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オーディオ : 月刊STEREO誌 付録 LXU-OT2
ケースの作成 USB−DAC <LXU−OT2>を収納する
<ケースの作成 USB−DAC <LXU−OT2>を収納する (2013.02.23)>
月刊のオーディオ専門誌「STEREO」付録のヘッド・フォンアンプ付きUSB−DACの音声ボード、 「LXU−OT2」に関しては、いままで色々と手を入れてきた。
一応はパーツ変更や機能追加の作業が一区切りとなったので、ボードを収納するためのケースをいよいよ本腰を入れて作成することにする。
先の諸作業でも、一応はケースの仕上げとそこへの収納までを行っていた。<モノ>としての機能が「完了形」として出来上がったわけなのだが、今回はさらにケース自体に手を入れて、いま少ししっくりとくる様な状態にしてみようというわけだ。
元々、今までのケースに関しては、それ自体が金属製の筐体なのでUSB−DAC基板全体へのシールド効果が期待される。もうそれで充分の役割を果たせるものなのだが、さらにいくつかの追加工作を行って見栄えを上げるための仕上げをしてみようと考えている。
関連ページ;
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のんびり行こうよ: <月刊STEREO誌 付録 「LXU-OT2」を聴く>
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のんびり行こうよ: <月刊STEREO誌 付録 「LXU-OT2」を確認する>
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のんびり行こうよ: <月刊STEREO誌 付録 「LXU-OT2」を手当てする>
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のんびり行こうよ: <月刊STEREO誌 付録 「LXU-OT2」を改造する>
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のんびり行こうよ: <月刊STEREO誌 付録 「LXU-OT2」を拡張する>
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のんびり行こうよ: <月刊STEREO誌 付録 「LXU-OT2」で応募する>
記念すべき2013年1月号 定価は2800円。
<LXU−OT2>
ヘッド・フォンアンプ付きUSB−DAC
(パソコン用のUSBオーディオボード)
シールド素材のアルミ製シャーシに収納する。天地を逆転させて、ケースとして利用した。
天面と側面(右側パネルを切除)には、アクリル板を付けた。
今までに、付録のボードに関しては試行錯誤を重ねて、いろいろと手当てをしてきた。切り傷や火傷といった軽い負傷をともなって、厳しくも楽しい作業に明け暮れる日々を過ごしてきた、といえよう。
そうした作業の内容といえば、本体基板のシールド処理、ラインアンプ側の電解コンデンサーの交換、それに誌面の特集記事でも扱われていた規定のオペアンプを任意の製品へ交換する、などである。私で取リ得ると思われるすべての措置を、様々に行ったのだった。さらに誌面で紹介されていた、ヘッド・フォン回路上の抵抗の置換、などなどにいたるまで・・。
そうしてそれらが一通り仕上がって、さらに一応はケースにも収納して、気持ちの上でも区切りが付いた。
特に手を入れなくても「もう充分」であり、そのままの状態で良いのだが何となくもう少し何とかしたい気持がある。
そこで今回の作業では基板面自体に手を入れるのではなく、<収納ケースの改造作業>に踏み込む事にしたわけだ。
<収納ケース について>
私が考える「収納ケース」とは、やはり<金属製のもの>という事になるだろう。
1960年生まれの昔気質の人間にとって、自作の回路はいわば「お宝」、といえる代物だからだ。しかし、今回は自作ではなく改修した基板ではある。でも、気持ちの上では少しも変わりが無いといえよう。間違いなくそれは「私のお気に入り」なのだ。だから、それを収納するとなったら、やはり金属ケースへという選択が思い浮かぶのは仕方あるまい。そうした愛着感から前回までの作業では一応に金属製のケースへ収納しったのだった。
