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オーディオ : 月刊STEREO誌 付録 LXU-OT2
TA1101Bボードで USB−DAC <LXU−OT2>を拡張する

<TA1101Bボード(基板モジュール)で USB−DAC <LXU−OT2>を拡張する (2013.02.02)>


 月刊のオーディオ専門誌「STEREO」に今年(2013年)の正月も実に嬉しい付録が付いた。ヘッド・フォンアンプ付きのUSB−DACの音声(オーディオ)ボードである。

 さて今まで、このボードに実装のパーツ変更へ踏み込んで、ちょっと重めの変更を加える部分までいろいろと作業を重ねてきた。

 アナログ音声信号のライン出力系に使われている電解コンデンサーの交換と電源系のコンデンサーの交換などが主な作業で、ケースの仕上げとそこへの収納までを行って<モノ>としての機能が「完了形」として出来上がったことになる。

 そこで、さらにいくつかの追加工作をしてみよう、と考えている。

 まあ、このUSB−DACボードに関してはエンドレスに作業が続き、今ではそれがライフワーク化しつつある。まことに、キリが無い状態、といえよう。


 関連ページ;

  ・のんびり行こうよ: <月刊STEREO誌 付録  「LXU-OT2」を聴く>
  ・のんびり行こうよ: <月刊STEREO誌 付録  「LXU-OT2」を確認する>
  ・のんびり行こうよ: <月刊STEREO誌 付録  「LXU-OT2」を手当てする>

  ・のんびり行こうよ: <月刊STEREO誌 付録  「LXU-OT2」を改造する>
  ・のんびり行こうよ: <月刊STEREO誌 付録  「LXU-OT2」を収納する> 新規更新のページあり
  ・のんびり行こうよ: <月刊STEREO誌 付録  「LXU-OT2」で応募する> 新規更新のページあり

特別付録が付く2013年1月号

記念すべき2013年1月号    定価は2800円。
ヘッド・フォンアンプ付きUSB−DAC LXU−OT2

<LXU−OT2>

ヘッド・フォンアンプ付きUSB−DAC
(パソコン用のUSBオーディオボード)
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<追加改造の方針 について>

 今回も、<音の回路として吟味され設計され実装された内容>は決して変更しない、という基本方針を守って作業をする。

 というよりも、本体機能はすでに前回までの手当てを重ねて「完了」しているので、今回はボードに対して手を入れるのではなく周辺工作をおこなう、というのが具体的な作業内容だ。

 つまり今回は改造(パーツ変更)ではなく、追加工作を行って再生環境を充実される。いわば「周辺工作」を施そうという内容である。

シールド素材(アルミ)のシャーシに収納する。天地を逆転させて、ケースとして利用する。

シールド素材(アルミ)のケースに収納
シールド素材(アルミ)のケースに収納

天面と側面(パネルを切除)には、アクリル板を付ける予定。
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<周辺工作とは何ぞや・・>

 前回までに行った基礎的な手当て、それは言ってみれば<標準化>の作業だったわけだが、さらに踏み込んだ機能追加を行うことにしよう。

 前回までの様々な手当てを最低限実施すべき「基準ラインの仕様」とし、さらにそこへ機能を積み上げてオーディオ機器としての機能を実現させるというのが、目標だ。

ライン出力系の電解コンデンサー ライン出力系の電解コンデンサー
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電解コンデンサー群(置き換え前)

実は、この基板実装。ペアリングされるべきコンデンサーの配置は、
随分とランダムに行われている。
敢えてシンメトリ配列にしない事で、
パーツ間の干渉発生を防いで
チャンネルセパレーションを高めている、
ということなのだろうか・・。

