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オーディオ : スピーカー・エンクロージャーを作る
ダブル・バスレフ

<12cmユニットでスピーカを自作する (2008.05.03)>

 「6BM8」管を利用した真空管アンプの自作キットをつくったのにあわせて、スピーカーも自作することにした。

 折角作った真空管アンプの音を、もっと鮮明に聴くためだ。この魔力溢れるパワー・アンプを作った人の多くは、忘れかけていた「自作の喜び」に目覚めてしまい、顛末として、さらなるアンプ作成や改造、そして音の出口であるスピーカーの自作へと突進しているようだ。私もその例外ではなく、その素敵な音に魅入られてしまったひとりだ。


 スピーカーの工作は、高校生の頃にコーラルの12cmフル・レンジユニットを使って「ダブル・バスレフ」を作って以来のことになる。経験と言うことでは、今から遥か30年も前のことになる。考えてみれば、そのときに一度作ったきりで以来ずっとご無沙汰、という事になる訳だ。・・・凄まじいブランクだ。

 まず、その空白は「ブランク」などというレベルではない。それは、基本的な用語がわかっているだけで未経験者と変わらない、ということであろう。

 まあ、そんな私の状況でも、ゴールデン・ウィークの期間があれば、小型のエンクロージャーのペア分を自作するくらいならなんとかなるだろうと思う。いや、その予測は少々、甘いかも知れないが・・・。


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<8cmユニットに変更し、スピーカを自作する (TB製 W3−593SG について)>

 まず、エンクロージャーに入れる素材だが、台湾のスピーカーメーカーのTB社(Tang Band Speakers)製の8cmフルレンジ・ユニットを再利用することにする。

 当初、ストックしてあるFOSTEXの12cmフルレンジ・ユニット(FF−125)を利用することも考えたのだが、箱が大きくなるし、それに生憎とスピーカ・グリルと共に箱に入った状態で前橋の実家に置いてあるので、諦めることにした。こうして「FF−125」は、またしても出番待ちとなってしまった。

 「W3−593SG」は、今はパソコン用のモニタースピーカーとして小さな木製のバスレフ箱に収まっている。元々その箱はIOデータ製の低価格のパソコン・モニターのもので、オリジナルのスピーカ・ユニットを外して「W3−593SG」に付け替えたもの。だから、箱自体はユニットの性能に対して少し役不足なのであった。

現状

 このセットを解体し、スピーカを再利用することにしたのだ。優秀な小径ユニットの特性を生かせる十分な容量のエンクロージャーを用意しようと思う。

 十分な共振容量を確保するための8cmユニットに対する箱の大きさは、推奨のバスレフ型より若干大きめが良いと思う。そんな基本方針であるが、なにせ「初心者」だから、まずは、自作スピーカーの状況の把握だ。アンプのとき同様に各氏のページを検索して最近の傾向を確認することが手始めだ。

 「ダブル・バスレフ」は、30年前と違って基本形状が確立されたようだ。未だに試行錯誤という部分もあるようだが、昔でいう「トールボーイ」スタイルの例(スリット・ダクトで、スリットは箱の裏面にある)がWeb上で紹介されていた。形のバランスが良く、一見していかにもいい音で鳴りそうだ。この形を踏襲して8リットルくらいの箱を作ることに決めよう。

 ポート設定シミュレーションのソフトがあるので、設計に利用することにする。

 ダブル・バスレフで低音を増強するためには、下の設計図くらいの容量がどうしても必要となるだろう。設置スペースを小さくするため、縦長の箱としたが、バッフル面は多少の余裕を持たせている。(この状態なら、10cmのユニットでも大丈夫かも知れない。)



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<ダブルバスレフ・エンクロージャーの板取り>

 見た目の落ち着きを出すために、良くあるような「MDF合板」(木の粉を高圧縮して板状にしたもの)や、「シナベニアの合板」ではなく、木目の美しい木地を選んだ。丁度、ニュージーランドの松の集成材をホームセンターで見つけることが出来たのだ。名称は「ニュージーランド・パイン」、ひねりも何もなくそのものずばりの商品名だ。一枚ずつビニールでパッキングされていて表面処理がされている。木目が美しく、集成材なので板の「そり」が出る心配が無い。

 松材は柔らかいので自作家具の素材に良く使われる。「音響的にはどうか」という部分も残るが、ある程度の柔らかさがあるので加工が楽だ。「響き」に関しては多少箱鳴りしそうだが、何とか調整できそうだ。


