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2008.05.01
奥武蔵、顔振峠から黒山三滝へ抜ける(吾野、越生  後半:大平山−黒山−黒山三滝−麦原)

アクセス;
 西武秩父線―吾野(あがの)駅より、東武越生線―越生(おごせ)駅

コース;
 往路;
  吾野駅〜西川小学校;25分〜梅沢;20分〜摩利支天;35分〜顔振峠;10分(538m;昼食)
  〜大平山(622m);40分
 復路
  大平山〜黒山三滝;40分〜黒山;20分〜上大満・麦原入り口(自然休暇村センター);40分
  〜越生駅;乗車時間約20分

カメラ;
  PENTAX K−10D
  RICOH CAPLIO GX−100 24−72mm F2.4

レンズ;
  PENTAX DFA 100mm F2.8 マクロ
  PENTAX FA 135mm F2.8
  フォクトレンダー ULTRON 40mm F2 SL AL

三脚;
  ベルボン ULTRA STICK50
  (画像添付時に約80%程度に圧縮)


 昭文社の山地図をみていたら、「吾野(あがの)」から「越生(おごせ)」へ抜けるコース『顔振峠・越上山(かあぶりとうげ・おがみやま)』が紹介されていて、3時間のコースタイムになっている。いつか歩きたいと考えていた。

 新緑がまぶしい季節がやって来た。ゴールデンウィークの吾野探訪(2006.05.04 「吾野ハイキング」2007.05.04 「天覚山からの縦走(東吾野)」)、今回は昭文社ガイドブックで紹介されていたコースを歩いてみることにした。

 「顔振峠」から「諏訪神社・越上山」へ向い、そこから下って「黒山バス停」へと行くのでは、少しつまらない。そこで、峠からは<傘杉峠に向かって登って行き大平山を経て黒山三滝へ降るコース>にアレンジする事にした。吾野−3km−顔振峠−2km−傘杉山手前の分岐−0.6km−大平山−1km−黒山三滝−1km−黒山バス停というものだ。

 前半の「吾野」から「大平山」までの行程は<2008.05.01:奥武蔵、顔振峠から黒山三滝へ抜ける(吾野、越生)>に書いている。

登山道入り口
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細い道 山頂からの展望

 なぜか判らないが、大平山の山頂は「ヤマツツジ」が咲き乱れていた。 ― 赤城(群馬の赤城山)の荒山(あらやま)山頂に咲く躑躅のようで、明るい頂に咲く、よく似た景色が広がっていた・・・。

 日当たりを考えてなのか、山火事に繋がるかも知れない落雷を避けるためか、大きな径の切り株がいくつもあった。そのために山頂は視界が開けて明るい状態だ。暗い杉の植林ではなく、この明るい頂上が本来の植生なのだろう。どこもかしこも杉だらけ、いつも残念に思うが、なんと貧しい山ばかりにしてしまったのだろう。

 何本もの山躑躅が明るい日を浴びて咲いていた。私の他には、この山には誰もいないし、多分、開けた山頂も、ほんのたまにしか訪れる人がいないだろう。そんな頂上に華麗に咲いている躑躅がもったいない気がして、私はその様子を何枚も写真に撮った。

山頂からの展望 ヤマツツジ

ヤマツツジ ホトトギス
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ミヤマハコベ 目に青葉

 「大平山」から「黒山三滝(くろやまさんたき)」への下山路は、急な下り坂だ。

 僅かな距離の間に高度をぐんぐん下げる。さすがに山岳修験道の聖地だ。途中には「役の行者(えんのぎょうじゃ)」の石仏があり、その横を通って下りていく。

 三滝から見ると、一番険しい「天狗(てんぐ)滝」からずっと奥へ進む。滝の険しい落差を登った先に沢沿いの道が続き、急な斜面が広がる。


 奈良時代から密教が変化して、山岳信仰が「役の行者(えんのぎょうじゃ)」によってはじめられた。葛木山から来た役小角−えん の おのず−という呪術者だが、一般には「役の行者」と呼ばれ、修験道の開祖であり、その後の忍者の原型とされている。日本霊異記で役小角は、仏法を厚くうやまった優婆塞(僧ではない在家の信者)として現れるが、「若くして雲に乗って仙人と遊び、鬼神を自在に操った」とされる。異能の人だろう。

 石仏は、鬼神を使役できるほどの法力を持っていたという行者と、その前衛として、左右に前鬼と後鬼とを従えた状態だ。葛飾北斎が描いたのと同じ図柄だ。

役の行者像 目に青葉
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秘密兵器、ろ過装置 水を汲む

 石仏の先から始まった細かった流れが音が聞こえる程になり、やがて奔流となって滝になる。

 今回は秘密兵器の携帯用の「ろ過装置」を持参した。大きな岩をロープ伝いに降りたところで、流れに下りられたので水を汲んだ。三滝まで降りたら休憩して、この水を沸かして美味しいお茶を淹れようと思う。