しかし、今ではポリカーボネイトやプラスチックを素材として、多彩なデザインのケースが市販されている。非金属であれば、穴あけや切断などの加工作業は至極楽なので、最近ではそうしたケースが自作の世界でも多様されているようだ。もちろんそれも一理あって「ケース加工の作業」は骨が折れる部類の最右翼といえるものだからだ。
さらには、パネル面の加工は直ぐに目に付く部分なので、その仕上がり(要は腕前)がものを言うことになる。だから、容易・自在に加工が出来る素材を選択して収納するに越したことはなかろう。
もちろん「収納」という外見上の状態だけ考えればそれでもよかろうが、しかしケース収納には外部にあるノイズ類から内部のボードを遮断するといった意味がある。電気的なノイズや磁気などに対しての<シールド効果>をケースに期待する場合には、やはりその候補は<金属製>という事になろうと思う。
ところで、ケースとはちょっと違ってくるが、変わったところでは「ガラス素材」で仕立てるなどという選択もある。ガラスで囲ったところでシールド性は皆無なのだが、例えば厚めの板ガラスを上部や下部に置いて仕上げれば外見は実にイイ感じを持ったものになると思う。実はそういったクールな都会的な印象の仕上げ状態のものも魅力が大きくて、本当は惹かれてしまう。けれど予算と技術力という観点から考えれば、ガラス板や全面を厚手のアクリル・パネルで、といった選択はいまひとつハードルが高くなるように思える。
つまるところ私に残された方途としては、当初に考えて選定したアルミ製の「実用ケース」の世界から踏み出せない、とう事になるようだ。
でもそれではあまりに無骨であり、味も素っ気もないものになってしまう。そこで、その「実用ケース」をベースにして、さらにそこに若干の<改造作業>を施して、少しは見栄えをよくしてみよう、というのが今回の目論見となっている。
コンデンサー置換後の
基板の様子
収納用のケースの加工状態。これはいわゆる「シャーシ」を利用。
(このページ内で後述しているが、拠所ない理由から「ライン出力に特化した内容」に改装中のため、一旦開けた穴を塞ぐために前面パネルをアルミ板で張り替えている。)
<実用ケースに勝るものなし・・>
私が選択した収納箱は、その製品名を「実用ケース」と呼ぶものだ。
私がまだ中学生だった昔からこの形状のケースはあった。その頃の電子工作の力強い味方であって、実は今回のケースの物色で改めてこれを見出して、いまだに同型が販売されている状況に懐かしくもあり、同時にその健在振りにちょっと驚きもしたのだった。ヒット商品という事ではなかろうが、40年近く前の少年の頃に私はこのケースを利用して電子工作をしていた。「早起き鳥(CDSを使った鳥の鳴き声に聴こえる発振器)」の電子工作をした際に同じ形状のケースを利用しているのだ。多分、同じメーカー製品と思われるので、これはもう「超ロングセラー」と呼んでも良い製品だろう。
その直線のみを基調としたデザインの醸し出す存在感は、素材加工の技術が進んだ現代にあってはむしろ目立ってしまうものに思える。
今の主流から言えば、こうした場合にはやはりアルミの厚板を使った華麗なデザインのケースを選択すべきであろう。そうしたデザイン性の高い製品の足元にも及ばないが、しかし「実用ケース」はわが母校のモットーである<質実剛健>を絵に描いたような素敵な外観を持っているのも確かな事だと思う。
まずそれは、まるで測定器の収納に特化したような無骨な外観で仕立てられている。そこには一点のゆとりも、遊びも見出せない。私達がそこから受ける印象は、「モノとして切り詰められた状態」とでも言った感じだろうか。そこには確かに切羽詰ったものを感じさせる、何かがあるように思えるのだ。何故かと言えば、そこに洒落や遊びといった余分な要素がまるでないからだろうか。
オーディオ機器が持つ独特のエスプリや江戸指物にも通じるような形そのものが持つ粋さ加減といった内容が、そこにはまるでないように私には思える。周囲を拒絶した孤高の存在とでも言うべきか、それはまさに実用一点張りのそっけない外観なのだ。
だから、デクス上やオーディオラックの中などにそれが置かれた状態、その景色にはどうしてもほんの少しの違和感が漂ってしまう。なぜなら、「実用ケース」の無駄(というより余裕というほうが適しているだろうか・・)を削ぎ落とした凛々しい姿は、それが特殊な機能をもった機器である事を、そこにそれが置かれただけで端的に物語ってしまうからだ。内部に秘めた機械の硬質さを、滲み出させて周囲に示してしまうからではなかろうか。
