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オーディオ : TB(Tang Bond) 8cmスピーカ・ユニット
W3−593SG (フルレンジ)

<TB製 W3−593SG 8cmユニット (2008.06.20)>

 2005年のことになるが、何の気なしに立ち寄った秋葉原の「コイズミ無線」で音を聴き、一も二も無く購入したものであった。そのユニットから出てくる音には非常に力強いパンチがあり、アート・ペッパーが奏でるアルト・サックスの音が美しい存在感で響くいていた。

 防磁タイプであり、大きなマグネット・ケース部分が特徴的で、肉厚のアルミ・ダイキャスト製の角型のマウント・フレームが着いている。

 Web上で各位のブログなど、色々と調べていたら、「W3−593SG」は概して評判が良く、バスレフ・タイプだけでなく共鳴管やバックロード・ホーンなど、あらゆるタイプのエンクロージャーで、いろいろな作例が紹介されている。

 そこで、購入以来マウントしていた間に合わせ(とはいえさほどひどい音でもないものだったが・・・)のパソコン用モニター・スピーカーからユニットを取り外し、性能に適した新たな住処を作ってみた。ゴールデンウィークに自作したダブル・バスレフのエンクロージャーだが、かなり満足できる結果が出た。最初にマウントしていたIOデータ製の小さなエンクロージャとは格段に違う、ゆったりとした音が響く。音の立ち上がりが違う、という感じだろうか.。僅かな出費であったが、投資効果は抜群だ。やはり、新たな箱を作ってよかった、と思う。


 きらびやかで伸びのある特色ある高音を聴いてみれば誰しも嬉しくなると思うが、このユニットは高域だけが特徴的な訳ではない。例えば私の作ったダブル・バスレフなどでは、8cmという小径を感じさせないスケール感溢れる低音が楽しめる。ギターやピアノなどのアコースティックな音が冴えるのだ。


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TB社製 W3−593SG ダブル・バスレフのエンクロージャーにセット
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<TB製 W3−593SG ユニットについて>

マグネット:

 防磁型のユニットは、ボイス・コイルをドライブするためのマグネットと、その磁界を打ち消すための、コーンの駆動には無関係なキャンセル・マグネットがセットになって一つのケース内に積層された状態で封入されている。このユニットも純粋なオーディオ向けだけでなくAVを意識していて、モニター画面の横などの設置状況でもディスプレイへの影響が無いように、防磁型になっている。

 我が家はいまだに影響を受ける「ブラウン管」だが、液晶やプラズマだとマグネットの影響がないらしい。その話を読んで「えっ?!」と思い、パソコンの液晶ディスプレイで確認してみたが、確かに影響を受けなかった。液晶であれば防磁仕様は不要という事らしい。企業はコストに敏感なので、ある時期からまた仕様が変わって、防磁のユニットは無くなるかもしれない。

 このユニットのマグネット材質は、一般的なフェライトだ。もし、アルニコ・マグネットや、さらにすごいネオジウムなどが奢られていたら、と想像すると、なんだか落ち着かなくなってくる。「オリンピック記念限定モデル」でどうだろうか。台湾(ユニットのメーカーであるTangBand社の本拠は、大好きなあの南の島にある)と本土は、あまり仲良くないので、やはり夢物語だろうか・・・。

 TB社のユニットは元々の口径に対して強力なマグネットが使われているのが特徴で、音の力強い張り出しという特性は、その恩恵だ。このユニットもそういった傾向を受け継いでいて、大きくてずしりと重いマグネット・ケースが特徴的だ。ただし、周波数特性では、その低域側は110Hzで、高域は20KHz。小径という事を割り引いたとしても、特に欲張った設計にはなっていない。(広域を信じられないくらい延ばした他社の意欲作は多い)

コーン:

 全体が銀色に輝いているが、アルミやマグネシウムではなく、オーソドックスな紙製のコーンだ。コーンの素材は常に革新(マグネシウムやボロン、ポリプロピレン、ケブラー、あるいはそれらのハイブリット、最近では木など)されているので「紙製」であることのほうが、今では珍しいくらいだ。ただし、中央部にはアルミ製のフェイズ・プラグが存在を主張しており、それがこの明るく元気なユニットの顔になっている。コーン部分はそういう訳でペーパーをベースにしたコーティングによる仕上げだが、マグネットが強力なので、低音は周波数特性の数値とは裏腹に豊かに響く印象がある。高域は、削り出しによる硬質なアルミ・プラグのために、かなり硬いきらびやかな音がする。ただ、イヤミな感じは無く、明るく、どちらかといえば派手な音だ。

 周波数特性(110Hzから20KHzという数値特性)は、この口径のユニットとしては、まあ十分な数値だろう。FOSTEXなどでは高域はもっと能率が高く、素晴らしい数字まで伸びている。高域が高く設定されているのは、最近のユニットの傾向だが、その意味では設計的には古くなりつつある、ということだろう。でも、音は数字では表現出来ない、ということが鳴らしてみるとすんなり納得できると思う。JAZZのトランペットやサックスなど、あるいはクラシックの室内管弦楽曲(たとえばラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」など)を聴くと、金管楽器の音が小音量時からいい響きで存在感に溢れるが、ボリュームを上げてもそのきらめきが崩れることはない。

 能率は86dBで、TB社の多くのユニットと同じ程度の値だ。他メーカーとの比較で言えば、これも若干、低めだろう。

アルミ製のファイズ・プラグ

特徴ある高音用のアルミ製ファイズ・プラグ
ファストン端子のターミナル
ケーブルは低損失・高能率の「OFC線」だろうか?
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W3−593SGのコーン基部 SA/F80AMGのコーン基部

細部のデザイン(仕様):

 ユニットのバスケット・フレームとマウント・フレームは、共に肉厚のアルミ・ダイキャストであり、黒色で焼付け塗装がされている。振動に強そうで、力強く動くコーンをしっかりと保持してくれるものと思う。

 ターミナルは「ファストン端子用」のMとSサイズ(プラス側がM、マイナス側がS)であるが、残念ながら伝送損失の少ない金メッキ品では無い。また、ターミナルからコーン部への導線はOFCの縒り線のようだが、詳細は判らない。

 コーンを支えるバスケット基部に空気抜きためと思われる切り欠きがある。(DIY−AUDIOの「SA/F80AMG」などでは、この切り欠きのほかに、さらに小さな円形ダクトが空いていた。)

 コーン保持のエッジ素材は、ウレタンではなくゴム製だ。だから経年劣化が少なく、滑らかに動作するものと思われる。
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<音の傾向>

 最初に、このスピーカーに出会ったのが自作スピーカー店の店頭で、そのとき素晴らしい音で流れていたのが、JAZZサックスの巨匠アート・ペッパーの曲であった。大好きな事もあるが、明るく張りのある高域やスケールを越えて響く低音に、その場で魅了されてしまったのであった。

 電気系の音よりも、アコースティックの音が美しく響く。ギターやピアノなどが、特に心地いい。クラシックのオーボエやバイオリンの音はあまり雰囲気が無いが、JAZZの管楽器やボーカルは味が出る。

 JBLなどよりもアルテックが置いてあるJAZZ喫茶の音のほうが好きだったが、このユニットには同じ傾向のメリハリ(表情)があって、私は好きだ。入れる箱の性質にもよるのだろうが、真空管のパワー・アンプとの相性が良く、ぴったりの音が楽しめる。

エンクロージャー作成前(IOデータ製の箱) DIY−AUDIO社製 SA/F80AMG と比べる
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