 板を下見して、販売されている規格サイズを基準にして、効率の良い板取りを考えた。14mm厚の板材として910mmや1800mmの長板の状態で規格されているが、今回は「910mm」の板を使うことにする。

 長辺を両分し450+αmmとすれば、丁度手ごろな大きさとなる。幅は200mm、250mm、300mmなどのバリエーションがあるが、前面の板幅は250mmを両分して120+αmmとした。実際には、鋸での切り代分の厚みが減るので、細かい数字の端数が出る。だから、最終的な組立では、現物合わせでの「削り整形」による調整が必要だ。

 ・幅200mmの板2枚の長辺側を半分に切断して側板とする。
 ・幅250mmの板2枚の短辺側を半分に切断して、バッフル、天板、底板、裏板をとる。
 ・さらにそこから、空気室を作成するためのスリット、一次スリット、二次スリットの板を取る。

この板採りが、工作精度を保つ上では一番いいようだ。よくある自作例の900x1800(通称サブロク)板ではなく、長い板としたのは、板の採り易さ(切り出し易さ)という観点と、美しい木目を有効に生かすためだ。

板取り <板取りの図面>

クリックにて拡大します。
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板取り 仮組み

<ダクトの位置>

 今回のエンクロージャーでは、ダクトの形状は加工と調整の楽な「スリット形式」とする。

 Web上での作例では、このスリットはエンクロージャーの裏面にある。背面の壁との設置位置を調整することによって、ダクトから排出される低域を容易にチューニングできるのだ。前面と違って、直接コーン面の振動波と干渉しずらいという利点がある。

 そういえば最近は、バスレフ・スピーカーのポート(ダクト)も前面には見かけない。市販されているスピーカーは皆、背面にポートがある。壁面がいい状態なら良いが、たとえば襖や内装用の薄い石膏ボードであれば、むしろセッティングは難しくなるだろう。マンションの厚いコンクリート壁がメーカーの想定しているユーザの姿、ということだろうか。

 いっそ、背面ではなく、昔ながらの前面排出ということで、形状を決めることにする。

 後背面を発生源とする低域と直接振動での前面の低域との干渉による「こもり」が気になるが、ユニットの取り付け部とスリットとの距離が十分にある箱なので、気になるレベルでは発生しないだろう。ただ、箱の大きさを若干大きく考えたので、ユニット後背部の低音が一次、二次とそれぞれの気室内で増幅される中で、音に遅延が発生し、ユニット前面の音の発生よりも遅れて出てくることになるだろう。長い音道ではないので問題ではないだろうが、その音の遅れが濁りに繋がるのではないかと、ほんの少し懸念がある。

スピーカー用の穴(直径は75mm) 一次スリットと二次スリット(改良前)
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第一気室と一次スリット(スリット長と幅の修正) スピーカー穴の後ろ側は、定在波対策として平行面を無くすために接着した木片だ。共鳴なら良いが、不要な振動が発生すると嫌なので、対策のために「補強」するという意味もある。
第一気室と一次スリット(スリット長と幅の修正)



「スリット長」と、「ダクト幅」を修正する。
下部のスリットは、定在波対策のため段差を付けた。

右は、補強と定在波対策のための「桟」を着けた。
仮組み
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スピーカーマウント(オニメ・ナットを適用) オニメ・ナット

<エンクロージャー組み立てでの工夫>

 スピーカーのユニットのバッフル面へのマウントは、「木ネジ」の利用が一般的だ。通常、何度も外すものではないので、締めこんで完了の「木ネジ」で問題は無い。

 私の場合は、ユニットの付け替え(他のメーカー製の8cmユニットへの置換)やエージング中の調整での取り外し、など、何回もの付け外しを想定しているので、取り付け上の工夫をしてみた。

 箱側に「オニメ・ナット」を埋め込んで、金属どうしてでの締め込みを可能にしたのだ。こうすると、箱側は木地ではなく、そこに埋め込まれた金属製のナットが受けることになる。ユニット側はドリル状の木ネジ(タッピング・ネジ)ではなく、金属接合用の円柱状のネジやボルトが利用できるのだ。だから、何度も付け外しても、木がへたってネジが利かなくなる心配が要らない。

 オニメ(鬼目)・ナットとは、木の中に埋め込んで金属製のネジ穴を提供するものだ。埋め込む木から外れないように爪状の「返し」がついている。金槌で叩き込むものと、私が利用した爪が逆ネジになっていてレンチで締め込むものがある。同じような仕組みのナットに「爪付き(カギ爪付き)ナット」がある。これは、ネジ穴を開けた板の前面からではなく裏面から取り付けるもので、強い締め込みが可能となる。

