オーディオのインデックスページへもどるオーディオ のページへ         Top Pageへ移動 Top Pageへ移動       このページを閉じる 閉じる

オーディオ : DAITO−VOICE 13cmスピーカ・ユニット
FW130G51−5 (フルレンジ)

<DAITO−VOICE製 FW130G51−5 13cmユニット (2008.09.14)>


 秋葉原の「コイズミ無線」に行ったら、「お父さんの夏休み工作に」と書かれた小さなエンクロージャーがTU−870に繋がって綺麗に鳴っていた。

 昔風のユニットがマウントされている。流されていたのはフォークロアのCDであるが、弦楽器が実に自然に響いていた。そこで鳴っていたのは、FOSTEXのFEシリーズのようなダブル・コーンを持っている13cmのフルレンジ・ユニットであった。

 そのユニットの外観にはいにしえの雰囲気がある。

 音も外見に違わず、きらびやかで張り出しが強いといった現代的なものではない。誤解の無いように言うが、それは特徴がなくて悪いという意味ではない。何というか、ひと時代前のモニター・スピーカーから流れ出る音のような、実にフラットで自然な「癖の無い音」が出ているのであった。


CORAL 12cmユニットでのダブルバスレフ のページへ
FOSTEX FF−125 のページへ
ONKYO W−1239B のページへ

TangBang W3−593SGフルレンジユニット のページへ
DIY−AUDIO SA/F80AMGフルレンジユニット のページへ
TangBang W3−582SCフルレンジユニット のページへ
DAITO−VOICE F66U63 のページへ

TB社製 W3−593SGでのスピーカ自作 のページへ
DIY−AUDIO社製 SA/F80AMGでスピーカ自作 のページへ
8cm―12cmユニット用タンデム・スピーカーを自作 のページへ

月刊STEREO誌付録 FOSTEX P650を作る のページへ
AVボード サラウンドステーションを作る のページへ

FW130G51−5 FW130G51−5
ページTopへ移動
<DAITO−VOICE製 FW130G51−5 ユニットについて>

マグネット:

 流通している状態では「ダイトーボイス」社の製品になるのだが、実は、この製品は「東京コーン紙製作所」の手になる物だ。この会社は、多くのスピーカーを作っていて、歴史としても40年を向かえる。優秀そうなユニットが沢山「製品紹介」されている同社のHPを見ていると、次々に欲しくなってしまい困ってしまう。幾つかの製品はDAIDO−VOICEが市場に流通させているようだ。

 このユニットのマグネット材質は、一般的なフェライト製で重量は180g。13cm口径ということを考えれば、さして重量級というほどのものではないが、他社製品のように防磁仕様のためのキャンセル・マグネットが付くわけではないので、純粋な駆動用の重量という事だ。そう考えれば、ことさら特徴的な磁器回路の構成を持ったものではなさそうであるが、充分な回路という事であろうか。

 あまり大した事ではないが、このスピーカーにはキャンセル・マグネットが無く防磁型という訳ではない。もうじきブラウン管のモニターやテレビが無くなるのだろうが、この仕様の画面の傍に置く事は出来ない。

コーン:

 外見のレトロさとは裏腹に、コーン部分は現代的な素材を利用している。コーン紙ではなく「ポリプロピレン製」だ。さらにダブル・コーンの部分にはアルミのセンター・キャップが着いている。このため、豊かな低域と良く伸びる高域が特色となっている。90Hzから20KHzという優秀な周波数特性を持っている。

 能率は85dBであまり高くはないが、インピーダンスは4Ωなので、さほど問題ではないだろう。

 周波数特性や能率は欲張っていないが、充分な音色だ。音を聴いてから価格を知ったら、私同様に唖然とするに違いない。これだけの音、これだけの性能・品位で、わずかに1300円なのだ。本当か?!と思った。まるで狐につままれた様で即決購入してしまった。

ユニットのフレーム
ページTopへ移動
ダブル・コーンとセンターキャップ DAITO−VOICE FW130G51−5

細部のデザイン(仕様):

 ユニットのバスケット・フレームとマウント・フレームは、肉厚のアルミ・ダイキャストの削りだしや鋳造などではなく、低コストの打ち抜きのプレス品。こうした細部の造りはあまりパッとはしない。「質実剛健」を絵に描いたような仕上がりなのだ。だから、できればマウントした後のスピーカ・バッフルにはサランネットでカバーなどを掛けたくなってくる。マウントフレームは焼付け塗装(塗装には不要な振動防止の効果があるそうだ)はされていないし、その外周部分は積層したボール紙が接着してある。ダイアトーンやナショナルなどの昔のスピーカーの造りは、確かにこういうものだった。