誰が眼にしても、 ―たとえそれが一瞥するだけであったとしても― 一見して「普通のモノでない何か」をその物件から見出してしまうように思うのだ。本来は箱の中だけに納まっているべき機能(言い換えれば「機器としての実用性」)がケースの外まで溢れ出して来て、その存在を主張してしまうのだろう。
普通とは違った何かを、その存在から端的に感じてしまう。別の表現をすると、ケースに収納された機器がそこに置かれている状況が「日常生活とは離れた存在理由がそこにある」という事を表してしまっているのかも知れない。
実用ケースに収納されたそれは、通り一遍ではない、ありきたりのものでは賄えないような働きをする機器なのだ。そのために、実用一本槍といった特殊な外装をまとって、優れた機能が小さな筐体に詰め込まれて、そこに存在している。
そうした物件の、そこにある意味性のようなものを、その外観を眼にした人は瞬時に汲み取ってしまように思えるのだが、どうだろうか。
まあ、御託を並べるのは程々にして、そろそろ本題にはいろうか・・・。
ところで、前回までに行った基礎的な手当てについて、もう一度触れておこう。
それは最低限実施すべき「基準ラインの仕様」であり、言ってみれば<標準化>の作業だった。
そうした、STEREO誌付録(そう、これは雑誌の付録なのだった!)のUSB−DACボード「LXU−OT2」への様々な改修や改造作業は、1)問題点の改善、2)高品位な再現性を求めるための手当て、それから3)ケースへの組み込みやパーツの移動といった標準化、更に4)追加機能の実装、という4つのポイントで行ったものだった。
一様に性能改善であったり機能の改造や追加であったのだが、今回の作業の主眼は先に書いたとおりボードへの改造作業ではない。
すでに前回までにケースへの収納は行っているが、私が選択したケースがアルミシャーシであったり実用ケースであったりしたために、単に収納するだけでなく改めてケースの収納状態に手を加えよう、というのが眼目となっている。
勿論、現状の状態(素の状態のケースへの収納)のままでも何ら問題はない。
でも、先程書いたように「実用ケース」では<粋な味>といった大切な側面がない。計測機器のように機能一点張りであり、その存在が周囲から大きく浮いてしまうように思えて仕方がないのだ。
そこで、すこし、その硬質の筐体に私なりの<柔らかさ>を加えてやって、愛着を感じることが出来るような「しなやかなモノ」に変えてみよう、と考えている。
収納用のケース加工
小型のシャーシ筐体を改造したものだ。
<USB−DAC S/PDIF端子付きバージョン (TOSLINK型)>
まずケース加工以外の作業項目を確認するために、以下に箇条書きしておこう。一応、
別のページで紹介した改修内容
のおさらいになる。
(これはすでに基準工作としての「標準化」の作業で達成している内容だ。)
・外部電源用DCジャックの設置
DCプラグの挿入によるスイッチ機能がついたジャックもあるが、今回はSWを用意するのでそのモデルは利用しない。
(5Vのスイッチング電源からの投入を行う想定で、電源投入用のDCジャックを背面パネルへ付ける。)
・USB BUSパワー切替用 利用選択SW(スイッチ)
DC5Vの外部パワーとUSBプラグからのバスパワーの選択を行うためのスイッチを設置する。
(ON/ON のスイッチを利用する。 1回路2接地:中点:OFFポジションなし のものを使う。)
・S/PDIFの出力時の設置
オプティカル出力(光)端子:TOSLINK接続(TOTX177A端子)をボードに繋ぐ。
なお、端子の3本足中のパワーピンとグランドピン間に0.1μFコンデンサーを設置する。
・LED点灯でのPWインジケータ
当初はDC5V投入のインジケータのつもりだったが、TOSLINK端子への5Vパワー供給のインジケータへ変更した。
TOSLINK端子の加工。
0.1μFのコンデンサーをグランド・電源間に設置している。
白いプラグベースがUSBバスパワーの取り出し口(パワー選択スイッチへ結線)、と黒い方がスイッチから基板への5V投入口。
スイッチの選択によって、DC5Vの外部電源とUSBからのバスパワーの切替が行われる仕組みだ。
<S/PDIF端子付きバージョンの ケース加工>
以下に収納用ケースの加工について、をまとめておこう。
これは「実用ケース」を利用するものではなく、すでに紹介した
シャーシ(天地を逆転して使う)
を利用して収納した事例の再加工になる。