 本当は、ユニット取り付けと同じように、側板か裏板の一部も「オニメ・ナット」で接合したかった。吸音材の調整などのための取り外しを考えたのだ。だが、板厚が14mmしかないので、止めることにした。(補強用の桟を入れたりして、接合部の板厚を増せば問題ないかもしれない。)

スピーカーマウント
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スピーカー接続用プラグ 第一気室

<ユニットの接続>

 スピーカーとの接続ケーブルもユニットの取り外しを視野に入れて、直付けのハンダ接合ではなく、「ターミナル端子」を利用した接続とした。正式名種を「ファストン端子」という。スピーカユニットのターミナルは極性によってピンの大きさが違う規格になっていて、端子側でいうとサイズはMとSがペアで必要となる。

 車の電装品の補修部品だが、「金メッキ端子」がストックしてあったのだ。これなどは、純粋なオーディオ用の端子を買ってしまうとかなり高価になるが、カーオーディオ用のパーツだと桁が違う。私が使ったのは、金メッキ端子のセットでも500円位だったと思う。

スピーカーターミナル(バナナ・ジャック) エンクロージャ内部のターミナルとユニットの間

接続ケーブルは、「DENON」社製で、
OFCケーブルの<AK−1000>だ。

写真は処理前だが、ターミナルは「銀入りハンダ」で溶着している。
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 スピーカーターミナルは、「コイズミ無線」のバナナ・ターミナル。これへ内部ケーブル(AK−1000)をハンダ(銀ハンダ)付けている。

 エンクロージャーのターミナルとアンプの間の接続ケーブルは、内部と同じく、サラウンド・アンプとスピーカ間の接続などで使っているDENON(昔風に言えばデンオン)のケーブルで<AK−2000>。伝送効率の高い高純度の「OFC線」であるが、低〜高音用に3種線径複合導体構造を採用、という特徴がある。澄んだ高音と豊かな低音が特色のいいケーブルだ。450円/mで、なんと言ってもコストパフォーマンスが良い。

 これをバナナ・ジャックで終端して接続している。こちらのジャックは金メッキ製品だが、1個200円、だから片側4個で800円。結局1600円で済んでしまう。メーカー製のもの(Audio-Texxなど)だとかなり高価になるが、秋葉原のラジオ・センターの「山本電気」で購入したもので、やはりコスト・パフォーマンスが高い有難いものだ。内部の接合はハンダを使わずにケーブル線を圧着(ペレットが内部にあって、ねじ込み式)している。金メッキの特性と相まって、全体的に伝送ロスや性質変化が少ない状態が期待できる。

 ちなみに、アンプ内部の出力トランスからの配線も、OFC線に変えている。こちらは筐体内部での配線(結線)なので、スケアーが小さく内部の取り回しが楽なMONITERケーブルのジュニア・ラインを選んで処理している。

ターミナルへのコネクター ターミナルへのコネクター(アンプ側)
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<音の調整>

 スピーカーは、ユニットの性質でほとんどの部分の音色が決まるが、その直接的な振動音を美しく響かせるためには、エンクロージャーへの手当ても大きな要素だ。

 板面が平行状態にあると内部で音が反射して「定存波」か発生する。要は特定の周波数だけが妙に響くという症状がでる。厄介なもので、不要振動による無意味な共鳴と同様に、響きを濁す要素だ。

 ピュアな音にするためには、響きの要素は必要だがそれがコントロールされた状態を作る必要がある。「定存波」か発生しないようにしなければいけないのだ。だから、箱の形状から平行面を無くす工夫もある。最近良く目にする、側面が曲面であったり、上から見ると台形で後ろに窄まっているもの、などがその工夫をしたものだ。

 素人工作では一寸無理な形状だ。だから、一般的には、不要な反射を吸収させるために箱の中に適度の「吸音材」を入れる。簡単な定存波防止策なのだが、難しいのは、入れすぎると音がこもってしまうというところだ。篭りを防いでクリアーにするために吸音材は一切入れない、という人もいるくらいだ。

 私も、側板を仮止めして何度も同じ曲を聴きながら、吸音材の位置や種類、分量を決めていった。そして、ある人のHPに出ていたのが、ティーバックを利用する対策案だった。本来は、テトラ形状のティー・バック、しかも某社製が良いらしい。

