ハイキング・低山歩き のインデックスページへもどる ハイキング・低山歩き の ページ      Top Pageへ移動Top Pageへ移動       このページを閉じる 閉じる

2008.11.15
越生(おごせ)黒山から顔振峠(かあぶりとうげ)を歩く

アクセス;
 JR八高線、東武越生線―越生市(おごせ)駅より、「黒山」行きバス(各時に1便)

コース;
 往路;
  越生駅〜黒山;バスにて20分〜笹郷(15分)
   〜一本杉峠(45分)〜越上山:諏訪神社(568m、30分)〜阿寺(25分)〜顔振峠(25分)
     峠にて昼食の休憩
 復路;
  顔振峠(538m)〜笹郷の分岐25分(通常はもう少し掛かる)〜黒山バス停;10分〜黒山三滝;20分
    〜黒山バス停;15分

カメラ;
  PENTAX K−10D

レンズ;
  PENTAX DA 35mm F2.8 LIMITED マクロ
  TAMRON SP 17−50mm F2.8 AL
  PENTAX DA 50−200mm F4−5.6 ED

三脚;
  ベルボン ULTRA STICK50
  (画像添付時に約30%程度に圧縮)


 「吾野(あがの)」駅から登りつめて『顔振峠(かあぶりとうげ)』を跨ぎ、『黒山』へ降りるというのが当初考えたコースだが、これだと完全にハイキングとなってしまう。今年の春に歩いたコース(2008.05.01 「顔振峠を越えて」 )がそれで、美しい山道だった。しかし、このコースだと完全に歩くことが目的で「写真を撮ること」は二の次になってくる。

 今回はあくまでも紅葉を撮る事が主目標であり、だからハードな歩行はしない予定になっている。山野を歩き回るだろうが紅葉の撮影が主目的で「ハイキング」の心積もりでは無い。

黒山バス停前(越辺川の清流) 黒山バス停前 越辺(おっぺ)川の清流
ページTopへ移動
黒山バス停前(越辺川の清流) 越辺川沿い

 だから、そのあたりを考えた。10時40分の越生駅発のバスだから、11時くらいから歩き始めることができる。

 「黒山バス停」を起点として『顔振峠』」を拝みつつ黒山を回る、と言うのが今回の計画だ。歩行時間は全行程で約3時間弱を予定している。

 「黒山バス停」から「東上閣(日帰り入浴も出来るホテル)」を横に見て顔振峠方面へ、バス停を挟んで黒山三滝とは反対側に越辺川(おっぺがわ)沿いに登っていく。「笹郷の集落」を過ぎた後は山道になるはずだ。

 顔振峠はこの辺りの交差点(尾根筋の分岐)なので、吾野、東吾野、武蔵横手、などからは頻繁に歩いているが、実は今回のコースは初めだ。

 さて、そこにはどんな展望が待っているだろうか・・・。

六地蔵 見落としていた「源流への案内版」

笹郷の大銀杏
ページTopへ移動
笹郷の集落にて 越辺川の清流

 途中、<越辺川の源流>との標識があった。

 この川は前に書いたが、大宮の西側の川島町や川越の辺りでは実に大きな川だ。それは大河川の荒川と変わらないほどの川幅を持って、ゆったりと流れている。その源が、この地点にある小さなせせらぎなのだという。

 山筋からの流れが集まり、ごく小さな溜まりとなって50cm程の落差を作っている。

 このちいさな溜まりから発した細い流れが、やがて流域の田園地帯を潤して、最後にはあの大きな流れとなる。源流と標識された地点には画期的な何かがある訳ではないが、その流れの広がりを想うと、心の底のほうが少し熱くなって来る。

 源流地点を過ぎると、峠へのアプローチが始まる。

越辺川の源流 越辺川の源流
ページTopへ移動
笹郷の集落 「笹郷」の集落にて

 大きな銀杏の木を境として集落はここまでで、後は山中の登り道が続く。

 舗装路をひたすら登って来て大分高度も増してきている。

 たまに開ける眺望から考えると、峠へはもう1/3程も進んでいるはずだ。山の斜面を登る紅葉が鮮やかさを増してくる。杉の植林が夥しいが、場所によっては本来の植生の姿であろう、「ヤマウルシ」や「ミズナラ」などの広葉樹が現れる。