多分、そうした明確な意図があるに違いない。


もし、その理由が基板面上(上部エリア)にロゴを入れるためなのだとしたら、要するにそのエリア確保のためだけなのだとしたら・・・。

もう少しそのあたりは何とかならなかったか、とほんの少しだけ残念に思っている。

・USB−DAC パワーアンプ付きバージョン の作成

 その「周辺工作」の内容は、パワーアンプの機能を同一の筐体内へ組み込む、という作業を指している。

 そのうえで、さらに以下に示すような2つのパターンで記した、発展あるいは展開バージョン(バリエーション)へと進めて作業をするというものだ。

 Webショップでパーツをあれこれと物色していた時のことだ。

 置換用の電解コンデンサーを手始めとして、同じく置換用のオペアンプ、それに改造で使うコネクター類など、様々なパーツに関して、秋葉原でも有名なパーツショップのネット上の店舗である。

 そこでボード状の小型のパワー・アンプがたまたま見つかった。上に書いたような今回の一連の改造用のパーツを物色していたのだが、電源回路のキットはどうだろうか、と思ってショップで扱っているキットのページを眺めていたのだった。

 そしたら、そのショップで扱われていた小さなアンプのボードが目に付いた。改めて、調べてみるとWeb上にそのボードの改造事例が沢山あった。そしてそうした紹介例なども含めて、おおむねボードやアンプ回路の中心となるチップの評判は悪くないものだった。
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電解コンデンサー群(置き換え後) コンデンサー置換後の
基板の様子

 そこで販売されている小さなボードを入手して、付録のUSB−DACボードと同一のケース内に収納すれば、「LXU−OT2」が拡張されてスピーカ接続可能な仕上げになる。

 売られているボードには、同じようなUSB−DAC用の回路が装備されているが、こちらは付録で使っているPCM2704とは違って、いたって評判が宜しくなくて、多くの事例では、アンプ回路のみを利用しているのだった。だから、付録のDACボードと組み合わせれるのに、丁度良い。

 しかしそうするためには、付録のDACボード動作用とは別に、パワー・アンプへの電源供給として外部からのDC電源の投入が必要になる。

 ワンチップで賄える小型のデジタル増幅のパワー・アンプとした場合は、そのボードで使っているTA1101Bや多くの基板が出回っている2020などのチップを利用した増幅回路になのだが、それらの多くのチップは、DC12Vを受けて動作するものだ。

 今回のターゲットとなるボードでも、TA1101Bチップを使っているので、12Vの電源供給が動作上での必須条件となる。

 だから、同一のケースに収納しようと考えた場合には、電源(あるいは電源回路)に関しても考えておく必要があり、その収納についても見据えておかなければいけない。
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外部アンプ(パワーアンプ)用のシャーシ 外部アンプ(パワーアンプ)用のシャーシ

アンプ収納用のケースを加工中

 さて、そのアンプ一体型のDAC機能を作る際に考えられるバリエーションとしては、以下のパターンになるだろうか。

・電源トランスを含んだ安定化電源回路やDC/DCコンバータ電源ユニットなどを同じケース内に収納する。
  All In One の仕組みにしようというものだ。
  これにはAC100Vの電源からの変換や、DC16V以上を投入して回路にて降圧する、などが考えられる。

・あるいはアンプが利用するDC12Vの外部アダプターで電源を受ける仕組みとし、コンバータなどは内臓しない。
  はじめから12Vを受けてアンプへと供給する。
  そこからレギュレータでDACボード用に降圧して5Vを作り出すような補助基板を組み入れても良い。

 というものなどで、およそ二つの展開パターンとなるだろう。
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 付録のUSB−DACボードへの改修・改造は、1)問題点の改善、2)高品位な再現性を求めるための手当て、それから3)ケースへの組み込みやパーツの移動といった標準化、更に4)追加機能の実装、という4つのポイントで行ったものだ。

 それは、一様に性能改善であったり機能改造であったりするのだが、今回の作業ではその先にあるものを実現するための内容になる。

 「その先」のものとは、要するにスピーカーを通じての音楽再生を楽しむため、ということだ。やはり、ヘッド・フォンやイヤ・フォンだけで楽しむのでは、オーディオとしてはつまらない。

TA1101Bを使ったUSB−DAC+パワーアンプボード+パーツ部材 <TA1101B>チップを使った
USB−DAC+パワーアンプボード.


