘッド・フォンジャック ヘッド・フォンジャックへ結線する
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<RCA端子 を付け替える>

 基板上からRCAジャックのフレームごと取り外して、ケースの後パネルへ新たなRCAジャックを固定する。

 RCAジャックへのアクセス面の高さを押さえて、それを水平に並べたかったので置き換えることにしたものだ。そのため外したRCAジャックの一体型フレームは無駄となって余ってしまうが、まあ仕方があるまい。

 さて、 RCAジャックは信号の出力経路担っている。そこでケースとは絶縁することにしている。ジャックの製品中には絶縁しない種別のものもある。信号のマイナス側がグランドになっていて、付けたケースと通電するタイプがそれだ。

 私が選んだのは一応絶縁タイプになっている。この端子の間に見える白いリングが、この商品のウリの部分。「テフロン絶縁体」というものだ。

 なんだかそれを見ていると、スピンドルで購入(50枚でパッキングされている、アレ)したDVDディスクなどのセット中に盤面保護用として入っているオマケの白い緩衝材のようだが、プラスチック系の素材を絶縁に使った他の商品よりもこちらの方がなぜか高額だ。

 ちょっと見た感じがいいし、高いものといっても通常製品の3・4倍程度で済むのでいつもそれを選んで使っている。

RCAライン出力ジャック RCAライン出力端子
このパーツも、ボードをケースへ収納する関係で手当てを行う。

RCAジャックの手当て
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基板に付けたソケット(RCA出力信号用) 基板に付けたソケット(RCA出力信号用)。


RCAジャックのフレームを取り外して、そこに基板ピン用のソケットを設置した。

アナログ音声信号の基板からの出口である。

 プラグとの接地面は金メッキが施されている。

 「金メッキでの仕上げ」は通電状態を良くするための仕立てなのだが、まあ、実際は気の持ちようといったところだろう。

 ボード上のフレームの位置には3個のランドが付いている。右Chと左Chの信号用と左右共通の信号GNDだ。左右でグランドを分ける場合もあるが、出力側の多くは共有化するようだ。

 例えば、パワーアンプ内のスピーカ端子などは左右のグランド同士を接続する。 この端子の出力口もそうした方向のものになっている。3本のケーブルで、リアパネル上のジャックと基板を結線する。3本というのは一応シールド線船で、+と−の2本の縒り線となった信号線を取り囲んでグランド線がメッシュで覆っている。ノイズの混入を防止するための入念なシールド構造がなされているわけだ。

 ケーブル自体は、スタジオ利用するための音響機器配線用の部材を使っている。

RCAジャックと接続するラインケーブル リアパネルのRCAジャック(非接触型)
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<ボリューム端子 を付け替える>

 基板上から離脱させてケースへ移動するのではなく、あるいは接続を分岐させて新たなミニプラグ用のジャックを設定するという手法もある。

 更に考えるならば、元々ヘッド・フォンはあまり使わないのでパネル面にそれを付けないという選択もあった。

ボリューム端子(Aカーブ20KΩ) 基板上のボリュームランド
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 基板から何とかボリュームを分離して、それぞれの切片に信号線を半田する。

 ここは、ヘッド・フォンでの再生音をダイレクトに扱っているため、基板ピンや基板ソケットは金メッキ品を、そして結線の素材にはスタジオ内での信号線というオーディオグレードの素材を使っている。

 ボリュームパーツが小さいので、作業は大変だが、さらに輪をかけて切片が小さいので苦労する。

ボリュームランドへ結線する ボリューム結線用の基板ピン
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ボリューム結線用のピン ボリューム つまみ

 しかし、現状がいくらデフレ下にあるとはいえ、常識を上回るような企業努力があったお陰でこうした製品を手に出来た私達は幸せだと思う。

 ラックスマンは今回のノイズレポートで一部では評判を落とす可能性もあろうが、多くのユーザとなった人達の間では喜びの環のほうが一層に広がっているに違いないからだ。
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