 それが帯のように狭い範囲で杉に覆われた斜面を登っている。無造作な杉の植林が無ければ、この山は日光や箱根のように全体が美しく紅葉していたに違いない。

紅に染まる
ページTopへ移動
一本杉峠へ向かう 一本杉峠へ向かう

 そんな様子を楽しみながらどんどん高度を上げていくが、いつまでも舗装路が続き、目指す登山道の分岐が現れない。何か妙な感じだが、分岐が無く、頼るべき道標も無いので、その道をひたすら進むしかない・・・。

 バイクやスポーツ車などが盛んに通り過ぎていくので峠が近いことを思わせるが、案内板すら現れない。

 さらに登って心地よい汗が滲んで来ているが、もう2/3は進んでいるはずだ。視界が開けたのでコンパスで方位を確かめて山並みを同定しようと想うが、見慣れた山容が無い。

 なおも進んでいると、崩落した道路の補強工事だろうか、小型のショベルカーと小型トラックが道脇に停まっていた。

一本杉峠へ向かう 大きな岩
ページTopへ移動
一本杉峠へ向かう

 助かった、地元の人のようだ。

 途中に何台もの駐車中の車があったが、多分、きのこや山菜を採っているのだろう。それらはどれもみな無人であった。

 トラックの運転席へ声を掛けて、道を尋ねると「顔振峠まではまだ大分あるし、そこからさらに黒山へ行くのでは日が暮れてしまうだろう」との事だった。時刻はまだ13時だから、日が暮れるまでには後たっぷり4時間はあるだろうが、そんな指摘に少し後悔が浮かんできた。未知のコースを選んでしまった失敗がやはり大きいし、しかもその道を良く研究していなかったのが悔やまれる。

 ここまでは、写真を撮りながらのんびりと登って来たのだが、登り始めた元へと来た道を戻る気にはなれない。

 さて、どうしたものか・・・。

一本杉峠
ページTopへ移動
峠近辺 峠近辺

 どこに向かうにしても、とにかく分岐地点の「顔振峠」まで早く出なければ・・・。

 不安を含んで歩いていたが、たまらづに道を聞いたその場所から30分ほど歩くと、見慣れた場所に出た。「阿寺(あでら)の集落」になる。

 この美しい山上集落を横切る道は何度も歩いているので、もう安心で、ここからなら「吾野(あがの)」、ユガテ方面や武蔵横手、などどこへでも降りられる。

手のひらのような不思議な草 阿寺の集落で
ページTopへ移動
阿寺の集落 阿寺の集落で(キバナコスモス)

 集落の道脇に咲く花が美しく、時折、視界が開ける吾野方向の山並みが楽しめる。

 どこか手ごろな場所で食事にしようと思う。ちなみに「阿寺の集落」からは30分ほどで「顔振峠の分岐路」に出る。ここまでくればもう大丈夫だ。そう思うと、なんだか急に空腹感が増してきた。

阿寺の集落で
ページTopへ移動
阿寺からの眺望

 峠には三軒の茶屋があるが、昼食はキムチ・チゲの鍋とその後に入れるラーメン、中華料理の「ナスと肉の炒め物」、を用意してきたので店には寄らずに自炊する。

 今日は去年の高尾山への紅葉撮影行(2007.11.17 「紅葉の高尾山」)と同様に、仲間と一緒だ。彼は中国の人なので辛い物もまったく平気で、鍋は去年も好評であったのでこうしたメニューを選んだ。去年は「うどん」だったが、ひとひねりして今年は「ラーメン」にしてみた。まあ、チゲは韓国料理だが、中国の東北部出身の彼にとっては、辛さという点ではさほどの違和感は無いようだ。

阿寺(旅人の木)
ページTopへ移動
阿寺 阿寺にて

 峠の尾根上にある蕎麦屋さんの前の道脇が2mほど平坦になっているので、そこに陣取って休憩することにした。茶店のある少し先のカーブミラーのそばに場所を作ったが、確保した地面が平坦ではなく若干傾斜していたので戻ってきた。

 さて、少し疲れたので、ゆっくり休むとしよう。

 アルコール(トランギヤ)のバーナーを灯して鍋をつくり、エスビットの固形燃料に火をつけてコッヘルで湯を沸かして中国茶を淹れる。

 丁度、お湯が沸いてお茶を準備し、チゲ鍋の中にラーメンを入れたところで、目の前に軽トラックが停まった。

キツネノノアザミ

 バックして戻ってきたトラックの運転席からおじさんが顔を出していわく、「ここは俺の土地で、火を使われては困る。山火事になったら大変だし、道を通る人が通報したらこちらに連絡が来て迷惑なので、すぐにやめ、どいて欲しい。」との事だった。