かの<G4 Mac>に搭載されているオーディオボードなのだという。

この小さなボードにもUSB−DAC回路が入っているのだが、しかし今回はそれは使わない。

アナログ信号のアンプ機能だけを利用する予定になっている。
(不要な回路には通電しない)

 やはりここは一番、接続したスピーカをドライブさせて、「LXU−OT2」のDAC結果を受けて、改めて音響として楽しもう、ということだ。

 例えば、過去の付録で作ったユニット自作のスピーカーや、去年の「STEREO」誌の付録のデンマーク製スピーカのスキャンピークのユニットなんかで、DACの質の高い音を再生したら嬉しいではないか。

 アンプと一体化するのも良いが、そのための機器を作ってUSB−DACとコンポーネント化を行っていくのはどうだろう。

 勿論、現状までの作業状態のまま、それをパワー・アンプに接続すれば、その事は実現する。そうではあるが、同一の筐体内に収納すれば、格段に便利になるだろう。あるいは、同じようなデザイン(形状でやコンセプト)でパワーアンプを揃えたり、といったのが今回の構想の主体なのだった。

 それを実現するための詳細項目事項を、以下にとりまとめておく事にしよう。
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<USB−DAC パワーアンプ付きバージョン (アンプ一体型) の詳細な作業項目>

作業項目を以下に箇条書きしておこう。

・アンプ用DCジャックの設置
 下記のSW切り替えのため、選択を考慮していたDCプラグSWは利用しない

・DAC用DCジャックは併設しない
 下記のSW切り替えのため(電源基板ON時のみDACへの5Vを供給、または12V時にレギュレータにて降圧して供給)
 さらにUSBバスパワーでのDAC基板利用のみも可能とするため、選択SWを設置する

・アンプ用 利用選択SW
 SW(;DC Power Selecter);  16Vover,12Vの切り替え
          (ON/OFF/ON SW 1回路2接地:OFFポジション付き)
 通電確認用LEDの設置(OFF以外は点灯 ;LEDは12Vで点灯させる状態とする)
 *12V    アンプへの直結通電を実施 (この場合、3端子レギュレータ付属回路によりUSB−DACへ5Vを供給する)
 *16Vover 電源供給基板へ通電(DC−DCコンバート用電源基板を利用する)
          12V OTよりパワーアンプへ供給し、5V OTより付録DACボード及びS/PDIFバッファ回路へ供給する。

・5V利用SW(USBバスパワー/5V供給利用の 選択)
 *電源基板からの5V供給のため、DCプラグSWによる自動化は出来ない 。
 *5Vの供給を受けるのは、USB−DACボードの電源、S/PDIFバッファ(TOSLINK端子のみの場合あり)回路の2つ。

・S/PDIFの出力時の設置    (これはすでに基準工作としての「標準化」の作業で達成している内容)
 *パーツは以下のとおりとなる。
   ・オプティカル:TOSLINK接続(TOTX177A端子)
   ・コアキシャル:RCA接続(同軸端子、74HCU04APチップを使った出力バッファ回路、トランスによる電源供給回路、
                 LED点灯でのPWインジケータ)

*また、この仕様とする場合の電源供給基板の設置をおこなう。
 コンバータ回路には、DC16V(over) 投入時のみSW操作で回路に接続する。
   (スイッチの操作の有無で、16V以上の外部電源アダプターが接続された、と想定するもの。)    DC−DC変換回路の機能により12V・5Vの安定化電源をOUTする。
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外部への供給用のDCジャック(5Vサプライ用) DCジャックへの配線が完了

 さらに「16V over 電源供給基板へ通電(DC−DCコンバート用電源基板を利用する)」を実現するための詳細項目事項をとりまとめておくと、その内容は以下のとおりになる。