 別の考え方をすると、鋼材製のものをふんだんに使ってしまうと電磁誘導の原因となり、音の再生にとっては悪影響となるそうだ。そう考えると、コストだけの理由で細めのフレームの鋼板を使っている訳ではなさそうだ。エッジの材質や造りは丁寧で、無駄が無く機能的だ。「細め」と書いたが、それはフレームの幅であり鋼板の厚さの事では無い。厚さは口径に対して充分なもので、バスケット部分やフレーム全体の剛性は非常に高いものだ。

 ターミナルは「ファストン端子用」のMとSサイズ(プラス側がM、マイナス側がS)であり、フレーム横に接続コードの押さえが加工されている。価格を考えれば金メッキ品は望むべくも無いが、きちんとした端子がついていて充分なものだ。
ページTopへ移動
<音の傾向>

 実に素直で伸びやかな音が鳴る。しかし、「コイズミ無線」のご主人の話では、大分癖のあるユニットとの事だ。メーカーから提供されている周波数特性グラフを見ると、中域から高域のラインは大分凹凸があり、上下に振れている。「クセ」といったのはこの事だ。この癖を手製の回路でフラットにしているというのだ。「色々試してみたが、この設定が大分具合が良いのでお勧めする事にした」とのことだった。

 ポリプロピレン製のコーンを持っているので、音の傾向は歯切れが良く、輪郭もはっきりとしている。デモとして流されていたのは、フォークロアのCDで弦楽器が美しく響いていたが、お願いしてJAZZのCDを再生してもらった。聴きなれた音が目の前に現れた。「ソニー・ロリンズ」のサキソフォン・コロッサス、名盤だろう。さすがにスピーカ自作の専門店。JAZZを、と希望してこの名盤の選択は、さすがといわざるを得ない。

 テナー・サックスの太い音が響く。ドラムの音も、スピーカーの周りに綺麗に広がる。見た目のレトロさからは考えられない、しかも先ほどの弦楽器の端麗な響きとはまた違った表情が現れた。実に、いい設定なのだ。

平滑化回路 ポリエステル・コンデンサー
ページTopへ移動
 「夏休みの工作」と銘打ったのには訳があった。

 お店としてはユニットの単独販売だけでなく、回路の設定作業を想定しパーツまでセットにして楽しもう、という意図があったからであった。こうした回路設定は「チューニング」の作業だ。試行錯誤と豊富なノウハウの結果としてもたらされるものなので、マニアのたゆまぬ努力をもってしても一朝一夕には成しえないのだ。

 いいものを聴かせてもらった。ポリエステル・コンデンサー、セメント抵抗、そしてコイルで、周波数特性をフラットにし、音を平滑にしているというのだ。

 これらのパーツをユニット直近のプラス側に並列に入れる。スピーカーとこれらのパーツ、それに4リットルのバスレフ・エンクロージャー、バナナプラグのスピーカー・ターミナル、内部接続用のファストン端子、などでセットを組む。なお、既製品であるエンクロージャーには、内部の吸音材や、付け替えてしまうのでなくても良いものだが接続用リード線などがセットされている。

 すべて込みで二台で7000円という価格設定だ。スピーカーが2600円、エンクロージャーが2000円、スピーカー端子が1000円、残る1400円がパーツ代だ。


 ただし、組んだだけでは同じ音は出てこない。一ヶ月以上、エージングを続けてやっと音が滑らかに鳴り出し安定した、ということだ。その音に至るためには、作った後の「愛情溢れる作業」が不可欠なのであった。

セメント抵抗 コイル
ページTopへ移動
<最近の発見>  (2009.03 追記)

 子供が和太鼓を幼稚園の年長のころから続けている。私はゲームをほとんどしないのであるが、たまに子供に付き合ってショッピング・モールのゲームコーナに行くと目にするものがある。ドドーンと響く和太鼓の音だ。

 「太鼓の達人」は人気のゲーム機だ。

 和太鼓の音が上手く再生されているので、ふと注意して観察してみた。機械のディスプレイの横に設置されたスピーカーを透かし見ることが出来る。いや、驚いた。附いていたのは、まがう事無き<FW1305G51−5>。よく響く低音(さらにサブウーファと思しきユニットがディスプレイ下に組み込まれているようだ)、通りの良い中音、はこのユニットの為であった。

 俄然興味が湧いて来て、こんどはレーシング・ゲーム機などを観察してみたいと思っている。
ページTopへ移動