 私は、Lipton社製の「Relax Night Herb Tea」にしてみた。リラックス・ナイトの名称もいいし、オレンジベールとカモミールを使ったハーブ茶で、寛ぎの香りがある、好きなお茶というところもいい。音の振動でティーバックが揺れて、ダクトからは低音と共に、そこはかとなくハーブが香る。しかも、流れているのは味わいのあるジャッズの名曲である、なんて状況が思い描かれ、素敵な想像を巡らせることができるではないか。

側板の接着 第二気室

<箱の接合>

 箱の組立は、釘やネジが板面に出ないように、接着材での接合とした。本来は(高圧をかけて)圧着すべきだが、600kgとかの圧力は掛けられるはずも無いので、一時間ほど箱に乗って、製作者自らの体重で板を固定し、あとは本などで重しをして接合した。速乾性のボンドでの接合をテストしたが、一時間で板同士を剥がすことができなくなることが判ったのだ。圧着なぞ出来ない家庭では、1・2時間我慢して体重で圧力を掛け、あとは本などの重しで一晩固定するということでよいだろう。


 余裕があれば、本来はクランプを用意してねじ締めで加圧することが望ましいだろう。適当な板に穴を開けてねじが切ってある金属棒(コンクリート用のアンカーだと思うが、30cmほどのボルトがある)を通してとナットで締めこむことで、圧着用のクランプが自作できる。
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ユニットを付けたエンクロージャー 完成

まだ、塗装していないが、完成したスピーカ

<箱の塗装>

 柔らかな板を利用する場合、箱内部の板面による音の吸収が想定される。いい方向に働けばよいが、それは音を出しながら決めていかないと判らないことだと思う。大切な音の「内部損失」と考える人達もいて、内面を塗装する場合もあるらしい。積極的に箱内部での反射(輻射)を利用しようというものだ。バックロードなどのホーン形状の仕組みや共鳴管的な仕組みの場合には、内部への塗装も考える余地があるだろう。

 一応、水性の「ウレタン・ニス」を用意した。ホームセンターで塗料を見ていたら、家庭で「漆塗装」が出来るもの。迷ってしまったが、しばらくは白木のままで使って改めてウレタン仕上げをしようと思う。湿度の無くなる時期の7月半ばあたり(俗にいう、梅雨明け10日)がターゲットだ。(一応、シックなチーク調に仕上げる予定だ。)
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緩衝材 秘密兵器、繭玉

<音の調整 さらなる響きを求めて  (2008.05.25)>

 当初、アート・ペッパーの曲を鳴らして、吸音材の調整をした。試みに聴いてみたジャニス・イアンの「17歳の頃」で、アコースティック・ギターの低音部で妙な箱鳴りが起きることに気がついた。

 「共鳴」は、特定の周波数の振動なので、その音域への対策の実施だ。ただし、測定器も無いし、そもそも素人なので、そんな高等なチューニングが出来るわけが無い。

 そこで、安易な方法として「箱の内部に補強材の桟を接着する」ことと「吸音して箱自体の響きを押さえる」の、2つの対策を実施することにした。

 丁度、手持ちの「エコプラス・ユニ」という荷造り梱包用の緩衝材があった。「とうもろこし」を原料にして膨張させたものだ。形状といい素材といい、要するに「味の無いカール」と考えればよい。ちなみに、環境にやさしい植物性とはいえ、実際に食べられるものかどうかは判らない。

 楽しい作業なので、家人と子供を動員した。裁縫用の「仕付け糸」に繭玉状の緩衝材を4個、中央に糸を通して干し柿のように吊るす。

 それを4連作って、エンクロージャーの一次ボックスの天井面から吊るすのだ。

 すでに、箱は密閉状態なので、スピーカ・ユニット取り付け用の直径75mmの円の切欠き部分からしか、箱内部をいじれない。私の手は大きいほうなので、残念ながら無理だろう。小さな手を借りないと、箱の内部に吊るすことが出来ないのだ。
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第一気室の中 第一気室に吊るした吸音対策の繭玉

TB(Tang Band) W3−593SG


 さて、音出しだ。GONTITIの「Guiters」というアルバムを流して、箱の響き具合を確認する。ギターが冴える名盤だ。

 4連(片側2本で計16個)では多すぎたかもしれない。

 ハーブティーのティーバックとの相乗効果が出過ぎた様で、スピーカーから流れる音は入れる前から比べると若干デットであるようだ。下部のスリットから出る空気振動も、大分少なくなっている。気になった「箱鳴り」は皆無になったが、鳴っている音には、なんとなく最初のような味(つや)が無い。