 ・12Vはパワーアンプへ供給する。
 ・5V出力は S/PDIF用基板(回路基板設置時のみ)へ無条件に電源を供給する。また、DACボードへも供給する。
  ただし、12V接続時及びアンプOFFには5V電源も発生しないので、それらの接続機器は利用不可とする。
  (または12Vからそのままレギュレータ降圧の5V電源を供給するような設定にしても良い。)

 5V出力は、DACボード用とSW操作にて外部5V用のDCジャックへ向けて出力(通電)の分岐を行うのも良い。

 こうすればパソコンへの未接続状態で、ただの電源パワー(DC5V,DC12V)のサプライ用の機器としてもパワーアンプとしても利用が出来る。
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<USB−DAC パワーアンプ付きバージョン (アンプ一体型)  − アンプ機能セクション>

 あるいは、パワーアンプとしての機能だけを、DAC器のペアマシンとして独立させても良い。

・アンプ回路の設置
 TA1101B利用(デジタルアンプチップ)のアナログ入力によるデジタル・アンプ基板を追加する(12V動作)

・S/PDIF基板の設置
 電源基板通電時(DC16Vover入力をSW選択された場合)のみ無条件に通電させる。

・外部電源用DCコネクタの設置
 本機能のDC−DC変換回路での出力を外部へも供給する
 *電源供給BOXとしての働き;(12V、5Vの提供機能; 電源サプライボックスを兼ねる)

・外部出力(RCAアナログ)選択SWの設置(RCA OT / AMP)
 DAC基板アナログ出力の選択SW (RCAライン出力/併設パワーアンプへの信号入力:を切替操作可能とする)

・外部入力(RCAアナログ)選択SWの設置(RCA IN / DAC)
 アンプ基板アナログ入力の選択SW (併設パワーアンプへのRCAライン入力/DAC出力と接続;を切替操作可能とする)

TA1101B搭載のUSB−DACボード

TA1101B(高音質と評判のデジタルアンプチップ)が表面に実装されている。

裏面(両面実装基板)にはUSB−DACのUAC3552Aが実装されている。
ただし、今回はこのボードのアンプ回路のみ利用しDAC回路は使わない。
TA1101B搭載のUSB−DACボード(裏面)
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 そして、アンプ内臓としない場合の外付けのパワーアンプの作成案となるもの。

 今回の「USB−DAC LXU−OT2を拡張する」の範囲では一体あるいは別体で実装するアンプ自体の改造内容になるのだけれど、一応、記載しておこうか。


<外部アンプ>

・アンプ用電源供給のDCジャック設置
 下記のSW切り替えのためDCプラグSWは利用しない。なお、DAC用DCサプライジャックを併設する。

・アンプ用 利用選択SW
 SW;16V,12V切り替え(ON/OFF/ON SW)
 通電確認用LEDの設置(OFF以外は点灯 ;LEDは12Vドライブ とする)
 *12V ON時はアンプへの直結通電を実施
 *16V ON時のみ電源供給基板へ通電(電源基板の12V OTよりアンプへ電源供給)

・アンプ回路の仕立て 電源
 ボード外部からの12V電源投入のルートを基板上に確保する。実装裏面のパーツを抜いて、供給ポートとする。
  表面のダイオード部品を抜いてそのプラス極への供給という手法と、
  裏面の100Ω抵抗を抜いてそのプラス極へ供給する、という2つの経路が選択できる。

・アンプ回路の仕立て 音声信号の入力
 ボード裏面実装のコンデンサーを取り外して、そこをアナログ信号の入力経路とする。
 このボードのUSC−DACチップでの変換したアナログ信号の出力経路を切断して、そこへRCAジャックを介入させる。
 *入力はこれによって、TA1101Bのチップへ直結となる。

ボードへの作業(作業前と作業後):パーツ撤去、ケーブル接続 ボードへの作業(作業前と作業後)

コンデンサー、ダイオード、インダクター、
昇圧用IC、3端子レギュレータ、
抵抗などのパーツを撤去した。
また、電源供給用ケーブルとライン入力用の音声信号用のケーブルを接続した。