 バーナーは風防として自作した40*30cmのアルミパネル(折りたたみ式だがそれを広げている)の上に置いてあって、そこに鍋が載っている。旅館の朝食で出てくる湯豆腐や味噌汁と同じ具合だ。

 エスビットも同じパネル上でコッヘルのお湯が乗っている。管理した<火>であり焚き火や直火ではないのだが、山上の道脇の2mほどの空き地であっても所有者にやめろと言われたら仕方が無い。すぐに火を消して、撤収だ。先ほどのミラーの辺りでまた適当な場所を確保しなければならない。

 調理途中のチゲ鍋とお茶を淹れている最中のコッヘルを抱えて峠道を歩くという、実に間の抜けた姿だった。
ページTopへ移動
峠から黒山へ 峠から黒山へ

 そんなロスもあって、食事を終えて歩き始めたのが15時という想定外の状況になってしまった。

 顔振峠からは傘杉峠(かさすぎとうげ)へ回って黒山三滝の裏に出る、春に歩いたコース(2008.05.01 「奥武蔵、顔振峠から黒山三滝へ抜ける」)を採ろうと思っていたが、滝に着くのが日暮ぎりぎりになりそうだ。そんな訳で、本来は登ってくるはずだった黒山から顔振峠への直登路を降ることにする。これだと45分程で黒山バス停まで戻れる計算だ。

 山道は、勿論細い登山道であり未舗装路だが、補修がされていたので歩きやすく、急ぐ身としては大分助かった。渓流脇の美しい登山路だったが、飛ぶように降りてしまった。

 わきの斜面の杉林の間には広葉樹が低く広がっていた。急いではいたのだが、雰囲気のある道であり要所で素早く写真を撮った。

峠から黒山へ 峠から黒山へ
ページTopへ移動
登山道脇 登山道脇

 急だった道の斜度が弱まったかと思うと、人家の脇へ出た。

 その家の横を通り過ぎて渓流に掛かった「小さな橋」を渡ったら、朝通った道に出た。

 六地蔵を過ぎてから集落に入って、ゆずの写真を撮った。それが今朝の出来事であった。その写真を撮った人家の横に出てきたのだった。朝は、その家のゆずの美しさに気を取られて、この道標を見落としたらしい。

 まさかこんな、人の家への入り口としてだけで掛けられた橋の奥から登山道が始まっているとは思わなかった。

分岐の道標(すっかり見落としていた)
ページTopへ移動
大きな銀杏 黒山バス停へ

 ここからなら急げば20分ほどで「黒山三滝」へ行ける。

 ゆっくりと滝の写真を撮っても17時前のバスに乗れそうだ。

 いや、しかし、最初のミスコースが無ければ、と思わずにはいられない。なんだか楽しかったので結果としては良いが、2時間は早く滝へ着いていただろうし、そうなればまだ明るい状態で滝が撮れたのだ・・・。

 三滝への遊歩道は、山間の渓流沿いのため、16時に近い時刻ではすでに薄暗くなっている。渓流を撮ろうと思っていたが、暗すぎて駄目だった。滝を写すためには思い切ったISO感度の設定が必要だ。

小さな落差 三滝へ
ページTopへ移動
見事なモミジ 岸に上がった沢蟹と出会う

 私はコニカの「センチュリア200」のネガフィルムや「SHINBI200」のポジ・フィルを使っていたので、デジタルカメラの感度設定もISO200(ASA200)を基準にしている。ところが辺りはもう大分暗いので、その設定ではまったくスローに過ぎる。

 思い切り増感して、ISO感度を1000まで上げた。こんな感度で写真を撮ったのは初めてだ。滝の写真をもう一度良く観察すると、そのためか、緑が妙な色合いとなってしまっている。K10Dでは800位が実用域の限界なのだろうか。

 増感して写したが、それでも限界以下のシャッタースピードであった。ところが、そのことが幸いして滝の水の流れは美しく撮れたようだ。(周りの岩の色は、ちょっと実際の色味とは違ってしまっている。)

三滝からの渓流
ページTopへ移動
女滝 女滝

 感度設定も凄まじいが、ホワイトバランスがオートのままなので、芳しくなかったようだ。

 同行した仲間の写真では、このあたりが上手く処理されている。

 「黒山バス停」から越生駅へ戻り、駅前の魚屋兼酒屋さんで自分用のお土産を買った。越生の地酒と小川町の地酒のワンカップだ。

男滝 黒山三滝
ページTopへ移動
 帰りの電車でもひと波乱が待っていた。ワンカップを飲んでしまったわけでもないのに、「川越」を乗り過ごしてしまった。

 アナウンスにはっとした時には、すでに「次は池袋」だった。車窓から「志木(しき)駅」の様子をぼんやりと見やって「ああもう志木か。さすが急行は早いな」などと関心していた。