 箱の内部の吸音が過ぎたため、期待した低音が減り、さらにスピーカ前面から出てくる音自体が以前よりフラットなようだ。癖が無さ過ぎていて、まるで優等生の「音読」を聞いているようなのだ。

 私には、もう少し荒れていたほうが良いように思える。「荒れる」という表現は少しオーバーで、実際のところは、ほんの少しの乱れやドライブ感が欲しいといったところだ。

 この箱とユニットの組み合わせでは「山椒は小粒でぴりりと辛い」と言った、小気味の良い音を期待している。

 さらに調節(吊るした繭玉の数を減らし)して、エージングを続けることにしよう。
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保護カバーを付けたエンクロージャー 完成

<箱の調整 見た目の問題 (2008.06.07)>

 さて、先の「音への対策」だが、安易な方法として「箱の内部に補強材の桟を接着する」ことと「吸音して箱自体の響きを押さえる」の、2つの対策を実施した。

 結局、それぞれの一次気室の左右側板に「振動抑制用の補強桟」として、箱の素材(ニュージーランド・パイン)とは材質の違う角材を1本ずつ、都合4本を接着した。右の壁と左の内壁面に水平に、軸位置をずらしている。一次気室の側板高の中心線から、右側は上、左側は下に2cmほどの位置となっている。補強かつ、定在波対策(平行面を無くす)を兼ねている訳だ。

 さらに、板面-接合部分、外面部分-に対しての入念に「仕上げのヤスリがけ」、と箱の「角部分の面取り」を行った。

 「面取り」は、もっと積極的に角自体を落として「ラウンド・バッフル」としてしまう手もあるだろうが、今回の箱では失敗時の修正が出来ないので、1mmから2mm程度の面取りのみとした。MDF合板を素材としていれば、塗装はソリッド・カラーの厚塗り仕上げなどになるので、継ぎもできるだろうしパテ盛りもできる。それなら失敗してもカバーが容易にできるが、「木目を活かす」ために選択した今回の素材では、外面の失敗時に対する修正や補正は難しいので、やはり無難な線を選択してしまう・・・。


 吸音材は、その後、アート・ペッパーの別のアルバム「Modern Art」(1956年録音)、ケニー・バレルの「Midnight Blue」、ヘレン・メリルの「with クリフォード・ブラウン」、ジェリー・マリガンの「NIGHT LIGHTS」など、良く聴くJAZZの名盤で調整を続けた。あまり古い録音ばかりではなんなので、新しいところでは「THE BIG BLUE」(ジャック・マイヨールを主人公にした秀作映画のサウンド・トラック盤)、小野リサの「ボサ・フラ・ノヴァ」など、お気に入りのアルバムを何度も聴きながら調整した。

 そうした箱の仕上げ状態から音出しをして、一次気室内のエコプラス・ユニ(梱包用の緩衝材の繭玉)は、最終的には片側で2個、という結果になった。

 今はその状態で安定していて、変な響きやもたついた感じは、綺麗になくなっている。補強材が有効に効いているのだろうが、思ったとおりのいい音の感じになっているので一安心だ。

 箱の接着材はもうすっかり乾燥しているので変化は無いだろうが、しかし、塗装をしたら、また音が変わるだろうと思う。
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<箱の調整 実益?を兼ねて>

 もう一つ、ユニット保護用のカバーを装着をしてみた。

 これは、TB社製ではなく、別のメーカ製(製品名は「SA−10、メタルカバー」、メーカは「ダイトー・ボイス」)だ。8cmユニット用だが穴の位置がTB社の「W3−593SG」のマウント穴とは微妙に違っている。そのため、穴の削り込みが必要だったが、金工細工用の棒状の精密ヤスリで削って無事に調整ができた。

 私を含めた家族がスピーカーの存在に慣れたら取り外そうと思っているが、しばらくはカバーでユニットを保護しておいた方が無難なようだ。子供の友達がやって来て、「なに、これ」っと言いながらポチっと指でひと押したら、一巻の終わりであるし・・・。

F80AMGをつけたエンクロージャー 「W3−593SG」とマウント・フレームが同じ
DIY−AUDIOの8cmユニット <SA/F80AMG>

TBユニットを外して、付け替えて一寸ためしてみた。

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