表面;
ダイオード、昇圧用IC、インダクターを撤去。

 もし、このボードのUSB−DAC機能を利用する場合は、5Vの電源供給を外部から行う必要がある。動作電圧は5Vだが容量がUSBのバスパワーでは不足してしまうためだ。

 また、その場合は、DACチップからの出力アナログ信号をTA1101Bへ接続する必要がある。先にアナログ出力を切断した経路と、介入させた外部からの信号入力を切り替える措置が必要となるためだ。
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ボードへの作業(作業前と作業後)


こちらはボードの裏面。
USB−DACの機能(5V動作)として、
UAC3552Aが実装されている。

ちょっと評判が宜しくないので、こちらは利用せずに置いておく。
このため、5Vは不要なのだが、回路を殺してはいないので、電源投入用のケーブルは仕立てておくことにする。

3端子レギュレータ、抵抗、ダイオードを撤去。
ボードへの作業(作業前と作業後):パーツ撤去、ケーブル接続

 アンプ回路を利用するUSB−DACボードはG4 MAC用に搭載される製品ボードの放出品だ。

 マッキントッシュで利用するためのSTEREO音声モジュール(拡張ボード)なのだが、これが安価で流通している。ただし、製品として供給してるものではなく、ジャンクパーツ扱いの在庫限りのもなので注意が必要だ。

 まず基板上では、回路のMUTOがスイッチされているので、まずは、その部分をジャンパー線で改造する必要がある。

 そうしないとアンプ機能としてのゲインが低すぎて、外部に接続したスピーカを充分にドライブさせて利用できないからだ。特定の0Ω抵抗チップ(基板面実装チップとしてのジャンパー・パーツ)を取り外して、ミュートしているスイッチ経路に新たにジャンパーを設置して、チップ(TA1101B)のミュート回路をOFFに切り替えてやる必要がある。

 そうすれば、この小さなチップ上の回路だけで10W程の増幅出力が得られて、スピーカーが出来るようになる、と添付された説明書に図解入りで改造方法が指示されている。添付されているのは、そのための結線を例示するコピーと、DACチップの仕様書、それにアンプ用チップの仕様書の3枚だ。

 だから、回路図が追えれば、このパーツは大分楽しめる。
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ダイオードとインダクター(12V供給用回路)

ダイオードとインダクター(12V供給用回路)
ダイオードとインダクター(12V供給用回路)を撤去

5V用の3端子レギュレータを撤去したところ

 このボードの要点はやはりアンプ回路にある。多くの改造例がWeb上で紹介されているが、外部からのアナログ信号を入力して、アンプ回路で増幅し、スピーカーから音声を出力する、というものが主体になるだろう。

 そのためには、1)電源の投入、2)信号入力経路の確保、3)ボリュームの設置、4)スピーカー出力端子の設置、といった工作や措置が必要になる。ボード上には、USB−DACで利用する回路(UAC3552Aチップ)とアンプ部(TA1101Bチップ)で利用する回路、それに電源供給系の回路が搭載されている。

 ここで、パワーアンプ機能しか利用しないのであれば、改造は簡単だ。

 12VのDC電源を外部から供給し、オーディオ信号の経路を設けるだけでよいからだ。しかし、もしDAC回路も利用したいのであれば、アンプへの信号入力を選択させなければならない。いずれにしても作業の難易度はそれほどのものではない。

 パーツはLSI内の回路を利用してその周辺でアプリケーションとして設計されている。ディスクリート方式とはいえ、それらを構成するパーツは、すべて基板面実装チップである。だから相手は2mm程度のパーツばかりだ。つまりは、工作内容は単純なのだが、そのパーツ交換や取り外しなどの作業では、実に細かい神経を使う。

 例えば、上の比較写真は基板表面側であり、TA1101Bのアンプ用チップへの電源供給部分の回路なのだが、ここについている昇圧用のICとインダクター、それに整流用のコンデンサーを基板上から離脱させる必要がある。外部から12Vを供給するので、基板に実装された5Vから12Vへの昇圧回路は不要となるためだ。逆電流を避けるためにパーツを抜く訳だが、難しいようならばラインをカットするだけでも良い。
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3端子レギュレータと抵抗 3端子レギュレータと抵抗を撤去し、電源投入ケーブルを設置