シャーシにUSB−DACボードを収納し、一応は完成したわけだが、そのシャーシに手を入れて、さらに「柔らかく」仕上げる内容になっている。
この事例で使ったのは「富士シャーシ」製の<FL−1>型というモデルで、W100*H40*D65(単位はmm)のサイズのものだ。
・パネルの加工:0 (前準備:サイドパネルの分離と切断)
天地(天板があって、底面は開放された状態)を逆転して、天板を底板(以下は逆転した状態で「底板」と呼称する)
として利用する。その際に右側に来るシャーシ板を切断し、アクリルパネル等で置き換える。
天板と側板をアクリル化するのは、シャーシ内部の収納状態が見えるようにするためだ。
(側面はリベットで留められており底板と繋がっているので、シャーシカッター等でこれを切断する。)
*サイドパネルを切断して一度アクリルパネル化したが、あとでそれを取りやめることにした。
このため、サイドパネルは敢えて切断せず、両側面ともにシャーシのままの状態で構わない。
・パネルの加工:1 (底面)
USB−DACボード固定支柱用の穴開けを行う。3mm径を4箇所に穿つ。(ボード四隅にある保持用穴位置と同じ)
ボードをシャーシに固定する。併せて5mmのアルミ支柱を4本、用意して底面へねじで固定する。
アルミ支柱でなくても構わないが、その一点をケース側のアースポイントとするため金属製が望ましいだろう。
底にゴム足を付けないと、底面のねじで机が傷だらけになるので注意が必要だ。
付録のUSBケーブルは音が変わって優秀なものだが、これが硬くて直ぐにケースごと持ち上がってしまう。
場所がずれるので頻繁に直していたが、気が付いたら底のねじで机の天板が傷だらけになっていたのだった。
どうも、私が使っているのがIKEAの安机なので、実に柔らかくて、値段相応に華奢に出来ている。
そのため直ぐに傷が入るのは、仕方がないのかも知れない。
・パネルの加工:2 (前面)
前面はボリューム回転軸、イヤ・フォンジャック、スイッチ、インジケータ用LEDの各穴あけが必要になる。
当初、ボリュームを基板から分離したが、ひどい事になってしまった。
(結局のところ、ボードは加熱によりお陀仏、ケースは再加工となってしまったのだ。)
そのために試行錯誤を繰り返した上で、改めてそのままの状態とした。
デフォルトの基板状態での支柱は5mm、その状態で丁度ケースの中心へボリュームの回転軸が来る事になる。
以下はボリュームパーツをボードから分離しない前提とした場合の話になるのだが・・。
つまみの大きさにもよるが、私が用意したものを前面パネルに違和感なく付けようとすると底面から18mm、
左右位置は(もともと中央なので)50mm位の位置に穴をあける必要がある。
イヤ・フォン用のジャックはボードのままだと、前面パネルにかなり大きく穴を開けないとならない。
そうしないとプラグが奥まで差し込めない状態になるからだ。
このため、今回は別途パネル面用のパーツ(パネル面絶縁型のジャック)を用意した。
ボードをオリジナル状態で収納しようとした場合、ケース高が40mmしかないと他のパーツの収納が難しい。
奥行きを丁度良い状態にしようと考えてこのサイズのシャーシを探しあてた訳だが、色々と難しい部分がある。
USB−DACボード上には電源回路用の電解コンデンサーがある。
収納側の幅(奥行き)を押さえてしまった場合には、スイッチやLEDの設置空間が確保できなくなってくる。
それらのパーツはどうしてもボードの上部へ付ける必要が出てくるが、ケース高も押さえてしまうと大変な事に
なってくるといえよう。最小サイズのケーシング選択は、やはりちょっと無理があるようだ。
イヤ・フォン用のジャックと位置を合わせて、スイッチやLEDが水平に並ぶように仕上げた。
ボリュームつまみの1/3の位置にそれらが来るように考えたのだ。
そうすると、それぞれのパーツ用の穴の中心が底面から23mmの位置になる。
上部のアクリルパネルから、内部の様子を見る。
リアパネルの様子。オリジナル+光出力端子とDCジャック。
・パネルの加工:3 (後面)
後面は当初RCAジャックを外したが、再度元に戻している。最終的にはボードの素の状態担っている。
だからそれに併せてパネル面を加工する必要がある。そして、TOSLINK端子とDCジャック用の穴を追加する。
道具としては、USBジャックとTOSLINK端子用の四角形の穴はシャーシカッターで、RCAジャックのアクセス穴は
手持ちのリーマーで開けた。
シャーシカッターがない場合は、ドリルで4箇所の穴を開けてやすりで四角に削っていって最終的に成形する必要がある。