 小さかった流れが太くなり、杉の暗い植林が過ぎて、広葉樹の木々の青葉が目立ってくる頃、轟々とした水音が響いてきた。

三滝への道標

三滝はもうすぐだ
樹間から見えた「天狗滝」
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天狗滝からの落差 天狗滝

 木々の間から音のする谷間を見やると、眼下に小さな滝の流れが見えた。巨岩の間に幾つかの落差がある。


 下山してきてたどり着いたのは、「天狗(てんぐ)滝」の上部だった。東屋の置かれた稜線から、幾折れかして道を降りていくと、巨岩に隠れていた落差20mの水量豊富な滝が目に入った。

天狗滝からの落差 天狗滝からの落差

 「黒山三滝」は、古くは山岳修験道の道場・聖地であったらしい。

 この「天狗滝」は、霊山に天狗が住むということからこの名が付いたとされる。

 天狗は、俗に人を魔道に導く魔物とされる。山地を異界として畏怖し、そこで起きる怪異な現象を擬人化して天狗の行いとしたことによる、ある種の信仰だ。天狗とは気象を理解し険峻な山野を修行の場とした修験道の行者のことだろうし、霊山とは役の行者像が置かれた「大平山」を指しているのだろう。

 行者は、土地に根ざした既存の僧侶達とは異なって、小乗仏教的に過酷な修行を課し、己を高めるために山野に分け入った修行者だ。奥武蔵の縦横にめぐる登山道の多くは、名も残らぬ彼らが開拓したものだと私は思っている。
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女滝、男滝へ 女滝(下部)と男滝(上部)

 越生側から黒山へ入ると、一番奥の大きな岩の先に滝が見える。奥の絶壁の下が「女滝」、上が「男滝」だ。そして巨大な岩塊の裏側になるが、回り込んだ奥に「天狗滝」となり、それで「三滝」と呼ぶ。

 二段に分かれた落差10mの男滝と落差5mの女滝、少し離れた落差20mの天狗滝は、多く水を集めて流れ落ちていた。

 最初に見えていた滝のは、「天狗滝」の滝ツボの流れから続く幾つかの落差のうちの初めの一つだった。

滝から下流の渓流 渓流脇に咲く
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黒川鉱泉 黒川鉱泉

 「黒山三滝」から「黒川バス停」までは約1Kmほど、渓流沿いに歩く。

 茶店が何件かある(2006.08.14 「涼を求めて 越生、黒山三滝」)が、店先に並んだお土産物は何年も前の物の様で、あまりぱっとしない。前に寄った釣堀の店先では、炭火で「ます」を焼いていて、いい匂いがしたが、今回は素通りしてしまった。

 二軒ある温泉旅館の1軒では、庭先に綺麗に花が咲いていた。1000円ほどで日帰り入浴もできるが、こんな宿に泊まって「のんびりする」のもいいなと思う。道の脇に藤棚があり、白色の藤が丁度見ごろで、辺りにむせるように香っていた。

黒川鉱泉 美しいモミジ
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美しいモミジ

 渓流沿いに歩いてバス停に向かったが、途中にあるで「田山花袋(たやま かたい)」の記念碑のところで長い休憩をした。

 いつもの固形燃料(エス・ビット)で、先の滝の上流で汲んだ水を沸かしてお茶を淹れた。昼食で休憩してから1時間40分ほどを歩いていた。少し疲れた体に爽やかな台湾のお茶が美味しかった。しばらく休んで元気を取り戻し、バス停へ向かった。

 バス停についてちょっと驚いてしまった。ほんの少し前に3時15分のバスが出ていて、次のバス(4時46分)までは一時間以上も待つ必要がある。帰りの本数は多いと勝手に思い込んでいて、まったくの油断だった。

道に舞う咲く八重桜の花びら 味のある民家
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 日帰り温泉へ入るか、ますの塩焼きを食べに戻るか、どうするにも微妙な待ち時間だ。

 結局、元気を取り戻していたこともあって、少し歩いてみることにした。紫陽花の里への入り口になる「麦原バス停」の先にある「自然休暇村センター」へ立ち寄って程よくバスの時刻に調整した。

 バス停までは幾つかの集落を通ったが、山里の雰囲気があって楽しめた。しかし、3.5kmは少し歩き過ぎだった。


 前半の「吾野から大平山」までの行程は<2008.05.01:奥武蔵、顔振峠から黒山三滝へ抜ける(吾野、越生)>に書いている。

鼻曲山と梅林 横吹峠方面の新緑
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