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オーディオ : DIY−AUDIO 8cmスピーカ・ユニット
SA/F80AMG (フルレンジ)

<DIY−AUDIO製 SA/F80AMG 8cmユニット (2008.06.22)>


 Web上で各位のブログなど、色々と調べていたら、「W3−593SG」は概して評判が良く、バスレフ・タイプだけでなく共鳴管やバックロード・ホーンなど、あらゆるタイプのエンクロージャーで、いろいろな作例が紹介されている。 きらびやかで伸びのある特色ある高音を聴いてみれば誰しも嬉しくなると思うが、高域だけでなく低音部分にも力がある。

 例えば私の作ったダブル・バスレフなどでは、8cmという小径を感じさせないスケール感溢れる低音が楽しめる。ギターやピアノなどのアコースティックな音が冴えるのだ。

 このTB社のフレームと同じ外観・寸法を持ったユニットがある。8cmフルレンジ・ユニット、DIY−AUDIO社製の<SA/F80AMG>だ。

 防磁タイプであり、大きなマグネット・ケース部分やフレーム部分などが同じ。共通点は多いが、両者のコーン部分の形状や材質は違っていて、そのため表現される音色が違う。


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DIY−AUDIO社製 SA/F80AMG 金メッキのターミナルと防磁型マグネット・ケース

金メッキ仕様のターミナル
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<DIY−AUDIO製 SA/F80AMG ユニットについて>

マグネット:

 防磁型のユニットは、ボイス・コイルをドライブするためのマグネットと、その磁界を打ち消すための、コーンの駆動には無関係なキャンセル・マグネットがセットになって一つのケース内に積層された状態で封入されている。このユニットも防磁仕様に仕上げられている。

 TB社のユニットは口径に対して強力なマグネットが使われているのが特徴で、音の力強い張り出しという特性があるが、このユニットもそういった傾向を受け継いでいる。大きなマグネット・ケースが特徴的だ。

 ただし、低音の響きは「W3−593SG」とはかなり違うらしい。マグネットの大きさは同じだし、材質もフェライト・マグネットで同じなので、駆動部分の仕様は共通だ。さらには、アルミ・ダイキャスト製の頑丈で肉厚なフレームも共通だ。そういう訳で、特に、このユニットの低音が力強く表現されるのだとしたら、それはコーンの材質の違いによるという事になるだろう。

コーン:

 TB社の「W3−593SG」はアルミ製のフェイズ・プラグ(中央部にある高音用のロケット状のとんがり部分)に、コーン部分はペーパーをベースにしたコーティングによる仕上げであり、一方で「SA/F80AMG」のコーン素材はマグネシウムだ。

 一般的な傾向としては、紙は明るく元気がいい音がするが、マグネシウムは伸びや張りがあり、緻密な音がでる。ユニットの特徴として「厚みのある低音だけでなく、クリアな中高音を再生し、コクと深みのある明瞭なサウンドが楽しめる」と某社のWebページでは紹介されている。

 特性としては、「SA/F80AMG」の方が低音・高音共に伸びていて、優秀な仕様となっている。周波数特性は90Hzから22KHzで、TB社の「W3−593SG」の110Hzから20KHzという数値特性よりも格段にワイド・レンジ化されている。

 能率は「W3−593SG」が86dBだが、こちらは84dBであり、数値としては若干落ちるが、ほぼ、同じといったところだ。

コーンへのケーブル

ケーブルは低損失・高能率の「OFC線」だろうか?
DIY−AUDIO社製 SA/F80AMG
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細部のデザイン(仕様):

 ユニットのターミナルは「ファストン端子用」のMとSサイズ(プラス側がM、マイナス側がS)で、金メッキ品だ。ちなみに、TB社製ユニットも「ファストン端子」に対応しているが、残念ながら伝送損失の少ない金メッキ品では無い。

 ターミナルからコーン部(ボイス・コイル部)への導線はOFCの縒り線のようだが、詳細は判らない。

 コーン保持のエッジ素材はウレタンではなく、TB社同様にゴム製だ。だから経年劣化が少なく、滑らかに動作するものと思われる。


円形ダクト の考察:

 特徴的なのはコーン基部のボイス・コイルの駆動部分だ。空気抜きためと思われる小さな円形ダクト(下部の写真左)が複数個、空いているのだ。

 強力なマグネットで駆動された場合、空気圧でコーン基部が剥離したり、エッジ部分が破断したりする可能性がある。空気抵抗のためにコーンの動きが阻害されない様にする事を含めて、圧迫された空気を有効に抜き、動作ロスの発生や破損を防止して、本来の動作をさせるための工夫であろう。

 強力なマグネットとしなやかなコーン素材により、多分、大きく駆動するのだろう。すると、自らの動作性能の良さのために、空気がその運動を打ち消す方向で働き始める。コーン全体の動きが妨げられる上に、圧縮された空気による反発振動と空気抵抗により歪が発生するのだ。「空気バネ」のために本来の動作とは別のものになるが、それを防ぐには、圧縮される空気をうまく抜いてやればよい訳だ。元々、バスケット・フレームの基部には、空気抜きのための長方形の切り欠きがあるが、この優秀なユニットの場合には、それだけでは不足だったのだろう。


 眺めてみると、その形状や仕上げなどから、豊かな音の予感に溢れるユニットだ。

TB社製 W3−593SG と DIY−AUDIO社製 SA/F80AMG
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エンクロージャーのマウント部 W3−593SGのマウント

 今のところ、秋葉原の自作スピーカ御用達の老舗「コイズミ無線」で扱っている多くの8cmフルレンジ・ユニットの中では、一番人気ということだ。各氏のWeb上でも絶賛されていて、その低音の豊かさは特筆に価するらしい。