(それは少し手間が掛かる作業で、シャーシカッターの利便性には敵わない。)
底面に付けた支柱の上にボードの基板が来て、そこからのパーツ位置となるので、現物をよく合わせて位置を見極めよう。
それぞれのパーツ用の開放位置を決めるには、くりかえし、マーキングして確認することが大切だ。
最終的に位置決めが出来たら、ドリルの歯がずれずれないようにセンターにポンチを打っておこう。
アルミ素材なので真上から注意しながら手で押すだけでよい。
(ただし、手でポンチ痕を付ける場合、気をつけないとポンチの先が滑ったりズレてしまいパネルを抉る事になる。)
USB Bタイプのジャックの中心は、底面から18mm、横位置は端から20mmの位置になる。
一方、RCAジャック用の穴は底面から20mmと30mm、端からは26mmの位置が中心点だ。
USBジャックの上には辛うじてTOSLINK端子用の空間が開く。横にする事でそこに端子を収納できる。
そして、USBジャック横にも若干の空間が開くので、ここにDCジャックを収納することが出来る。
・パネルの加工:4 (側面と上面)
シャーシの天地を逆転して利用するので、底面は天板であり、上部は開放された状態になる事をすでに書いた。
それは、この開放部をそのまま活かして透明のパネルを付けるためだ。
パネルの素材はアクリル製の板材を想定するが、今回は直線のみなのでカッターだけでの加工が可能だ。
100mm四角のパネルを調達し、それをシャーシ奥行きの65mmに合わせてカットする。
そうすると材料から35mm分(マイナス切代分)が残るが、これをサイドパネルの構成に使うことにする。
実は、一旦はその状態でサイドパネルを考えたが、今回は取りやめることにした。
両側面をウッドパネルで手当てをした方が感じが良いためだ。
ボリュームが中央にあるため、片側を軽くしてしまうとデザイン上のバランスが悪くなる用に思われる。
丁度、手頃なチークの板材(40mm幅)で売られていたので、それを側面パネルとして使うことにした。
アクリル板を加工中
<USB−DAC S/PDIF端子付きバージョン (コアキシャル出力用バッファ回路型)>
これも以前に
紹介済みの内容
のおさらいだ。その事例で、ケースへの収納までを行っている。
そこではケース・オリジナルの上蓋(天面と両側面のパネル)で完全に外部と遮蔽される状態になる。その状態は、あたかも何らかの計測器のような印象を醸し出す。このため、その硬質な外観にしなやかさを加える事にした訳だ。
ケースへの手当てを紹介する前に、そこに収納するボードの改修状態をもう一度紹介しておこう。
先の「シャーシ」へ収納したDACボードへの改修内容のとおり、TOSLINK端子の増設だけでご機嫌な光出力が完了する。追加するのは、TOSLINK端子とそのアース・電源間に付ける0.1μFのコンデンサーだけなので、部品の調達も工作も簡単だ。
その程度で済んでしまうのは訳がある。付録のUSB−DACボードで使っているDAC回路のチップ「PCM2704」にS/PDIF仕様に則った信号の出力回路が搭載されているからだが、だからといってこの出力信号でコアキシャル(同軸)出力を行ってはいけない。
・バッファ回路(S/PDIF バッファ基板)の設置
5Vの電源供給で動作するバッファ回路を追加する。
電力昇圧用のトランスとバッファ回路のコアとなるLSI(74HCU04AP)、電解コンデンサーと抵抗で構成された
自作キットとして販売されているボードを利用する。
先のページで紹介済み
なので、詳細はご参照されたい。)
これで、TOSLINK端子を用いたオプティカル出力だけでなく、RCAジャック(同軸)によるコアキシャル出力が行える。
最近はどうした訳かTOSLINK用の端子が省略されて、同軸接続用の端子のみで賄われた機器が多くなってきた。
特に低価格のBlu−Rayプレイヤーなどでは、光で機器間の接続が出来ないのだ。
まあプレイヤーは出力側なのでこのボードと接続することはないので、安心なのだが・・・。
しかし、信号入力のメインとなるアンプ側でもそういう仕様が主流になったらちょっと困ってしまう。
そこで、できれば光ではないデジタル信号の出力機能も用意しておけば接続対象がより広がる、といものだ。
ケース改修の完成形 (こちらはインシュレータA:分離型 を台座にしている状態)
<S/PDIFバッファ回路付きバージョンの ケース加工>
今度の事例は「シャーシ」ではなく、