 久しぶりの<老人力>の炸裂だ。まるっきり乗り過ごした事に気付かなかった。越生から成増、そこから戻るから成増から川越の間の行程がロスとなる。都合一時間ほどをまた無駄にしてしまった。山でのロスと合わせれば二時間を越えるほどだろう。

 少しおかしかったとしか考えられない。なんという日だろう。先日は手に採れるほどの満月が出ていたが、それと関係があるかもしれない。

越生駅前のお寺 越生駅前のお寺

 そういえば、朝、集落の道で巨大なみみずを見た。想像を絶する大きさであって写真に撮ったが、ここには掲載していない。その長さは50cm程であり、どう考えても蛇のようだ。私はこの集落の神なのではないか、と思って思わずみみずに向かって合掌してしまった。

 さらに、夕暮れの三滝への道では、ふと足元を見たら沢蟹が歩いていた。その帰り、滝へ行く前に喉の渇きに耐えかねて缶ビールを買った店の前の道ではカジカカエルが跳ねていた。

 突然現れて撤収を迫った峠の親父殿を含めて、おかしな生き物達に沢山会った一日だったが、実のところ、一番調子が変だったのは私だったのかも知れない。
ページTopへ移動
 川越では恒例の焼き鳥屋さんに寄らねばならない。

 これがために、乗り過ごした電車を戻った。いっそ池袋まで行ってしまい、そこから埼京線などでさいたま新都心へ直接戻った方がずっと効率がよかった。でもそうしなかったのは、お得なフリー切符が乗車変更できないようなのが大きかったが、もっと大きな理由は「大(ビック)の焼鳥」のためだ。朝からもうすっかり帰りによるつもりになっていたので、いまさら寄らない選択は出来なかった。

 あれやこれやで12本ほどを焼いてもらった。やはり我慢がならず川越駅に向かう僅かの間で一本摘んでしまった。

さいたま新都心 さいたま新都心

 さいたま新都心まで戻ってきたら、雨が降ったらしく、駅のコンコースが濡れていた。地面に広がった雨粒がイルミネーションを写して一際幻想的に輝いていた。

 大分疲れていたが、折角の輝きを通り過ぎるのが惜しくて、カメラを取り出した。雨空なのであたりは暗く、その中で輝くLEDが煌きを増したかのようだった。

さいたま新都心
ページTopへ移動
 けやき広場下の一階の光のツリーが置かれた「プラザ1」の壁面には、ドリーム・カムズ・トゥルーのステージ写真やイメージ写真が飾られていた。

 頭上のけやき広場(2F)のけやきの幹にはスポンサーのタグが着けられているが、聴き馴染みのある歌詞の一節が書かれていて雰囲気を盛り上げている。

さいたま新都心
ページTopへ移動
さいたま新都心 さいたま新都心

 新都心のイルミネーションは、これからが本番だ。去年は2月14日のバレンタイン・デーまでがイルミネーションの期間としてディスプレイされていたので、今年も長く楽しめるだろう。

 まだまだ写す機会があるだろうが、今日の雨に濡れた暗い様子も捨てがたいものであった。

さいたま新都心 さいたま新都心
ページTopへ移動
越生の地酒 小川町の地酒

 さて、今回の旨いもの。

 川越は「ビックの焼き鳥」(2008.06.15 「川越で満腹になる」)だが、これは今回写真に撮るのを忘れてしまった。

 そこで、川越駅で買った「地ビール」と「蕎麦」を紹介しよう。地ビールは100%ホップのすっきりとした飲みごたえのある逸品。名前が「伽羅(きゃら)」とすごいが、それはこのビールの綺麗な色から命名したとの事だ。蕎麦は今週末に楽しもうと思っている。

 そして越生は、地酒だ。

 越生の「来陽」と小川町の「晴雲」。両方ともまだ飲んでいないが、実は小川町(2008.03.23 「和紙の里」に咲くカタクリ」)の「晴雲」は何度か買っている。二つの街は古い歴史があって、似た雰囲気がある。

川越の地ビールと蕎麦 川越の地ビール
ページTopへ移動