<アンプ回路の利用   実際のボードの加工作業について>

 上の比較写真は基板裏面側(先ほどは表面)であり、TA1101Bのアンプ用チップへの電源供給部分の回路およびDACモジュールへの電源供給回路の部分になる。

 作業としては、ここについている降圧用の3端子レギュレータ、それに抵抗を基板上から離脱させる。

 3端子レギュレータの5V出力がDACチップへ供給される電源になるが、それを撤去しているので、そのプラス極側を外部からの5V投入口とする。12Vはその上にある抵抗を外して、そのプラス極へ投入する。(なお、これは基板表面のダイオードのプラス極から12Vを投入しても同じである。)

 それにアナログ信号入力用のポートを設ける必要がある。

 <C29>および<C1>の2つのコンデンサーがあるが、これがDACチップから出力されたアナログ信号を”TA1101B”へ入力する経路になっている。だからここにある基板面実装チップの2つのコンデンサーをはずせば、ボード上にあるDAC出力とアンプ入力は切断される事になる。

 <C29>が左チャンネル、<C1>が右チャンネルで、コンデンサーのプラス側にケーブルを接続すれば、アナログ信号をアンプ側へ直接投入できる訳だ。

 なお、この場合は信号のグランドが必要だが、これは電源のグランドと共通に取るものとする。どうやらその方がノイズが減少するらしい。


 写真はコンデンサーと3端子レギュレータ及び抵抗の撤去前、とその作業後だ。
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スピーカを接続するための端子(バナナプラグ用) スピーカを接続するための端子本体

 3端子レギュレータと抵抗の基板面実装チップを外したら、今度は外部信号の入力経路を手当てする。

 <C29><C1>のコンデンサーを取り去って、そのプラス極へアナログ信号のそれぞれ右と左のチャンネルの信号を接続するのだ。

 このボードの音量調整機能はチップの外部回路上ではなく、DAC回路への入力信号によって行う仕組みになっている。それはパソコン上のソフトで制御するのだが、DAC回路のポート上に信号を制御するための回路を設定しても良い。ディップスイッチでの操作信号を扱って、それをチップ(の制御信号経路)へと送ってやれば、音量の上下制御が可能となる。

 しかし、それだとボードのDAC回路を利用するということが「再生の前提」となり、DACチップを動作させる事が必須となってしまう。今回はDAC回路は利用しないので、その制御が出来ないからだ。

 そこでそれを避けるために、ボリューム調整機能はアンプへのアナログ音声信号の投入位置で行うようにしてやればよい。

 先の<C29>と<C1>に接続した信号ライン上の入力用のRCAジャック手前にボリューム入力を、ボリューム出力からアンプへの信号経路に2.2μFのコンデンサーを設ければよい。そこまでの作業で、パソコンを利用しない事とデジタル信号ではなく「外部アナログ信号の入力とその増幅」という事が可能になる。

 そうした一連の手当てで、スピーカ出力の音量をこの機器単独で、(パソコンを利用せずに)ボリューム調整して再生が可能となるのだ。そして、そのあとはボード上のSP出力端子にスピーカ接続用のターミナルを繋げれば、一連の作業は完了となる。
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スピーカを接続するための端子本体(金メッキ品) ケースへの手当て

 スピーカの切替器なしでの接続に便利なので、私はアンプに設置するスピーカー・ジャックはバナナプラグ対応の端子にしている。

 「スピーカ出力」端子についてだが、アンプから外部への信号出力経路という事になるので、シャーシとはグランドせずに絶縁状態としておく。このため、ジャックはプラスチックにてシャーシと絶縁できるタイプの製品を選択している。この端子(ターミナル)は安価なものだが、それが可能な仕様になっているので助かる。