金属ケースを利用して仕上げる内容
になっている。オリジナルの天板(天面と両側面)を付けた状態ではは無骨に過ぎるので、それを止めて柔らかく仕上げようという内容だ。
使うのはLEAD社のアルミ製<実用ケース>のシリーズ製品。型番は「PS−1」型 W100*H50*D70のサイズのものだ。
・パネルの加工:0 (前準備)
コの字型の天地(天板・両側面の板)があるが、それは今回は使わない。
両サイドと天面が開くので、そこに工夫をして仕上げるわけだ。
金属製の板材ではなく、アクリルパネル等で置き換えて、内部に収納した基板などが見えるようにするためだ。
・パネルの加工:1 (底面)
USB−DACボード固定支柱用の穴開けを行う。3mm径を4箇所に穿つ。(ボードの四隅にある保持用の穴位置と同じ)
ボードをシャーシに固定するための25mmのアルミ支柱を4本、用意して底面へねじで固定する。
S/PDIF用のバッファ回路の取り付けに関しても5mmのアルミ支柱を四本、用意する。
なにもアルミ支柱でなくても構わないが、それらの一点をケース側のアースポイントとするため金属製が望ましいだろう。
なお、言い添えておくとこのケースには底面のゴム足が付属する。だから改めてゴム足を用意する必要はない。
上面からは基板の様子が良く見える。
・パネルの加工:2 (前面)
前面はボリューム回転軸、イヤ・フォンジャック、それに2組のスイッチとインジケータ用LEDの各穴あけが必要になる。
今回のケース収納では、ボリュームは付録の基板から分離する必要がある。
最初に加工したボードでは「吸い取り線」と「吸い取り器」で悪戦苦闘し、とうとう基板側のランドが剥離してしまった。
さらに作業を進めるうちに今度はボリュームの端子切片が取れてしまうといったとんでもないことになった。
そこで、利用頻度を考えて躊躇する部分はあったのだが、作業性を考えて新兵器(はんだシュッ太郎)を調達した。
イヤ・フォン用のジャックは先のものと同様にパネル面用のパーツ(パネル面絶縁型)を用意した。
ただし、このケースは奥行きが先のシャーシよりも5mm程深いので、基板上のジャックは分離させずにそのままとした。
ジャックにプラグを差し込んで、それにパネル面のジャックのパーツを結線する、という仕上げにしたためだ。
ボード収納状態は、底面から底上げして、上部の透明なアクリルパネルから良く見える位置にする。
そのため、ボードの下部にバッファ回路やボリューム、スイッチやLEDやジャックが並ぶ状態になる。
イヤ・フォン用のジャックと位置を合わせてスイッチやLEDが水平に並び、つまみの2/3の位置に来るように考えた。
それぞれの穴の中心が底面から10mmの位置だ。ただしボリューム位置を横方向の中心からオフセットさせている。
このためにバッファ回路の通電インジケータ用のLEDは取り付け場所がない結果となった。
そこで、スイッチと縦方向にLEDを並べた。そのLEDはボリュームの中心と同じ水平位置にしてバランスをとってみた。
積層状態(密着ではなく空間は開いている)
S/PDIFバッファ回路基板がUSB−DACボードの下にある様子がわかるだろうか。
上面及び右側面からは内部の基板収納の様子が良く見えるようにした。
・パネルの加工:3 (後面)
後面はボードを加工している。RCAジャックのターミナルをボードから外している状態だ。
パネル面にはTORLINK端子とコアキシャル端子のRCA同軸ジャック、それにRCA出力の左右のジャック、
さらにDC電源投入用のジャックが並ぶ事になる。
ボードは長尺のボルトを使って底面から持ち上げた状態にしているが、USB−DACボードの下部に並ぶようにした。
それらのパーツを水平に並べる状態にして収納スペースを稼ぐわけだ。
底面から15mmの位置がその中心(各種のRCA端子穴の中心)になる。
なお、TOSLINK端子とRCA同軸ジャックはS/PDIFバッファ回路の基板に付くので、その調整が必要だ。
今回はバッファ基板からはコードで延長して接続させることにして、パーツはパネル面側へ装着することにした。
RCAライン出力のジャックと揃えて水平に配置させるためだ。
(TOSLINK端子がバッファ基板装着状態だと縦配置になるため、DACボードの収納が難しくなる。)
道具としては、先のシャーシ同様にUSBジャックとTOSLINK端子用の四角形の穴はシャーシカッターを利用した。
(RCAジャックの穴はドリルとリーマーで開けた。)
シャーシ・カッターは先の半田吸い取り機能付きのコテと同様にあると重宝する道具だろう。
