細部のデザイン(仕様):
ユニットのバスケット・フレームとマウント・フレームは、肉厚のアルミ・ダイキャストの削りだしや鋳造などではなく、低コストの打ち抜きのプレス品。こうした細部の造りはあまりパッとはしない。「質実剛健」を絵に描いたような仕上がりなのだ。だから、できればマウントした後のスピーカ・バッフルにはサランネットでカバーなどを掛けたくなってくる。マウントフレームは焼付け塗装(塗装には不要な振動防止の効果があるそうだ)はされていないし、その外周部分は積層したボール紙が接着してある。ダイアトーンやナショナルなどの昔のスピーカーの造りは、確かにこういうものだった。
別の考え方をすると、鋼材製のものをふんだんに使ってしまうと電磁誘導の原因となり、音の再生にとっては悪影響となるそうだ。そう考えると、コストだけの理由で細めのフレームの鋼板を使っている訳ではなさそうだ。エッジの材質や造りは丁寧で、無駄が無く機能的だ。「細め」と書いたが、それはフレームの幅であり鋼板の厚さの事では無い。厚さは口径に対して充分なもので、バスケット部分やフレーム全体の剛性は非常に高いものだ。
ターミナルは「ファストン端子用」のMとSサイズ(プラス側がM、マイナス側がS)であり、フレーム横に接続コードの押さえが加工されている。価格を考えれば金メッキ品は望むべくも無いが、きちんとした端子がついていて充分なものだ。
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