 そんな評判を読んでしまったので、ゴールデンウィークに自作した例のダブル・バスレフに着けたら一体どんな響きになるのだろう、と気になって仕方が無かった。そして、とうとう我慢が出来なくなって、先日購入してみた。だが、実はまだ「音出し」はしていない。
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DIY−AUDIO社製 SA/F80AMG

TB社の「W3−593SG」用に作成した
ダブル・バスレフのエンクロージャーへ
マウントしてみた。

違和感の無い外観だ。
W3−593SGに変えてSA/F80AMGをマウントする

 エンクロージャーを簡単に共有できるように、マウント・ネジの部分にオニメ・ナットを埋め込んで、スピーカ・ユニットのエンクロージャーへのマウントは六角ナットのネジ仕様に工夫している。「W3−593SG」で音を出しながら、吸音材の調整や共振防止のための補強用の桟の貼り付けなどを行ったので、そのままの状態でユニットだけを付け替えたのでは、設計や調整にすんなり適合せずに駄目だろう。

 だが、いつでも付け替えて楽しめる準備はしてあるのだ。TB社製のアルミやポリプロピレン製の8cm口径の別ユニットは勿論だが、このユニットもアルミ・ダイキャストのフレーム部分が同じだ。だから流通メーカーが違ってもそのまま付け替えが出来るのだ。

 さらにFOSTEX製の8cmユニット、「FE87E」や防磁仕様で高域が32KHzまで延びる「FF85K」などでも大丈夫そうだ。

 今週末、ちょっと付け替えて、このユニットの評判の音色を試してみるつもりだ。
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<音の印象  2008.06.22 追記>

 コーン素材のマグネシウムは硬度が高いので、十分なエージングが必要だ。

 マウントしてすぐの音は本来のユニットの音ではないのであり、少なくとも一週間くらいは音を出して、マグネットとダンパーやエッジなどを馴染ませる必要がある。振動素材自身のコーンは、実際に振動させる事で音に滑らかさが出るはずだ。

 そんな訳で、付け替えてすぐでは意味が薄いものなのだが、少し印象を書いてみよう。

 音は、まろやかで非常に自然な感じがする。高音には伸びがあるが、キラキラとしたものではない。その音は例えれば、FUJIのポジ・フィルムの「ベルビア」のような彩度を高めたものではなく、コダックのエクタ・クロームやコニカのSHINBIのように、いたって自然な発色で脚色が無い感じなのだ。写真を撮らない方には判らないかも知れないが、隣で鳴っている「W3−593SG」の音色とは色彩感が異なる。ベールが一枚剥がされて、すぐそこで楽器が鳴っている感じだ。まさに「クリアな中高音」が再生される。

 評判の低音だが、これはWebで表現されるような「出すぎで困る」というものではなかった。

 確かに低音も豊かであるが、中高音と別ものという感じや、音域が離れて低域だけが強調されるという違和感はなく、全体がすんなりとひとつに繋がっている感じだ。実に滑らかな音が出る。エンクロージャーからは別の音が鳴っている印象はない。

 評判とは異なり、あまりに自然な音なので、逆に驚いてしまった。

 ただし、まるでエージング期間がなく、ほんの一時間ほど鳴らしただけであるから、しばらく音を出すと低音はまた印象が変わるだろう。さらに中高音もいい感じになるだろうと思う。

バスレフの5リットルくらいの箱が最も適しているのかも知れない。そう考えて、設計してみた。



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<もう一つの選択肢 W3−582SC)>

 マウントやフレームのアルミダイキャストの形状や仕上げ、フェライト・マグネットや防磁ケースなどから想像はしていたが、このユニットの素性はTB社製のOEM製品とのことだ。TB社のWebページでは、同じ仕様の製品は見当たらないので、OEMという事ではなく「独自製品の生産委託をTB社に発注している」という事のようだ。

 そういえば、TB社の<W3−582SC>というポリプロピレン・コーンのフルレンジ・ユニットが素材は違うが外観デザイン仕様がそっくりだ。どうやら、このモデルを基本設計としてコーン素材をリファインした、という事ではないだろうか。

 ユニットの再生周波数は100Hz〜18KHzであり、「SA/F80AMG」と比較すると数値上で表現されるスペックは劣っている。ただし、価格が2000円弱なので、予算は半額以下になる。SA/F80AMGの一本分でW3−582SCのペア(右左の2台)とバナナ・プラグ用のターミナルがペアで買える計算だ。

 「W3−582SC」という8cmユニットは、値段の割にはいい音が出ると評判であり、非常に人気が高い。「SA/F80AMG」に負けない程の豊かな低音が出るらしく、こちらの方が素直な音でイイという人もいるようだ。

 現在は品切れ中で2008.07月後半の入荷(次ロット)待ちとの事だ。いずれ、このユニットも試してみたいと考えている。

2008.09.14 追記:

 もう入荷した頃だろうと「コイズミ無線」へ出かけた。新しい場所に店舗が移転して最初は迷ったが、新店舗は非常に明るい雰囲気でゆっくりと楽しめる。

 早速、購入したのだが、実はまだ箱を作っていない。

 このユニットは、フレームがW3−593SG、SA/F80AMG、と同じだ。だから既存のエンクロージャーで付け替えて楽しむ事が可能だ。バスレフや密閉型、共鳴管式など、いくつか異なる形式のエンクロージャーを持っていれば、それぞれで確認して適合するものが選択できる。その上でユニットの特性に合わせて再作成すればいいわけだ。

TB(Tang Band) W3−582SC のページへ

頑丈なダイキャストフレーム

エッジ部分は劣化の早いフエルト素材ではなく、ゴム製だ。
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