ちなみにUSB Bタイプのジャックはボード装着のままにしている。これを外すと何かと面倒になるためだ。
ボードは底面から持ち上がる状態でケース内に収納することになる。
このため、USBジャック用の穴の中心は面から35mm、横位置は端から20mmの位置に開けることになる。
リアパネルノRCAジャック(端子)は、オリジナルの縦並びではなく、水平基調でパーツを並べた状態。
・パネルの加工:4 (側面と上面)
天板(天面と側面)は利用しないので、別のパネルを用意する。ここでは上部及び側面が開放された状態になる。
そこで、先のシャーシ同様に、こちらでもこの開放部をそのまま活かしてパネルを付ける。
先ほどと同じ100mm四角のアクリルパネルを調達し、それを奥行きの70mmに合わせてカットする。
30mm分(マイナス切代分)が残るが、これを右サイドのパネルとして、その一部に使う。
サイドは左側面が一枚のウッドパネル、右側面は上部がアクリルで下部がウッドというパネル構成で手当てをする。
チークの板材ではシャーシと同じ印象になってしまうので、こちらは別の素材にした。もう少し濃い色の「エンジュ(「槐」と書く)」という板材だ。調べてみると北海道で生育するマメ科の広葉樹という事だ。
右側面の上半分をアクリル板にしたのは、S/PDIFバッファ回路の基板が見えるようにしたためだ。
左側は電源系のターミナルやコードが並ぶので、素通しではなく一面を木材パネルとした。
アクリルパネルの厚いものを入手すればよいのだが2mm厚のものなのでサイドパネルの木材よりも細くなる。
そこで、木材側を3mm削ってそこを斜面状にして、段差をなくして一体感をだしてみた。
当初のひどい手当て(ケーブル直付け状態)がみすぼらしいので、投入口を2Pのソケットに改修した。
ビフォー
アフター
<道具について>
基板面からのパーツの離脱作業に、今回投入した新兵器を紹介しておこう。
「はんだシュ太郎」というサンハトヤ製の工具で、吸い取り器と半田ごてが一体化した状態のものだ。小手先が円筒状になっていて、その中心部の空間が吸い取り機能を担う、というもの。
通常の「吸い取り器(ホーザンなどの1500円前後のもの)」と違って左右の手を同時に利用する必要がない。勿論、「こて」から「吸い取り器」に持ち変える必要もなく、そのままの加熱状態ではんだを効率よく吸い取れる。
本当の真空吸い取り機は高額で素人にはとても手が出せないが、これならちょっとした躊躇だけで済む。購入はそれ程難しくはない。
使ってみるとその威力は凄まじくて、何故もっと早くこれを見出していなかったのだろうと、後悔しきりなのだ。
この工具さえあれば、
ボード一枚があれほどの事態
にならずに済んだのだ。何の手間も掛からずに、加熱事故が起こる懸念もなく、いとも簡単にパーツが離脱できてしまう。ランドの剥離や銅箔の崩壊、さらにはコンデンサーの沸騰などといった大惨事(まあ、すべて私のヘマなのだが・・)は避けられたのだ。
結局のところ、あのボードでのパーツ離脱作業を繰り返すうちに、ついにDACチップのPCM2704が認識されなくなってしまった。
TPでの電源に関しては、テスターを当てて通電状況を確認してみた。3.3V、5V、6V、12Vと各部には規定電圧が通っているので、電源系の回路に関してはまったく大丈夫。アナログ信号側の回路も多分問題はないように思う。
ヒートシンクによるパーツのクリッピングはしていたが、度重なる加熱のためか、とうとうDAC回路自体が損傷したようなのだ。あえなくメインの機能(USB−DAC機能)がダウンしてしまったが、アナログ信号用のアンプとしての利用用途は残っている。でもご紹介の通りボリューム回路周辺が損傷したので、最終的に見極めてヘッドフォン側のアンプ経路を切り離し、電源の強化をしている最中に運悪くその事態となったのだった。
はんだ取りの武器の威力。このお陰で作業がサクサクと進捗した。
まず作業としてラインアンプ側での増幅後の信号経路とヘッド・フォンアンプ側の信号入力を遮断した。何故かといえば、ボリューム装着の基板ランドが壊滅してしまったためだ。そこが実はことの発端だろう。ボリュームからの銅箔のラインを追ってランドと再接続したが、どうしても剥離した銅箔を修復できない場所があった。そのためR7の抵抗へ直にリードをはんだ付けして再生を図ったが、ふと気が付くと基板面にあるはずのR7の抵抗が無くなっていた。