 勿論、絶縁という意味では更に安い製品もある。フレームが付いた一体型の左右のプラスとマイナスがセットになった、スナップ式のターミナルでも、勿論かまわない。ただしそれだと、数種のスピーカを切り替えて楽しもうとした場合には、切替器を間に入れないと接続が手間になってしまう。
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<C29><C1>のコンデンサーを外して信号を入力する <C29><C1>のコンデンサーを外して信号を入力する。

(C29が左Ch、C1が右Chとなっている。)

 <C29><C1>のコンデンサーを抜いて、そこにアナログ入力の信号線を接続する。

 基板面実装チップのコンデンサーを抜いた跡は小さなランドになっているので、このプラス極側にケーブルを半田付けする。私の例ではグランドは電源と共通化している。ちなみに<C29>がSTEREO音声の左チャンネルになっている。

 先に紹介したように、このラインと信号入力のRCAジャックの間に10KΩ・Aカーブの2連ボリュームを設定する。そして信号経路上に2.2μFのコンデンサー(左右の各Ch上)を置く。

 そうしたラインの結線にはノイズの混入を嫌って、この信号線はペア(2芯)のシールド線にしている。スタジオ内配線用のオーディオ用部材のケーブルだ。他に見つけたものは、楽器内配線用ケーブル、というのと、マイク等のレコーディング機器結線用の素材があった。

 このケーブルは2本の信号線がツイスト(縒り線)加工されて、その周囲にメッシュ化されたシールド線(グランド)が取り巻くという構造になっている。シールド効果は抜群のものと思われる。

 なお、電源用のケーブルは単線を利用しているが、これはプラス・マイナスを縒って置くと良い。そのちょっとした手塩に掛けたひと手間の手技で、大分電源系のノイズを防ぐことが出来る。
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 アンプと付録のUSB−DACとの結線はRCAケーブルによる。

 この写真は、「STEREO 1月号」誌面で紹介されていたLUXMANのオリジナルケーブルを購入したものだ。

 20cmほどの短さなので、かさばらずに機器間を接続することが出来る。まあ、アンプを内臓してしまえば、こうしたケーブルも、外部出力のためのRCAジャック、それにアンプへの入力のためのRCAジャック、といった各パーツもがみな不要になるのだが・・。

 また、一体化すれば電源に関しても付録のUSB−DACと共通化ができよう。

LUXMANの専用RCAケーブル LUXMANの専用RCAケーブル

 さて、アンプを別体とした場合。

 アンプ利用のTA1101Bが搭載されたボードはひどく小さいので、USB−DACボード収納用のケースと同じサイズだとすると、かなりのスペースが余白となる。せっかくなのでそこに電源供給の回路基板を設置してみると良いだろう。

 別筐体に収納したアンプ機を音声の増幅装置としてだけでなく、電源のサプライ機器としても利用できるようにしたほうがよいと思うのだが、どうだろうか。

 じつはアンプとして利用するボードと共に、そのための基板を同じショップの製品から見つけ出した。

 16V以上のDC電源を投入して、その基板上の回路で5Vと12Vを作成するためのキットだ。たとえば、パワーサプライとしての機能を考える場合には、そうしたキットを利用しても良いように思う。

・電源供給基板の設置(案)としてはその電源回路(DC−DC変換ボード)を利用する。
 機能としては、DC16V IN時のみ接続し回路により 12Vと5VのDC電源を供給する、というものだ。

 12V出力; パワー・サプライ用DCジャックへSW選択により電源を供給する。
 5V出力;  パワー・サプライ用DCジャックへは常時無条件に電源を供給する。

 ただし、いずれの場合も、12VDCの外部電源の接続時(16VDC以上ではない場合)及びアンプ通電のOFF時には、この電源供給回路は利用不可となる。

 こうした拡張案なども考えてみると、付録のUSB−DACボードの世界はどんどん広がっていく。それは尽きることが無くて、実に楽しくなって来てしまって仕方が無い。
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