さて、ウルトロンだが、焦点距離での区分は「準標準レンズ」だ。絞り羽根はなんと9枚であり、ボケは素晴らしく美しい。光玉も、絞っても綺麗な円形のままだ。
金属性の鏡筒は適度なトルク感を持っている。オートフォーカスでは無いので、ピントリングの回転長(焦点距離調整)はかなり長い。微妙な位置でのピント調整が容易にできるのだ。昔のレンズはこうだったが、今売られているズームレンズの多くはその調整幅を完全にオートフォーカスでの操作を前提としているので悲しいほど短い回転径だ。あれではピントが甘くなるし、微妙なマニュアルでの調整が出来ない。いや、むしろユーザにその操作を放棄させているといった趣だ。
そんな、今時のレンズとは対極のコンセプトにこのレンズは位置している。最新の設計であるのだが、最初からオートフォーカスを意識していないのだ。だから、扱っていて気分がいい。
形状はパンケーキタイプで、ごく薄い仕上げだ。レンズフードがまた良い感じであり、上に掲載した最初の写真がフードを付けた状態だ。フードを含んでもかなり薄くて、コンパクトだ。ちなみにフィルターはフードの内側にマウントが出来る。このため、フルターを装着してもフード位置以上に厚みが増さない仕掛けになっている。
オートフォーカスの対応製品は無く、すべて純粋なマニュアルフォーカスでの操作が要求されるが、ピントリングの回転方向はPENTAXオリジナル製品と同一の方向だ。ちなみに絞りの回転方向もおなじだ。だから、付け替えても操作に戸惑うことはない。
PENTAX用では、絞りに「Aポジション」があってボディとの電気的な制御が出来るが、Aポジションでの動作・ボディ側での絞り操作だけでなく、レンズに絞り環を持っている。このため、メンテナンスすれば半永久的に使える耐久性を持っている。
絞り環の存在により、Kマウントのボディであれば、利用が可能だ。古いボディのK2DMDやMXなどでも最新のデジタル機同様にこのレンズを使うことが出来る。
絞った状態の写真と、開けた状態を紹介しておこう。
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