どうも、そのあたりから作業は泥沼化していったように思う。だから、いっそヘッド・フォン側の回路を断とうと考えたわけだ。ケースにあけたボリュームやヘッド・フォンジャックの穴が不要となるので、アルミ板でフロントを塞いで、改めてボードを収納した。ここまではUSB−DAC+ラインアンプ付きとして普通に機能していたのだ。しかし、どうせなら、さらに作業を進めようと考えた。
そこで、収納したケースからボードを取り出して、新たな作業に取り掛かったのだった。
ヘッド・フォン側への信号入力ポイントとなるR12、R13の基板面実装チップを剥がしたのだ。これは何の問題もなく、すんなりと外すことができた。
さらにどうせならラインアンプの電源を強化するためにC4とC7の電解コンデンサーを、音の深みを増させようと考えてさらにC2、C33の各電解コンデンサーを、それぞれ容量を上げるために取り外して改めて容量を変更したものに置換した。(ヘッド・フォンアンプ側の回路で使っていたコンデンサーを取り外して流用したのだ。)
さらにそれに合わせて、ヘッドフォン増幅回路側のオペアンプの6Vの供給を絶とうとしてR1、R16の基板面実装チップの抵抗を離脱、12Vも絶とうと考えたがLEDの供給を12Vへ変えようと考えてそれは保留し、抵抗パーツの分離、コンデンサーの離脱、置換の諸作業をしたのだった。
そうしてヘッド・フォンアンプの機能がない状態にした後で、パソコンに接続すると、今度はPCM2704が認識できない、という事態になってしまった。もはやヘッド・フォンアンプとして独立させることさえも出来ず、只の電源基板となってしまった、というわけだ。
「後悔先に立たず」の諺にもあるとおりで早々に諦めるより仕方がないのだが、もっと早く新しい武器を手に入れていたらと、残念に思っている。
ぐんぐんと綺麗にパーツが抜ける。実に気持ちよい状態。
基板面も綺麗なままだ。
収納の完了
さて、「実用ケース」に収納したほうのものだが、こちらはパネル面を飾ってみた。
先にアンプとの接続用にLUXMANからRCAプラグの付いたショートケーブルを購入したが、そこに付録が付いていた。ロゴの入った透明のシールだ。
LXU−OT1とOT2用の各種ターミナル用のレタリングも付いている。残念ながらLXU−OT1は持っていないので、こちらの内容は利用しないが、OT2用のものを貼れば、ケースへの小粋な飾りになる。
プラモデルのマイクロ・デカールのように貼ると判らなくなるものではなく、単なる透明シート上に印字された状態なので、レタリングされた文字以外の周辺部は割りと目立つ状態になるのが難点。
最下位層の状態:バッファ回路と電源用ターミナル
基板を積層した状態
両方ともに、上面は接着していない。
簡単にアクリルのパネルが取り外せる上体になっている。これであれば、オペアンプの置き換えや、置換できるように手当てしたヘッド・フォン回路用の抵抗などの、パーツ交換作業も容易に出来る。
アクリルパネルや木材では、外部とボードとのシールドという効用はないのだが、それでも、天面がアクリルで内部の様子が見える状態の方が良いだろう。いかにも自作で改造しています、という雰囲気がでるし、それになにより最初に書いたように柔らかさが出る。
右サイドからの様子をもう一度
「黒檀(こくたん)」の台座(インシュレータ)に設置した状態
(こちらはインシュレータB:分離型ではなく一体型 を台座にしている状態)
足は、同じくゴム製なのだが、ちょっとそこも飾ってみた。
ホームセンターに行くと、工作室での依頼切断の折に出る端材が売られている。本来は作業を依頼した人が買った部材の残りだが、持ち帰らない人のほうが圧倒的らしい。
割とイイ素材が物色できるのだ。センターでは、こうした端材は有料で販売される。端材まで再度お金を取らなくてもと思う面もあるが、優良な素材(それなりの有料価格で)が置かれている場合があるので、注目すべしだ。
黒檀(こくたん)の端材を以前見かけて買ってあったのを引っ張り出して、ケースの台座にしてみた。厚みがあって板自体の重量があるので、固定してしまえば良いインシュレータになりそうだ。
ケースの大きさに合わせて板を切断して、角を面取りして仕上げてみた。
ちなみに、この板材は端材にも拘らず400円程もしたのだが、こうした価格設定は店の方針にもよるだろう。自作派の力強い味方のハンズなどでは、そもそもこうした大きさの板材が豊富に販売されているので、はじめからそれを購入したほうが良いかも知れない。いや最後の話題が世知辛い話になってしまって、恐縮のいたり・・・。
フロアコーティング