これから紹介する「すみれ」は里でも目にすることができる、春を代表する種類の多い植物だ。少し注意するだけですぐに見つけることができ、多彩な様子が楽しめる。
このあたり(さいたま市中央区界隈)で咲いているのは、「タチツボスミレ」が主だ。だが、他の種類も多く、色々なスミレに出会うことができる。
タチツボスミレは淡い紫色(ごく薄い浅葱色)で、一群に十本近い花をつける。個別の花自体もだが、まとまって咲いている様子もまた可憐だ。山で咲くタチツボスミレは少し様子が違い、大抵は今回の写真のように、ぎゅと一塊にはなっていない。
ところで、スミレの仲間で「スミレ」という名称を持つものは一種類のみなのをご存知だろうか。年々少なくなっているようで、見つけるのに少し苦労する。タチツボスミレと異なり、スミレは濃い紫色の花弁をつける。特徴的な細長い葉を持つので、すぐに他の菫と見分けが付く。
この日、見つけたのは「アリアケスミレ」だ。広い歩道にある街路樹の根元に数株が咲いていた。この種は、タチツボスミレに良く似ているが、花弁の中(側弁)に細かな繊毛があるのが特徴だ。 |